ロッシ、10制覇めざし全てを語る【後編】：ヴァレンティーノ・ロッシ

さて、世界中のロッシファンの皆様、お待たせいたしました。
ロッシのロングインタビュー、後編でございます。
前編の方、まだ未読の方は、こちらからどうぞ。

ロザイル『ボルト選手のように優秀、いまだに勝つのは普通になったから』

現在のレースはより調整されていて、駆け引きが少なくなったと言うのは本当ですか？
「残念ながら、そうです。昔が懐かしいな〜。トラックをどう走るかはコースで決まったもんですよ。最後の1周、最後のカーブってね…。」

熱狂的なファンの皆さん同様、ロッシ選手もそう思ってらっしゃるんですね。
「絶対、そうです。だからこそ今年は、昔のようなドラマチックなレースになれば良いなぁと思ってます。」

自信がおありで？
「いやぁ。タイヤと電子系統をどうにかしないと。ただポイントは、ショー的な部分とモトGPの哲学との間で、常にバランス良くいけるかってことですね。それには世界で最もソフィスティケイトされたバイクが必要であって、そうじゃなければ存在意義がありませんよ。」

モトGPの『低予算化』が話題になってますが。
「ええ。僕としては、レースや開発予算なんかよりプロモーション関係の方を削って欲しいですけどね。」

お金の話で言えば、『Forbes』の世界長者番付スポーツ選手部門で9位に入られてましたね。御本人としては「ヤッター！」と言う感じですか？
それとも「もっと上位にいけたのに…」と？
「ヤッターですね、そりゃもちろん。でも、世界優秀スポーツ選手BEST10って言うのに入れた方が興味あるかな。」

BEST10内に入れると？
「はい。」

BEST10には、そのほかにどんな選手が入っているとして？
「まずは、メッシ選手とボルト選手ですね。この２人は特別ですよね。」

そのほかには？
「クリスティアーノ・ロナルド、タイガー・ウッズ。NBAならコービー・ブライアントにレブロン・ジェームズ。ロッベンもかな。アメリカ人のモトクロスライダーでジェームス・スチュワートもほぼ確実。もちろん、ラリードライヴァーのセバスチャン・ローブも。強くて、キャラクターで売ってるんじゃなく、勝てる選手達ですね。」

そのキャラクターって言うのは本当のところ、どれだけ重要なんですか？
「たいして重要じゃないか、もしくは全く関係ないですね。勝って、違いを見せられるスポーツ選手のことはすごいと思いますが、キャラクターで売ってる選手にはそうは思いませんね。それしかないんだったら、特にね。」

でも、オートバイ業界でその手のことを言うなら、ロッシ選手だって少々…。
「（笑）そうかもしれませんね。まぁ、各選手ともそれぞれの歴史があって、それぞれの肩書きがあるわけだから。僕は、キャラクター作りとか考えたことは一度もないですよ。」

コミュニケーション能力が高いことで評価されてますね。その分野で名誉学位も授与されているし。
今のところ、コミュニケーション能力の高さで言えば、インテルのジョゼ・モウリーニョ監督があげられますが、どうでしょうか？
「おそらく、モウリーニョ監督の方が頭脳明晰だし、僕より優秀ですよ。コミュニケーションって言うものを武器にして、TVに出る時はもう何を言うべきか分かってますよね。ぜんぶ考えてきてるんですよ。僕は、もっと行き当たりばったりでね。考えてる時間がないって言うのもあるんですけど…。」

えっ、そうですか？それでは、あのライバルに心理的プレッシャーをかける作戦はどうなんですか？
「作り話ですよ。オートバイレースで唯一の心理的な駆け引きは、トラックのタイムでするものです。」

サッカーのインテル対バルセロナ戦はどちらが勝つでしょうね？
「厳しいですね。我らがインテルはジローネ（1次リーグ戦）では強いんですが、バルセロナにもメッシ選手がいますからね。モウリーニョ監督の不意打ちに期待してます。僕の考えでは勝てる手段はひとつだけ…メッシ選手を誘拐して、試合終了後に返すことぐらいかなぁ…。」

タイガー・ウッズの名前が出ましたが。あの一件については、どう思われますか？
「最近、この手の話が多いですよね。僕としては、その人間がプロとしてやっていることだけに注目すべきじゃないかと思います。タイガー・ウッズならゴルフだし、グイド・ベルトラーゾ市民保護局長（訳者注：セックス接待疑惑で捜査されている政府高官）ならその仕事で、それで良いじゃないですか。プライベートで何をやったって、個人の問題なんだから。」

