モトGP『マシンの上でお婆さんみたいになってしまった』
セパンのオフィシャルテストでは、ヴァレンティーノ・ロッシが長い快復期間を経て、休み休みの走行を始動した。
トラックでの様子は苦しそうでもあった。だが、日を追うごとにリズムを取り戻してはいたようで、気持ちの方も上向きになってきている。
ロッシ本人もチームも、そしてドゥカティも、眼の前には難関が立ちふさがっていることを承知している。そして、いつものように、先頭に立ち音頭をとるのはロッシ自身なのだ。
この新たな挑戦に立ち向かってゆけることを、ヴァレンティーノ・ロッシは確信している。
セパンでのオフィシャルテスト開催中、肩のせいで1秒遅れると言ってましたが。
もし、その計算が間違っていないのなら、(肩の痛みがなければ)ほぼ1番だったと言うことですよね。
「(笑)ほぼ…ね。肩の具合に関して非常に満足しています。1日20〜30周走れたら良いところだろうって言われてたのが、日に日に肩の調子が良くなってね。つまり、モトGPマシンを限界まで走らせるストレスがかかっても問題がなく、後は力の問題だってことでしょう。もっと力が出るように急いで何とかしなければならないんですが、動きの方は非常に良くなってきてます。本音を言うなら、今じゃ、1秒遅れたのは肩のせいじゃないのでは…と思ってるんですよ。
と言うわけで、僕が1番だったってことはないですね。初日に比べたら、最終日は直線コースではそれほど遅れを取らなかったし、楽に思えたしね。(次は)大体、0.3〜0.4秒遅れぐらいになるんじゃないかなぁ。」
問題は常にブレーキングですか?
「ブレーキングと、コーナーの差し込みですね。結局のところは身体面でも大変だったんですが。左腕がボロボロになっちゃってね。左腕だけで支えようとするもんだから、負担がかかってしまって。運転してる時、無意識のうちにそっちに負担をかけてるんで、筋肉痛になってしまうんです。それに今、筋肉もあまりついていないしね。ようやくトレーニングを始められるようになったものですから。
トップグループから1秒遅れで、レース用のタイヤで走っても違いは大体そんなものでした。最速グループより0.7〜0.8秒遅れでしたね。やるべき事はどっさり残ってますけど、でも、良かったですよ。」
この3日間を総決算して、現在、ドゥカティのことを信頼していますか?
「全面的に、してますよ!以前にも言った通り、色々なことを把握するために、もっと走り込まねばなりませんけどね。特に、今のマシンはM1と乗り方が違うってことを理解しないと。だから、僕の方で慣れなければね。満足してますよ。僕達は良く働いてきた。最終日にはチャタリングの問題も解決できたし。しつこいようですが、まだ、やるべき事はどっさり残ってるんですけどね。特に、問題解決のために何をすべきか、このマシンがどんな動きをするのかを理解しないと。」
作業は『スタンダード・レベル』に近づけるところから始めると言ってましたが、どうなりましたか?
「初日に比べ、非常に進歩しましたよ。まだ、検討し調整する所はいくつかありますが。」
ヴァレンシアでの走行テスト後、ロッシ選手から変更要請が山のように出されたと言われてますが。
「待ってくださいよ。僕はそう言うことは何ひとつ言ってないんですけど。そう言う風に書かれていただけでしょ。ヴァレンシアで僕が指示を出してから、別のことをいくつか試してみましたが。上手くいったのもあるし、イマイチだったのもある。ヴァレンシアでのテストの真実は、そんなところですけど。」
正確には、ライディングのどの辺りを変えなければならないのですか?
「今のマシンは500ccの時のライディングスタイルに近いんですよ。あまり丸く走らない…ってことなんですが。ヤマハだと全てがソフトだったんですが、今のはもっとパワフルですね。」
カピロッシ選手がちょうど反対のことを言ってましたが。アクセルをすぐに開けられるようソフトに運転しなければならないと…。
「言い方が違うんですよね。結局は、同じことを言ってるんですが。アクセルを開くには、マシンをすぐに立て直さなければならない。要は、カピロッシ選手はヤマハに乗ったことがないわけで、あっちのマシンはどういう風に乗るのか知らないってことですよ。
アグレッシブだ、ソフトだって言うのはさておいて、あっちを走らせてた時とは違うラインを使わないとね。こっちの方は…多分リアのお陰だと思うんだけど、もう少し強く突っ込んで行けるんですよ。ただ、その後、カーブ中央にちょっと寄って行ってしまうんですが。僕としては、止まって、それから抜けて行くようなライディングに思えるんですけどねぇ。」
(ヤマハに移籍した直後の)2004年のセパンでのテストに比べ、精神面や技術面など今回はどうですか?
