お待たせしました。
ドゥカティ移籍後のジェレミー・バージェス氏がねっとりと語っております。
エラい長いんで2回シリーズと言うことで、まずは前編からどうぞ!
モトGP 『ジェレミー・バージェス:独占インタビュー』
オーストラリア人エンジニアとロッシ・チームがドゥカティで
X’マスの影響かもしれないが、ジェレミー・バージェス氏が赤を着ていると独特の印象を受ける。
ドゥカティのユニフォームを身につけ、ドゥカティ・コルセ社内を歩く姿と言うのは、もう言葉では言い表せない。とにかく重要なのだ。
ずっと我々が間近に感じ取りたいと、触れてみたいと思っていた新しいドゥカティ。バージェス氏の、ヴァレンティーノ・ロッシの、そしてフィリッポ・プレツィオージ氏のそれである。
ドゥカティと新チームが初顔合わせをした時、デスモセディチGP11が初めて組立てられた瞬間、偉大なる挑戦に向けてプロジェクトが練られた日々の、それを知りたかったのだ。
明瞭な、興味深い話を聞くことができた。
世界で最も多くのチャンピオンタイトルに携わってきたチーフエンジニア、ジェレミー・バージェス。
常に実践的であり、頭脳明晰、直球勝負で切れ味鋭い人物である。
「私達のレベルがこの程度だと本当に思っている者がいたら、ちょっと頭が足りない奴だなって思うでしょうね。」
バージェス氏は、こう口火を切った。ヴァレンシアでのロッシ選手の走行テスト…あの期待はずれの結果について話すには、こう切り返した方が良いと知ってのうえだ。
「タイムだけで判断するならば、思惑通りにはいかなかったと言わねばならないでしょう。周囲から期待されていた通りにはいかなかったとね。私に言えるのは、そんなことは承知しているし、それが現況ではないと言うことだけです。
ヴァレンティーノがプッシュできなくなる時までは、実際に私達がどの地点にいるのかは分からないだろうってだけですよ。」
では、ヴァレンシアでのテスト結果については驚いていないと?
「ちょっとはね。ただ、ポイントはそこじゃないんで。とにかく、ヴァレンティーノの体調を考慮しなければ。それが全てを左右するんですから。もし体調がもっと良かったら、ヴァレンティーノはあんな難しい状況に陥らなかったでしょうね。」
ボックスの方では、それなりに驚いていたようですが。
「私達は驚きましたよ、確かにね。ただ心配はしなかった。そりゃあ、火曜日の朝、初めてドゥカティでの作業に取りかかった時は、ヴァレンティーノがそれまで出していたタイムにこだわってましたけどね。突然、タイムが変わってしまったわけですよ。一瞬の内に、頂上から谷底に落っこちてしまってね。整備に関しては、非常に冷静にスタートさせたんです。ヴァレンティーノが何周も走らなければならないことは分かっていたので、体調面でのエネルギー調整をしなければならなかった。2日目にはもっと速くなるだろうと思っていたんですが、体調が急激に悪化してね。そうはいきませんでした。」
フロントに問題点があると言うのは本当だったのですか?
「ドゥカティ機のフロントに問題があると言う点について、私はまだ納得してないんですよ。問題点が深刻で、プロジェクトを変えない限りは解決できないなんて思いませんけどね。もう一度言っておきますけど、問題点はヴァレンティーノの肉体の限界がどこかと言うことで決まると思っています。」
バージェスさんから見て、ドゥカティ機は扱いづらいマシンでしょうか?
