モトGP『ペドロサ “ロッシは本番ライダーだから”』
ほんの数時間前にダニ・ペドロサ選手の肩の再手術について正式発表がなされたのだから、ヘレス戦を控えた3月31日に当誌がペドロサ選手にインタビューをした際に、話題のほとんどがその件についてだったとしても不思議はないわけだ。
しかしながら、ペドロサ選手の隣を陣取っていた広報担当のジェンマ・ロデース女史が、
「肩に関する質問はなしでお願いします。ダニはレースの方に集中したがっているもんですから。」と言って、こちらのインタビュー企画を台無しにしてしまった。
ペドロサ選手の精神状態を保つべく当誌としてはこの方針に従ったわけだが、せっかくのこの協力も、モトGP公式会見の内容を思えば効果があったとは言えないだろう。同会見でペドロサ選手は肩に関し、質問8つまでにしっかり答えていたのだから。
怒りで開いた口がふさがらない。これじゃ我々は阿呆みたいじゃないか。それか、少なくともペドロサ選手の広報担当者にはそんな風に扱われたってことか。
まぁ、どちらにしろ今となっては手術も終わったわけだし、ポルトガル戦に間に合うよう、今後、どうしてゆくべきかも分かっているわけだ。
回復すると言うのは、つまり、チャンピオンタイトル獲得に向けての完璧なオプションを保てるようにすると言うことだ。最高峰クラスに上がってから最高のプレシーズンテストを終え、初回テストからずっとコンペティティブなマシンを意のままにしているシーズンにおけるオプションをだ。
「冬期テストは絶好調だったし、初日からマシンは良い反応をしてくれました。今まで、こんなことはそう多くはなかったんですよ。」
プレシーズンテストについて訊ねると、ペドロサ選手からはこんな返事が返ってきた。
「色々なことをテストしてみたし、やり過ぎるようなこともなかったです。だいたい全て、テストをすると上手くいったんで。ベースが良かったですからね。
ものすごく気に入った点もあったし、そうでもない点もありましたけど、今回は方向性を失って迷子になったりはしませんでしたね。」
セパンのプレシーズンテスト以前から、テクニカル面がこうスイスイ上手く行くとは思っていたんですか?
「いいえ。テスト終盤ぐらいからですね。去年、最後に乗っていたマシンの調子が良かったってことは分かってましたが。」
今回のホンダマシンは良く話題にされてますが、選手の皆さんはそれほど変わっていないと言いますよね。
「僕のはそうですね。シャーシをいくつか試してみたのと、電子制御システムはかなり改良しましたけど。コーナーで減速したり加速したりした時にサポートしてくれるような電制のセッティングがいくつかあるんですよ。ただ、マシン自体は去年と変わってないです。
ストーナー選手のは変わってるかもしれないですね。去年は別のメーカーで走ってたんですから。ドヴィツィオーゾ選手のもね。彼の場合、以前は別のシャーシを使ってたんで。でも、僕のは2010年ラストのやつと変わってませんよ。」
ペドロサ選手の加速の良さが常に際立ってましたね。今回のマシンの改良で、これらの点を向上させたのですか?
「それはないでしょう。ほとんど同じですよ。トラクションがちょっと強くなりましたかね。去年、この点が悩みの種だったんで。マシンはまだ完璧とは言えないんですが、ちょっと強くなりましたから。それのおかげで去年よりコーナーでスピードが出てるかもしれないです。ブレーキングに関しては、僕らはまだまだ準備不足って感じです。コーナー進入の際にやっぱりマシンが動くし、ドヴィツィオーゾ選手もストーナー選手も、僕と同じ状態です。強いブレーキングをかけるとマシンがもの凄く動くって、僕ら3人共感じてるんです。簡単には良くならないんでしょ。
例えば、ホルヘは同じポイントで問題がないんですよ。だから、彼のタイムが良いなら、うちの弱点が目立ちますよね。簡単なことではないでしょう。今回の日本の大災害に加え、エンジニアはもう来年のマシンの方に取りかかっていますからね。」
タイヤに関してはフロント・リアのどちらの方を心配していますか?
「僕としてはフロントが力を発揮してくれる方が良いんですが。もし、リアに何があっても、自分で何とかできるでしょうから。」
タイヤの反応に関してなんですが、エリアス選手はいつもリアの温度を上げるのに苦労してますね。ペドロサ選手も同様に苦労されているのですか?どうすれば良いものなんでしょうね?
「我慢することですね。いまだにそれは、どうにもなってませんね。ストーナー選手が同じマシンを使ってるんですが、スタートさせて最初の一周りで(タイヤは)もう使えるようになってますよ。どうなんでしょうね。ライダーの能力にも依るんでしょうし。マシンのおかげで温度を上げられることもあるし、そうでもないマシンもあるし。多分、スズキのマシンがタイヤを暖めるには大変なんじゃないかな。だから去年はバウティスタ選手もカピロッシ選手も、良く後ろの方に転倒してましたよね。
以前のミシュランのタイヤの時はマシンがかなりフロント側に集中するんですが、ブリヂストンだともっとリヤを使わなければならないんです。
単純に体重をちょっと後ろにかけるんですけどね。ブリヂストンに変わった時、コーナーでは常にリアタイアが邪魔してきて。後ろ側に体重をかければ良いんだって、だんだん、みんな学習していったんですけどね。」
ロッシ選手の動向は常に伺っていますか?
「ええ、もちろん伺ってますよ。カタール戦でどんな風になるかは、だいたい分かってましたけどね。だって、彼は日曜日の男ですから。プレシーズン・テスト中は9位、10位、11位でしたけど、結局は6位を競って7位でゴールした。がっかりのスタートを切ったのにね。どれぐらい時間がかかるか分からないけど、いずれやって来るのは確かでしょ。今はマシンも思うように行ってないし、色々と問題もあるわけだし。でも、もう変化は出てきているし、すぐに一歩踏み出して来るでしょうね。走行テストでより、本番レースで多くを学ぶタイプのライダーですから。コースに出て、ライバル達と走って…何をどうすれば良いのか、そこで学んでるんですよ。そのうえ、ライディングスタイルの調整も上手いし、確実に2〜3レース後には違いが見えてきますよ。」
(日本語翻訳:La Chirico / 西語記事: Solo moto 2011年04月14日)
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珍しくインタビューの前振りが長いと思ったら
愚痴だったんですね…