「2004年の時は、M1機でここに来て、もの凄く速く走りました。ただ、あの年に比べ非常に大きな違いがありますから。現在、僕の体調が良くないですしね。最終日の午後、いくつか試してみたことがあったんですが、マシンの上で僕がお婆さんみたいな動きをしてしまって。体調が、大きな違いだったかもしれません。」
ロッシ選手はマシンとの関係について良く話されますが。特に、M1機とのね。ドゥカティ機の方とはどうですか?
「今回はお互い、もう少し了解できましたね。このマシンも良くなりましたよ。僕の方も、チームの雰囲気に満足してるし。皆、エネルギー満タンって感じでね。特に、ドゥカティのスタッフ自身がベストを尽くしたがっているのが感じられます。これは良いですよね。」
マドンナ・ディ・カンピーリョの会見で、ウエルコム戦で果したようなことは今回のカタール戦ではできないだろうと言っていましたね。
今も同じ考えですか?それとも、少しは自信が出てきましたか?
「カタール戦で優勝するのは難しいでしょう。今回のテストを終えてみて、開幕戦から良いレースができそうかなぁと楽観的にはなってるんですがね。」
総合優勝の方は?
「良い質問ですねぇ。まだ、口にするには早過ぎますけどね。」
友人であるシモンチェッリ選手の快挙については?
「コンチクショーって感じなんですが、凄かったですね!おめでとうって思ってます。あんなに速くってね。特に、あのトラックでそうするなんて。速く走れる所じゃないんですよ。トップに出たがってるライダー達の邪魔をするのに、彼さえもそこを走れるんだなぁって思ってます。」
スピース選手のことは?
「スピース然り、ドヴィツィオーゾ然り。二人共、凄く強いですね。ただ、彼らについては、もっと凄いのかって思ってたんですが。二人共、ここのトラックはもっと速かったですからね。だけど、シッチ(シモンチェッリ)はそうじゃない。」
シモンチェッリ選手と競り合いになったら、どんな感じでしょうね?
「シモンチェッリ選手との競合いってのは、いつだって厄介なもんですよ。自分より20kg重量のあるボクサーと殴り合いをするようなもんで。捕らえれる可能性なんかなしにね。実を言えば、心配してるんですよ。肉弾戦になったらシモンチェッリ選手はいつだって強くて、攻撃的でしたから。」
そうなると、今回の世界選手権は近年において最も互角な闘いになる…と言うのは、2月のテスト段階の印象に過ぎないのか、それとも、あり得る話ですかね?
「僕の意見としては、レベル的には非常に互角ですね。四強が三強になってしまったのは別にしても…今のところ僕は不調なんでね…去年の終盤でそれ以外の三選手は非常に競っていたわけだから、今もそう言う状態でしょう。スピース、ドヴィツィオーゾ、そしてシモンチェッリの三選手のことですよ。ただ、僕の意見としては、全選手の中で最強だったのはロレンソ選手ですけどね。周を追うごとに、ヤマハの2台がどんどん安定感を見せていった。ホンダより強いとも思いますね。」
ロレンソ選手が、“ヴァレンティーノがトップに立っていた時に比べ、自分の時はレベルが互角になっている”と言っていましたが。
「この質問には答える必要がないと思うんですが。興味深いですよね。僕はいつだって独りで走ってきたし、ライバルがいたことなど一度もなかったことも事実です(笑)。しかしながら、ひとたび彼が優勝したら、全ライダーとも非常に強いと言うわけだ。」
ロレンソ選手は過去でなく、今季について話しているんですが。タイトル防衛と言う意味で。
「ロレンソ選手が言ってることに、僕は100%賛成しますよ。嘘じゃない(笑)。」
(日本語翻訳:La Chirico / 西語記事: SOLO MOTO 2011年02月17日)
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