モトGP『ストーナー:ペドロサにとってのドゥーハンになる気ない』
ケーシー・ストーナーがモトGPでの人間関係を、常のごとく歯に衣着せずマルカ西紙に語る。ロッシとは?新しいチームメイトとは?ロレンソとは?
カタール開幕戦前から嬉しそうでしたね。去年よりも嬉しそうに思われますが。気のせいでしょうか?それとも、本当にそうなんですか?
「もちろん、そうです。以前より、とてもとても落着いた気分ですね。去年はプレッシャーが強かったし、考えられないような小さな問題もいくつかありましたしね。今年は技術面でもマシンのことが分かってきたし、毎回、テストで何かしら問題が出てくる度に、どこが原因なのかも分かったし、速攻で直すこともできましたから。
チーム内ではみんな満足してますよ。今現在、僕の人生はかなりハッピーなものですね。キリキリするような理由はありませんから。うちのチームは今、絶好のチャンスに恵まれ、チャンピオンを目指す良いマシンがあるでしょ。後は楽しんで走れば良いだけですよ。それが今年の目標です。楽しく走れるようになること、シーズンを通して心配せずに走れるようになること。」
チャンピオンを獲得して以来、今が一番幸せですか?
「さあ、どうでしょう。充分にマシンを走らせなかったしね。一般的に言うと、そうですね、満足してますよ。でも、どんな時だって総合優勝とは比べられませんね。自信が沸いてくるってだけでね。」
アルベルト・プーチ氏(ダニ・ペドロサの個人マネージャー)が数日前に、ストーナー選手ならスズキに乗っても速く走れると言ってましたが。そう思われますか?
「いや、それは分からないですね。僕はホンダの方が良いですが。ここ4年間、僕は自分の操縦レベルにかなり満足しています。年々、強くなってきてるしね。色々とミスもしてきたけど、なんとかしてレースに勝とう…良い結果を出そうとしたためであって。悪い結果も出してきてはいませんしね。
タイプの違う2台のマシンに乗ったわけだけど、レベルで言えばどちらも非常にコンペティティブですよ。別のマシンでも同じように走れるかどうかは分かりませんが、自分が出せるスピードには満足してます。」
マシンが変わったらライダーはそれに慣れなければなりませんが、ストーナー選手の場合はマシンの方が合わせてくれますよね。どうしたらそんな風になるのですか?
「いいえ。僕は自分自身に合わせ、マシンに合わせてますよ。ただ、自分に合わせる方が積極的かな。」
でも他の選手に比べ、ストーナー選手はラィデング方法を簡単に調整されますよね。
「今年のホンダが良い例ですね。2回目のテストまでセッティングには手を付けなかったんですよ。一ヶ所もね。ただ乗ってみて、どんどん自信をつけていっただけで。僕としては、それがマシンに合わせるってことなんです。他の選手よりも僕はそれが簡単で、それは、僕が自己批評することに積極的だからなんです。何が悪いかを理解し、どうすればそれ良くできるか分かってます。今後、セッティングは変えてゆくし、色々ともっと良くなってゆきますよ。」
エディ・ローソン選手やヴァレンティーノ・ロッシ選手などは異なるマシンでそれぞれ総合優勝を果し、それ故に名声も上がってます。ストーナー選手の移籍は、それも理由の一つなのでは?
「そう言うことは全くないです。レプソル・ホンダの一員になるのはキャリアを通じての僕の夢でしたから。子供の頃、ガードナー選手やドゥーハン選手がここのマシンで走っているのを見てきたし、僕もそうなりたいと思ってきました。ドゥカティにはチャンスを与えてもらいました。僕の力を信じてくれる人は誰もいなかったんですからね。そのうえ、タイトルを狙いに行かなくても良いようにセカンドライダーにしてくれてね。。でも、僕はワークスチームで走って自分の力を証明することができました。
ドゥカティにとっては初めてのチャンピオンタイトルを贈ったし、ドゥカティがモトGPに参戦して以来、もっとも多くの優勝うぃしてきました。満足していましたが、ちょうど移籍のタイミングだったんです。
チャンスがやって来て、HRCでならもっとたくさん勝てるって感じました。こちらはモチベーションも高いし、オートバイレース参戦の歴史も古いし。それに将来に向けての助けになりますから。」
ペドロサ選手についてですが、腕の問題を抱えながら3位、2位に入りましたね。フィジカル面で好調ならば、もっと成績が良いのでは。今回は、絶好調のペドロサ選手となるのでしょうか?