政治家の事件の場合は、誠実さの問題とか、演説で言ってることと慌てて引っ掻き回してることの矛盾とか…。
「本当にそうですよね。ただ今って、重要な立場にいる人間の評判を簡単に落とせるじゃないですか。つまり、もし誰かが邪魔になってきたら、すぐに、その人間の知られたくない秘密を探り出して、それで、一杯食わせて…。非常に嫌な話ですよね。」

コローナ被告（訳者注：有名人への写真恐喝で懲役刑を受けているカメラマン）に会ったことは？
「ラッキーなことに、ありません。」

こう言うイタリアの現況で、プライバシーと言うのはどうやって守られるでしょう？
「戦うんですよ。物事はたまたま起きるわけじゃない。何かは諦めなきゃいけないんです。例えば、非常にありふれた話ですけど、僕がミラノの有名な店へ良く通って写真を撮られたとしたら、僕は怒るべきじゃないんですよ。まぁ、僕にとっては難しいことじゃないですけど。自分の家に居て、普通に過ごしてるのが好きなんで…。」

ロッシ選手の新しい恋人が『普通』の女性であるようにね。
「ご明快。これにも同じことが言えますよね。もし僕が有名人と付き合ったなら、プライベートなことですから…なんて言えないと思うんですよ。付き合うきっかけなんかも話題にされるだろうし、でも、それを分かっていれば、罠にはまらずに済むわけで。」

『自分が自分のマネージャー』と言う状態で、もう3年が過ぎましたね。いかがですか？
「絶好調です。自分のことは自分で管理するってことに大満足してます。分かったんですけど、誰にも僕にとって何が最高かなんて選べませんよね。確かに、この方が間違いが少なくて済む…。」

今シーズンでヤマハとの契約が切れますが。その後のご予定は？
「やっている最中ですからね。まだ何も決めてません。」

最近、ヤマハに対して愛着を抱いていると公表していましたよね。
「ええ。でも、先のことを話すと、いつも歪曲されて面白おかしく報道されますから。6月になったら何か発表します。」

ドゥカティ行きを夢見る声が多いですが…。
（微笑）

少なくともモーターサイクル業界なんですよね？
「その件に関しては確かです。」

残る疑問はただ一つなんですが。何だかお分かりですか？
「フェラーリの件ですか？」

ご名答。
「ドゥカティの件と同じですね…実のところ、話すことって何もないんですよ。最後にバルセロナでやらせてもらった走行テストは、ドメニカーリ・マネージングディレクターとモンテゼーモロ会長からのプレゼントですからね。そこでストップ。」

でも、お父上のグラッツィアーノ氏は4輪が夢ですよね。
「それは、そうなんですが。良く話題にはしてますけど、まぁ、言うなれば…。」

今年のF1初戦については、どう思われますか？
「フェラーリびいきなんですが、レッドブルのことが心配ですね。でも、最終的にはアロンソ選手で勝負するんじゃないんですか。」

シューマッハ選手については？
「あぁ、あの年齢で、あれだけブランクがあるときついでしょうね。」

シューマッハ選手のF1復帰については、どう思われますか？
「復帰するって言うのは、辞めるのが早すぎたってことですよ。もう本当にやりたくないって思うまでやらなきゃ。復帰したことによって、過去のキャリアに傷をつける可能性だってあるんですから。」

ロッシ選手は、いつお辞めになるんですか？
「レースに向かう前に、“ウッへ〜、走りたくないな〜”って思った時に。それが辞め時だと思ってます。そして僕は、2度は考えないでしょうね。」

［　完　］

（日本語翻訳：La Chirico / 伊語記事：Corriere della Sera 2010年4月10日）

明日は、いよいよヘレスGPの予選ですね。
トレーニング中に痛めた肩の方も良くなってるそうだから、なかなか面白くなりそうで。
さりげなく新しい彼女の話なんかも出てましたが、イタリアでもあまり報道されてないと思うんですよ。私も訳しながら初めて知りました。

去年はロッシ、ミーガン・フォックスが好みって言ってたけど、
今度の彼女はどうなんでしょうね。
まぁ、おめでたいってことで、ご祝儀クリックPrego…