モトGP『ロレンソ:No.1の座は失ったけど僕は優秀ライダー』
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シモンチェッリ選手の葬儀
イタリアのコリアーノ市で行なわれたシモンチェッリ選手の葬儀に参列されてましたが、教会の献辞帳に書かれた追悼の言葉を報道され大変深いに感じられたとか?
「ええ。僕はああ言うところに何か書き込んだことってないし、書いたものが一般に公表されるなんて思ってもいませんでした。でも、この世界じゃ、結局、皆が知ることになるんですよね。」
とにかく、シモンチェッリ選手のライディングスタイルについて最も強く抗議していたことを後悔されていると言った言葉でしたが。その真意は?
「こう言うことがあると、一番大切なのは命であって、それ以外のことは二の次なんだって気づきますよね。言い合ったり、ケンカしたり、レースだって二の次なんですよ。僕らにとって一番重要なものは命であって、仲間が逝ってしまった時って言うのは悲惨なもんです。マルコとあんなに対立してしまったのは苦い記憶として残ってます。もしかしたら、もっと冷静に話し合えたんじゃないかって。内輪で…TVカメラなしで話し合ってたら、和解できてたんじゃないかって。もう、あまりに遅過ぎる話だし、ぐちぐち言ったって意味はないんですけどね。」
No.1の座を返上されましたが、気持ちの上で消化するのに苦労されましたか?
「いいえ。子供の時から、“やるべき事のみやれば良い、それ以上は無用”と教わってきましたから。今、ある力でもって挑み、最良の結果を取りに行けば良いとね。デルビーで走っていた時にそうやって学び、その後、別のメーカーに移ってもね。実際のところ、2008〜2010年までかなり勝てるマシンを走らせていたわけで、それで、うちは大体全てを獲得してきたんだし。ライダーのタイトルにコンストラクターズやチームタイトルを3年連続でね。それに甘えてしまうわけですよ。つまり、それほど競争力が高くないマシンに乗っていても同じように走ってしまい、より危険を冒してしまうわけで。それでも、今年はそれほどミスを犯しませんでしたよ。もちろん、シルバーストーンやフィリップアイランドは別ですが、去年よりも全体的にバランスの整ったライダーになったと思ってます。僕は優秀なライダーですよ。リザルトは悪かったですけどね。」
つまり、マシンで負けたのであってライダーではないと?
「その2点両方ですね。どちらが悪かったかを推し量るのは難しいことですから。今シーズンは例えば、ホンダが4台参戦してたけど、最大限のパフォーマンスを引き出していたのはストーナーであって、ペドロサでもドヴィツィオーゾやマルコでもなかった。つまり、マシンの影響力と言うのは高いものだけど、現在のレースではまだライダーの力の方が影響してくるんですよ。ただ、双方のバランスが五分五分にはなってきてますけどね。」
全体的に見るならば、ロレンソ&ロッシのコンビと言うのはそう悪くなかったのではないですか。コンビ解消後、両選手とも成績が下がっているのでは?
「まさか。僕ら二人とも絶好調でしたよ!真面目な話、実を言えばホンダが今年は大きな一歩を遂げたんであって、ヤマハはそうでもなかった。そうじゃなかったら、僕もベン(スピース)ももっと勝ってたはずだし、最終的には、ヴァレンティーノと一緒だった時と大体同じぐらいの感じでしたよ。」
低排気量クラスで戦って以来、ペドロサ選手は常にロレンソ選手に対し危機感を抱いていたようですが、ここに至って、ペドロサ選手はマルク・マルケス選手に凌駕されそうな気配ですね。
「多くがそう言ってますが、僕はそれほど確信してないですね。ペドロサ選手は偉大なライダーで、非常に強いライバル達がいるシーズンにはもの凄く速かったですから。今年もけっこう優勝してたでしょ。マルケス選手は驚異的なシーズンを披露しましたね。モト2って言うのは難しいクラスで、40台もが一緒に走るんですからね。ただ、このクラスのトップ陣って言うのが以前のように粒ぞろいなのかどうか…。マルケス選手の今年のライバル陣を悪く言うつもりは毛頭ないんだけど、モトGPクラスの大物ライダー達に立ち向かうのは、また別の話ですからね。」
マルケス選手のモト2残留は良い選択だったと?
「来シーズンにはもうモトGPクラスで充分やっていけると思うけど、まぁ、本当に昇格したらどうなるかは見てみないとね。ダニやその他の選手よりも速いかもしれないし、そうじゃないかもしれない。その時になったら分かるでしょ。」
ワークスライダーとしては、モトGPクラスに新たにCRTが導入されることについてどう思われますか?カルメロ・エスペレータ社長が言うように2013年にモトGP機が互角になるようなレギュレーションは可能でしょうか?
「レースの見せ場を楽しむのに、新たな1000cc機のような直線コースで時速360キロに達するようなマシンなど絶対に必要ないですね。かつて、280キロしか出なかった頃でも見ごたえあるってもんじゃないぐらいのレースができたんですから。
モト2クラスなんて信じられないようなレースをやってますよ。僕としてはマシンの数が多すぎますが。CRT導入はチャンピオンシップにとっては妙案になるかもしれないし、とても興味深いものだとは思います。ただ、各マシンのパフォーマンスが同等になって、あまり高額にもならないような妥協案も出してね。それと共に、各メーカーが改良を続けられ、マシンがどんどん安全なものになるようなチャンスも提供しながらね。競争があってこそ続けていけるものですから。」
新モト3クラスについては?
「近い将来の話ですよね。4サイクルエンジン時代です。短い間にすぎませんがね。次は電動マシンの時代が来るでしょうから。125cc機って言うのは非常に難しいものだったんですよ。非常にデリケートで、だから、選手達も多くを学ぶことができたんですから。でも、ドルナがそうすることにしたって言うのは、その方が都合が良いからなんでしょ。」
最後にスポーツからは外れた話題なんですが、最近、ロレンソ選手とお父上がネット越しに議論を戦わせていますね。お父上がシモンチェッリ選手の事故についてされた発言を恥じるとまでツィーターに書き込んでましたが、この話題はご不快でしょうか?
「別に。その点に関し、僕の意見ははっきりしてますから。父は僕の父であって、父や母なしには僕はこの世に生まれてこれなかった。だから、世界中の息子同様、もし誰かに何かされそうになってたら死んでも守りますよ。でも、父が言ったりしたりしたある事柄については賛同しません。特に、マスコミレベルでね。もし僕がモトGPチャンピオンでなかったら、誰からもインタビューなどされないと言うことを念頭に置くべきでしょう。何か発言すれば僕のイメージを損ないかねないってことを理解するべきでしょうね。父は非常に優秀なオートバイのトレーニングコーチであり、そのお陰で今の僕があるわけですが、父がマスコミに向けてしたコメントには賛同しません。」
[ 完 ]
(日本語翻訳:La Chirico / 西語記事: Sport.es 2011年11月20日)
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スペインって、相変わらず言う方も聞く方もはっきりしてますよねぇ…
ロレンソ選手のお父さん、息子の気持ちもわかってあげて…クリックPrego