モトGP『2012カタールGP成績表』
ホルヘ・ロレンソ(9点)
『ストーナー帝国』でやっとのことで勝ったのだ。故に、手柄は倍。総合ランキングで考えても重要であるし、メンタル面では基本と言えよう。今回のテストでの働きぶりも、プレシーズンテストでのレースペースを考慮しての作業振りも素晴らしく、2010年のレベルに立ち返ったかのように見える。もちろん、ストーナー選手がフィジカル面でトラブっていなかったなら勝てはしなかっただろうが、まぁ、それはそれとして…だ。
ダニ・ペドロサ(8点)
走行テスト中の口論やらトラブルやらなんだかんだで転倒してしまうほどだった。そのうえ、熱のせいで弱っていたし、例のヨットライセンス・カンニング事件のごたごたで『NG大賞』ものになってしまったせいもあるのか。
しかしレースでは生気と勝てるマシンを復活させ、ロレンソ選手から首位を奪取できるのでは…とまで思わせてくれた。2度決めて見せたオーバーテイクは、今回のレースの大賞もの。
ケーシー・ストーナー(6点)
テストも決勝レースも打ち負かされてしまった…レースではいつもの操縦振りだったにも関わらずだ。敗北の原因は右手の感覚麻痺。もちろん責められる話ではないのだが、ストーナー選手がフィジカルトレーニングを怠っていたらしきことは事実なのだ。そのうえ、各所の痛み(例えば首とか)に対し、治療を拒否。このマシンを乗りこなすには、そう言うわけにはいかないだろうに。
カル・クラッチロー(7.5点)
常に上位に食い込み、最高のウィークエンドだった。テストではファーストローを獲得(モトGPでの最高リザルト)、決勝レースでは見せ場を作り、ヤマハデビューのチームメイト(しかしクロッチロー選手よりは経験豊富)を打ち負かしたのだ。そのうえ、なかなか良いキャラクターでもある。
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(6点)
カタールでは常に強い走りを見せてくれるのだが、今回は得意のコースを最大限に生かしきれずにいた。もちろんヤマハ機にまだ馴染んでいないわけだし、シャーシも電系システムも完璧なセッティングだったとは言えず、それ故、失速してしまったのだろう。ただ、クラッチロー選手のことは抑えておくべきだったのでは。
ニッキー・ヘイデン(7点)
走行テストでも決勝レースでもドゥカティ勢のトップ。これ以上のことはできなかったと言えるのではないだろうか。常に全身全霊を打ち込む姿勢は、最終的なリザルトよりも高評価に値する。
アルヴァロ・バウティスタ(5点)
今回のウィークエンドの間ずっと何らも証明しなかった。まぁ、決勝レースでは躍起になり、もう1台のホンダのプライベート機に競り勝ってはいたが。
ステファン・ブラドル(6.5点)
品位あるデビュー戦だった…レース中盤までは頑張ったものの、最後はリアタイヤの劣化のせいで操縦しきれていなかったが。モトGPクラスでの初陣なのだから、仕方がないことだろう。
エクトル・バルベラ(5.5点)
走行テストの間中、他の選手全員にとっては悪夢のような存在だった。コース内をうろつき回り、良い『当たり』が来るのを待ち続けていたのだ。惜しむらくは良い走りをする割に、レースに向けての作業をは決してしないところか。ヴァレンティーノ・ロッシをコース外に押し出したらしいが(ロッシ本人が主張)確認のしようがない…映像がないのだから。
ヴァレンティーノ・ロッシ(4点)
私個人としては、堪忍袋の緒が切れようが、これ以上はプッシュする気になれなかろうが、まったくもって当然のことだと思う。もはや信じていないのだ…その結果、無惨なリザルトと言うわけ。予選12位で、モトGP機の中では最後尾、決勝レースでは10位…トップ陣との差は一生分。このまま前に進めるものではないだろう。
ベン・スピース(4点)
昨年同様、プレシーズンでは終始強い走りを続け、レースが始まるや否や、どこぞへ消えてしまうのだ。予選では2度転倒し(1度は激しく)、そのせいで自信が失われたのは確かだろう。それにしても決勝レースでは遅かった。チャタリングとフロントへの不信感のせいで失速していた。
コーリン・エドワーズ(7点)
予選でも決勝レースでもCRT機の中ではトップ。エドワーズ翁がやるべきことを為している。
ランディ・ド・プニエ(4点)
予選で2回転倒。ほぼ確実に競争力は上のART機に乗っているにもかかわらず、エドワーズ選手にしてやられた。
ヨニー・ヘルナンデス(6.5点)
まったくもって品位あるパフォーマンスだった。
アレックス・エスパルガロ(4点)
どこにいたのか。
イヴァン・シルバ(4点)
明らかにチームメイトに負けていた。
マッティア・パジーニ(4点)
残念ながら、このマシンを操縦できません。
ジェームス・エリソン(4点)
すごく遅い。
ダニーロ・ペトルッチ(4点)
テクニカル・トラブルにより余儀なくリタイヤ。乗っているイオダ機がこれほど未熟なことを思えば、評価すべきではないと言うものだ…。
カレル・アブラハム(5点)
第6ラップでブレーキに問題が生じ余儀なくリタイヤした際には、11位でロッシ選手の前を走っていた。
ミケーレ・ピッロ(6点)
おそらくピッロ選手が乗っているFTRホンダ機は、この中でも最も未熟なマシンだろう。しかし、少なくとも予選では操縦の仕方は知っていると言うところを見せていた。決勝レースではリアタイヤがブロックし余儀なくリタイヤ。
ヤマハ(9点)
M1機は非常にバランス良く、特に問題点なども見当たらない。パワーが若干足りないものの、以前に比べれば直線コースでの差もずい分と少なくなった。
ホンダ(9点)
予選ではかなり苦労していたように見えたが、決勝レースではまだまだ勝てるところを証明していた。
ドゥカティ(4点)
献身的な苦労や選手らを徹底的に弁護していることを思えば、10点を付けても良いぐらいなのだが、残念ながら時間がドゥカティと勝負をしている。つまり、30年前からアルミニウムでツインスーパーフレームを作っている日本勢を打ち破るマシンを、半年で作り上げようと思うことが不可能。リザルトはドゥカティに敵対し…わずかな時間で無い物ねだりをすると言うのも非道なことではあるのだが。ただ、レースってのはそう言うとこだけにかかっているものだけどね。
(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:Moto.it 2012年04月09日)
そう確かに、カル・クラッチロー選手は良いキャラですね。