「はっきりとは分かりません。以前は問題がなかったわけで、そして強かった。やり辛かったのは確かでしょうね。ペドロサ選手の問題の方が、ロッシ選手のよりひどかったでしょ。神経がトラブっていたのだから。筋肉より大変ですよね。ペドロサ選手が最高のコンディションじゃないことは明白ですが、ただ、問題が解決したら競り合えるようになるでしょう。リザルトは違ったものになってくるでしょうね。」
ストーナー選手はどうですか?いつ頃、ホンダのマシンで最高のレベルに達せられると思われますか?
「全然わかりません。各レース毎に、様々な要因によって結果が分かれますしね。セッティングとか、他の選手の調子とか。いつだって非常に変わりやすいものですから。絶対にコントロールなんてできないでしょ。全力を尽くすってことだけでね。」
1990年代のドゥーハン選手とクリヴィーレ選手(訳者注:両名がレプソル・ホンダのチームメイトだった)の競合いの数々についてスペインで良く話題にされるんですが、現在の状況は(訳者注:ペドロサ選手との関係)、当時のそれを彷彿させるところがあるのでは?
「僕としては随分違うと思いますが。ドゥーハン選手はすでに覇者だったし、クリヴィーレ選手がそれに挑もうとしてたんであって。で、常にドゥーハン選手の後ろにくっついて走って、ラスト2周で抜こうとしていた。
僕としては、ダニの方がスピードがありますよ。もっと危険だし。ダニは自力でレースに勝てます。終盤でトップになることもできるけど、自力で勝てますよ。そこが強味ですよね。だから、同じ話しにはならないでしょ。僕は覇者じゃないし、ダニは僕の後ろにいるわけじゃない。現在、僕らは闘っているんですよ。」
スペインではドゥーハン選手は悪役なんですよ。そう言う役柄を演じる気持ちはあるのですか?
「ドゥーハン選手がそうだったって言うのは当然でしょうね。スペイン人選手を打ち負かしてたんですから。僕は悪役を演じる気はないです。僕はチャンピオンになりたいだけです。」
オーストラリアではヒーローなんですよね。
「そうですよ。だから、僕には関係ないことでしょうね。」
もしも、シーズン終盤でチャンピオンを賭けて1対1の勝負をしなければならないとしたら、どの選手との勝負が良いですか?
「誰でも同じことです。全選手とも恐るべき強味を持っているし、全選手とも弱点がある。誰と勝負をするかは重要ではありません。どちらにしろ難しいでしょうね。より危険な相手なんていませんよ。他の選手達にとって最も危険な選手になりたいと願ってるだけです。」
昨年は、まさにチャンピオン然としたロレンソ選手の活躍ぶりで、今年も様々な点において向上してきているようです。
ロレンソ選手に対して “ここを向上させた方が良いぞ” と思っている点がありますか?
「言いたくないです(笑)。ロレンソ選手も僕に対してそう言うでしょう。僕は自分で多くの点において改良することがあることも分かっているし、他の選手達の弱点も分かっています。レース毎にそれを見ていかなければならないしね。18ヶ所もサーキットがあって、すべて違ってくるんですから。」
今回のオフシーズンでも、ストーナー選手のキャリアを通していつも、ヴァレンティーノ・ロッシ選手について…ロッシ選手が何かミスをしたとか…話されることはありませんでしたね。しかし最近、ドゥカティについては話されているようですが。批判する気持ちなどなかったのでは?
「批判じゃありませんから。僕が言ったのは、バージェス氏とヴァレンティーノが去年シーズン終盤の僕のことを悪く言ってたのが気に入らないと言うことだけです。マシンの本来の威力を僕は分かっていなかったとか、それは僕が限界まで極められなかったからだとか、色々と言ってたんです。それとバージェス氏が、非常に簡単なセッティングがあるからマシンを調整するのに18秒しかかからないって言ってたのとか。
二人共、何ヶ月もかけてるのにマシンを改善してないじゃないですか。僕としては、口を慎むべきだと思いますね。だって、あのマシンにどうやって乗れば良いのか分かっていないんですから。今ならもっと僕や僕のチーム、それから僕がしてきた事に敬意を払っているでしょ。どのシーズンだってずっと僕は批判なんてしなかった。言ったことのいくつかが誤解されてしまった可能性はありますけどね。」
ロッシ選手のドゥカティ移籍については、気違い沙汰だと思われますか?それとも、ヤマハがロレンソ選手を選んだために残された唯一の道だったと?
