MotoGP

ロレンソ『シャワーはEvian、服は捨てて帰る』

モトGP『ロレンソ:シャワーはミネラルウォーターで』




ホンダの日本人ライダー、千葉出身で現在はバルセロナ在住の青山博一選手が驚いて目をパチクリさせていた。欧米出身の選手らが今回来日するにあたり、できるかぎりの予防措置を駆使してきたからだ。茂木サーキットより120kmの位置にある福島原子力発電所で今年3月、放射能漏れ事故が発生し、それによる健康被害を懸念してのことだ。
「うちのチームは水をどっさり買い込んで、それにイタリアから缶詰と言う缶詰を持ち込んでました。一体、どれだけの金額をつぎ込んだのか…。」と、青山選手が言う。多分、ホルヘ・ロレンソ選手がヤマハに幾らあたいのミネラルウォーターを用意させたかも、青山選手には見当もつかないだろう。もの凄い量なことは確かだろう。とにかく毎日、瓶入りのそれでシャワーをすると言うのだから。既に昨日、そうしたように。

ここ数ヶ月の間、ロレンソ選手は健康が一番重要であることを唱え続けてきた。チャンピオンタイトルよりも、契約不履行による違約金の支払いよりも大切だと主張してきたのだが、核物理学の専門家らの説明で茂木遠征による健康被害はないと保証を受け、数週間前にやっと参戦することを納得したのだ。そして今、それらの説明にも関わらず、なんとか被害を最小限に食い止めようとし続けている。
で、シャワーを浴びるにも軽々しく蛇口をひねったりはしない(あらゆる現地調査で問題なしと言う結果なのだが、水の汚染を恐れてのこと。今回のレースウィークエンドで全選手がそうしているわけではない)。
ロレンソ選手はエヴィアンの瓶入りミネラルウォーターで体を洗っているのだ。本人によれば体をすすぐのにメディアボトルを使っていると。シャンプーやシャワージェルも持参の物を使い、それをすすぎ落とすのにもう2本。ただ、常のレースウィークエンドと習慣が異なるのはこの点だけではない。

食事に関しても、朝から晩まで影響を受けている。
まず朝食で、ロレンソ選手が飲むミルクもいつものそれとは違う。水にコンデンスミルクを溶いて飲んでいるのだ。そしてコーンフレークとハムサンド…すべてヤマハの調理スタッフがこの数日の間にイタリアで購入し持ち込んだ物だ。豊富な種類とは言えないが量だけは常の消費量を超えている。例年、ヤマハチームでは茂木サーキット内にあるホテル『Twing Ring』のレストランで夕食を取っているのだが、今回は安全検査が行なわれているにも関わらず、選手からスタッフまでチーム全員がヤマハ本部内で食事を取っている。
「惜しいですよね。僕は寿司が大好物なんですから。それに食糧持ち込みに規制があるから肉も魚もダメで、いつもバルセロナで食べてるような『Kamut』のパスタに、トマトソースとツナ缶をちょっと添えて食べてるんです。」と話すロレンソ選手は、危険はないと分かっている言いつつも、予防に予防を重ね、ほとんど『個人的な趣味』にまで高めているのだ。

ロレンソ選手は、
「多分、今までに比べて今回のレースウィークエンドでは、みんな一番悪い服装で来てるんじゃないかな。」と言いながら、少々すり減ったサンダルを見せてくれた。ここ最近のレースで履いていたようなスポーティーな配色の物でもない。また、サングラスも家にあった一番古い物を持って来たと。
「あまり気に入ってない物なんで、カルロス(編集部注:チームドライバー、ロレンソ選手が信頼しているスタッフの一人)のと取り替えてもらったんですよ。そう言うことは気にしないって言うし、僕のと随分似ているのをかけてたんで。」と笑う。
衣類の件に関してはダニ・ペドロサ選手の目論みが既に報じられてはいるが、スーツケースの中に再度詰められることはなく、そのまま茂木に置いていかれる運命なのだ。
こう言った恐怖を抱くことが、もはや日本滞在における楽しみになっているのでは…と言う例を、もう1つ。
ロレンソ選手の友人でモト2クラスのリッキー・カルドゥース選手らとの話だ。彼らの広報担当スタッフらと共に次のような順位付けをしたと言うのだ。つまり、各所で放射線を避けようとしながらも誰が一番馬鹿なことをしてしまったか…(ドゥカティが同伴させた核物理学者らは毎日サーキット内および水道水を測定し、ドルナ社が依頼した現地調査通り、放射線量は微少であることを報告している)。
「ランキングをつけたらリッキーが一番になったんです。だって、飛行機の中でビスケットを食べるは、水道水で歯を磨くは、木曜日の夜なんかは寿司を食べに行ってるんですから。でも僕もプレスカンファレンスの最中に水を飲んでしまったから中途半端でしたけどね。」とロレンソ選手。