「日本のとは違いますね。方向を変えるのが難しいんでしょう。扱いやすさに関しては、違った特色を持ってますね。バレンティーノにとっては確実に、これらは助けにはなりませんでした。モトGPの終盤戦ではすでに苦しい状態で、最終戦の後の(テストのある)火・水曜にどんなコンディションになるかを上手く予想できなかったんですね。」
ロッシ選手に合わせたマシンのセッティングは、まだ見つかっていないようですが。
「どのように対応すべきか、どのようにセッティングするかを理解するのに少々時間が必要なのは当然です。これは勝てるプロジェクトであると、私は思っているんです。つまり、優秀なマシンであると言うことです。ストーナー選手の戦績を見ていれば、それは分かります。」
ただ、ストーナー選手のライディングは特殊ですよね。
「ええ。でもケーシーは今年、もっと勝てたはずですよ。ヴァレンシア戦であんなにハードなタイヤを選ばなければ、おそらく茂木戦やオーストラリア戦のように1位になっていたでしょう。つまり、マシンは大変良い状態でシーズンの幕を閉じたと言うわけです。」
ストーナー選手は転倒が多かったし、マシンのフロント部とのフィーリングが噛み合ないと頻繁にコメントしていましたが。
「大体のケースにおいて、レース序盤でミスしてましたよね。終盤でのミスは一度もなかった。つまり、本人が気負っていたと言うことでマシンが悪いわけじゃない。最初の6〜7戦ではもの凄いプレッシャーを背負ってましたよね。それで転倒したんですよ。」
ストラテジーの観点では、今後の冬期テストの間にいかにマシンを改良するかが重要ですが、ロッシ選手やプレツィオージ氏と計画は練ってあるのですか?
「ええ。ただ、残念ながら作業にあまり余裕がないんですよ。ヴァレンティーノの現状からすると、我々は遅いスタートを切ることとなるでしょう。徐々に成長してゆくと言うことを目標にね。だから2月初めのマレーシアでは、できるだけ多くのデータを集めなければならないでしょう。ただ、現在の問題は技術よりも人間の方にありますからね。自然の成り行きにまかせなければならないでしょうね。」
つまり、ロッシ選手の回復次第だと。
「ええ。実際に走った結果を検証し、そこから判断してマシンを改良してゆくんですが、その実際に走った結果と言うのがまだないわけですよ。もちろん、今、私が言っている『判断』とは、それによってプロジェクトを変更し始めるもののことですよ。ヴァレンティーノが通常のライディングができるようになるまで、つまり、マシンが実際にどんな動きをするか分かるようになるまで、そう言う『判断』はできないわけですよ。」
ヴァレンシアでの走行テストの後、ドゥカティではもうプロジェクトに着手してますよね。
「ええ。でも、マシンを改悪してるわけじゃないですからね。それで良いんじゃないですか。2010年末のドゥカティの状況は、2003年末のヤマハのそれとは比べ物になりません。デスモセディチ機はレースで勝てるマシンだし、表彰台争いにも常に加わってきた。当時のヤマハは表彰台なんて1年にたった1回きりだったし、それ以外は常に後方にいましたしね。」
それではセッティング作業だけで事足りると?
「私達がドゥカティ機の問題点だと思う箇所を直すことになると思ってます。ヤマハでしたようにね。唯一、私が残念に思っているのは、ヴァレンティーノが本当に必要な情報を提供してくれない限り、作業のテンポを上げることができないってことです。ただ、同時に落着いてもいるんですよ。ドゥカティのマシンがすでに勝てる状態だからこそ、こうして待っていられるわけでね。ヴァレンティーノが回復した時には、早足で広範囲の進歩を遂げられることは分かってますから。」
[ 後編に続く ]
(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:Moto sprint 2011年01月05日)
バージェス氏、57才の新たなチャレンジに激励クリックPrego
長文翻訳お疲れさまです。m(_ _)m
バージェスとストーナーは同じオーストラリア人ですが、結構厳しいですね・・(^^;; ただ私もバージェスとは同意見で、ストーナーとペドロサはレースを急ぎすぎるのが悪い癖だと思います。
ロッシに関してはやはり怪我の状態が全てでしょうね。 インタビューを見る限りではかなりスロースタートになりそうです。orz
machcatさん、労いの言葉、ありがとうございます〜。
当初、バージェスさんはホンダへ行って、同郷のストーナーをチャンピオンにしたい…なんて説も出てましたが、選手としての器を見比べてドゥカティに決めたんでしょうかねぇ…。
そして、ペドロサがレースを急ぎすぎるのは、プーチさんにタイムを騙されるのが原因でしょうかねぇ。結局、あれが焦らせている原因だろうって言う意見もありますもんね。
ロッシは明日、マルボロ主催のイベントに出てくるみたいだから、どんな様子なのか楽しみなんですぅ。