「ヴァレンティーノはチームの中で一番重要だと感じられてなければならないんです。もちろん、これまでのことを考えたらホンダに行くわけにはいかなかった。適当なではなかったんでしょうね。ヤマハではやっていけなかった。だって、チャンピオンになれなかったんだから、たっぷり支払ってもらうわけにはいかないでしょう。だから、より多く支払ってくれる所へ、より熱望されている所へ移らなければならなかったんですよ。ロッシ選手がバージェス氏と話して、そして、二人で “よし。あの簡単マシンを直せるぞ ”って言ったんですよ。ドゥカティ機のポテンシャルも高かったですしね。それに冒険もしたかったんでしょ。ヤマハに移った時のようなチャレンジを、新たにしたかった。ただ、今回はそれほど簡単にはいかないでしょうけどね。」
ヘレス戦での転倒については話題にされたくないと思いますが、ただ、レースの話になると “ストーナー選手のことは心配ない。3レース勝ったと思えば、2レースは転倒だから。ロレンソ選手やペドロサ選手の方が安定している” なんてことを聞くんですが。ただの言いがかりでしょうかね?
「ここ3〜4年間の統計によれば、レースでの転倒回数はペドロサ選手やロレンソ選手よりも僕の方が少ないんですよ。昨シーズンのことしか見ない人は多いものですが。以前よりは随分とマシンにしがみついてたんですけどね。
僕は5〜6位でゴールしたくはないんです。1位か表彰台でゴールしたいだけなんで。何を言われても気にしません。言ってる人達がマシンにしがみついて走るわけじゃないし。僕は転倒が少ない方の選手なんだってことが忘れられてるんですよ。ヴァレンティーノ同様、もしくは、それ以下か。良く見ててくださいよ。」
(日本語翻訳:La Chirico / 西語記事:Marca 2011年04月29日)
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ストーナー選手が歯に衣着せぬ…ってよりは
マルカ紙の質問の方がスゴいと思うんですが。
なるほど…て思いながら読みました(笑)
インタビュアーがすごいですよね、質問内容に驚愕です。
しかし、ケーシーと言えば肝心の所で転倒してるイメージがあったので
ホントはそんなに転倒していないってホントかな~と思いました。
それにしても・・・やっぱりロッシをうらんでますね、相当。
相性が合わないってあると思いますが、なんだか背中が寒いです。
よしちゅうさん、やっぱりこれ、質問の方がスゴいですよね(笑)。
イタリア紙だとそうでもないんですが、スペイン紙の方っていつも本当にスゴくて…その割には、皆、動揺もせずに淡々と答えてるんですけどね。
でも、つくづく、ロッシと揉めるとこんなに注目されるんだ…って驚いてます。今、ロレンソの周囲などは静かそうですからねぇ。
ストーナーが転倒が多いのは間違いない事実だと思うが・・w まぁ理由は色々あると思うけどね。 ストーナーは先頭を走ってる時は強いと思うけど、2位以下になるといきなり安定性が落ちるってのが私のストーナー観ですね。
ドゥカのマシンは素人の私から見てもロッシ向きでないのは明らかだったので18秒でセットアップ出来るってのは無理でしょうね。 まぁ~M1の時よりは素材としては良いはずなので、シャーシの改良が出来れば良い結果も出せると思います。 ただ問題はロッシの肩の手術でしょうね。 あれがなければ間に合ってたと思います。
machcatさん、ストーナーってイタリアでは一時期、『ローリングストーン』ってあだ名が付いていたんですよ。もちろん、転倒が多いから。最近は、あまり言われなくなりましたけどね。
デスモセディチのシャーシは今日あたり、ポルトガルでテストをしてる気配なんで(ロッシはシャーシじゃないって言ってましたが)、次戦あたりではいよいよ期待できるでしょうかね!
テストの結果では新シャーシはいいらしいですよ。 次戦からすぐ投入するらしいです。 ただ今回のグランプリとテストで一番大きかったのはエンジンの電子制御らしく、凄く扱いやすいエンジンになったようですね。
ロッシの肩も手術後目安の半年になるのでそろそろ限界での走りが出来るかもしれないですね。 ヤマハのマシンがあってたと言うのもあるんですが、ロッシはルマンは強いですし期待できるかもしれないです。 ただトップ争いは次戦はロレンソではないかと思ってます。(^^;;
machcatさん、ポルトガル・テストでは新シャーシ…かなり手応えがあったようですがル・マンの方では…なにかまた別のテストでも密かにしてるんでしょうかねぇ。
今回はレース場外でも色々とあったようだし、ロッシ自身はけっこうこの手の心理的かけひきは楽しんでいるようだから、なにか隠し球でも持ってるんでしょうかね。