またボックスにはメカニックNo.1のイタリア人ヴァルテル・クリッパ氏の姿が見えない。当初から茂木遠征に反対していたのだ。レース中は、ヤマハのテストチームと仕事をしたことのある日本人スタッフが代理を務めることとなる。
スポーツディレクターのウィルコ・ズィーレンベルグが次のように言う。
「穴埋めに関しては、まったく問題ありません。特に、マシンもこのレベルまで来れば、それほど大きく変更する必要もないんでね。」

この件に関しロレンソ選手は、
「一緒に来てくれてたら良かったんですけどね。チームの一員なんだから。居ないと寂しいもんですよ。仕事と言うよりは個人的なレベルでね。」と言う。
また、チーフメカニックのラモーン・フォルカーダ氏などは携帯電話にバーコード読取り用のアプリケーションを付け、各製品の製造地を確認しているとも。
「この間は、コカコーラを捨ててましたよ。日本製だからって。」
ヤマハはいつもより忙しいと言うわけだ。茂木ではホンダを追いかけることだけでなく、あちらこちらで放射能を避ける心配もしなければならないのだから。


(日本語翻訳:La Chirico / 西語記事:El Pais 2011年10月01日 写真






実は、ペドロサ選手も地味に色々と画策してたんですね…


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POSTED COMMENT

  1. 栃木県民 より:

    捨てて帰るんなら、くれよ!・・・と思う。
    コーラだって普通に飲めるのに・・・食べ物を粗末にするな!

    数日居るだけなのに、酷いビビりようですね。

  2. tm より:

    文科省発表の放射性物質による汚染マップで
    予想以上に各県が汚染されていました。

    MotoGPに限らずINDY JAPANでも食料は
    持ってきたチームいたので普通の対応と
    思います。

  3. シーリン より:

    ミネラルウォーターにもワインにも1945年以降のものには微量のセシウムが含有されています。ビンテージワインを鑑定する際にはセシウムを測定するんですよね。測定できたらニセモノ~みたいな。
    気持ちはわかりますが、スペインやイタリアなどの水もチェルノブイリの時にそこそこ汚染されていましたけどね~。ま、神経質になって食品メーカーさんは喜ぶでしょうから。良いのでは?もてぎの住民は良い気分しないでしょうが

  4. KS より:

    「日本製だから捨てた」いいすね!!なら日本製のバイクも捨てちゃえーーーー

  5. hahaha より:

    トロフィーだけ持ち帰るはずもないでしょうね。

  6. 静凛 より:

    つまらないつっこみですが「日本で着てきたものは捨てた」ってどうやって出国したんでしょうねWW

  7. たに~ちょ より:

    不安になる気持ちもわかりますが・・・

    滑稽なほどのビビりようですね。

    そんなに放射線が怖いなら、飛行機に乗のるにも、怪我をしてCT撮影をするにも、いつも((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル なんでしょうね・・・

    自転車レースの選手は、宇都宮で開催されるジャパンカップに参戦するにあたって、「そこで普通に人が暮らしている以上、参加しよう」と判断したそうです。
    http://nakanoyoshifumi.com/archives/1124

    こういったコメントは気持ちいいですよね!

  8. rana より:

    予選後の夕食時、水戸のファミレスでトーマス・ルティ選手とそのクルー数名にお会いました。
    みなさん、普通に食事をしてましたよ。
    ルティ選手はドリンクバーの使い方が分からずに店員さんにレクチャー受けてました!

    あと、青木ノブアツさんもいました(^-^)

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