モトGP『Motosprint誌ロッシ独占インタビューをSolomoto誌が掲載』
[ 前編はこちら ]
第1の問題点は?
「コーナー進入時、どうしてなのか分からないんだけど、膨らまないで走るためにフロントが役に立たないんですよ。それが…つまりアンダーステアが一番大きな問題ですね。」
その点については2010年11月から指摘してましたよね。1年も作業してきたなら…。
「実に信じがたいことなんだけど、2010年から今まで僕が乗ってきたドゥカティ機すべてがそうなんですよ。シャーシ無しのバージョンやらフロント部分がカーボン製のものやら、最後はフレームコンプリートまで使ってみたけど、まったく何も変わらない…信じられないですよね。」
第2の問題点と言うのは?
「エンジンですね。ここもかなり重要な問題点ですよ。もう少し操縦可能なエンジンが必要です。うちのは非常にアグレッシブで、ホンダよりもアグレッシブ…ヤマハと比べたら遥かにですよ。実際、2010年11月にストーナー選手がドゥカティからホンダに乗り換えた時、すぐにRCVエンジンは超ソフトだって言ってたしね…。ペドロサ選手が散々、アグレッシブすぎるって愚痴り続けた後にね。ストーナー選手がソフトだって思うのは、ドゥカティから移って来たからですよ。」
2つの問題点のうち解決が難しいのはどちらですか?
「アンダーステアの方ですね。僕が思うにエンジンは、多少力が弱くても操縦しやすいものを作る方が簡単でしょ。プレツィオージエンジニアが頑張ったら、多分、できるんじゃないかな。」
アンダーステアについてですが、設計者はどうしてそう言う風にしたんでしょうね?どうしてそのままだったのでしょうか?
「そう言う風にしたんじゃなく、なってしまったんです。ドゥカティ内においてさえ、なぜ、この欠点がずっとそのままで…なくならないのか分からないぐらいでね。」
[…中略…]
しかし、そのドゥカティ機に乗って勝ててた選手もいるわけですよね。
「そう、ストーナー選手はそうでしたね。彼のライディングって言うのは非常に特殊なものだし、それに2007年当時は若ったからドゥカティ機に自分を合わせることも容易だったでしょ。まさにドゥカティ機と共に彼は進歩してきたわけだしね。実際、ドゥカティに感謝したって良いぐらいでしょ。あのマシンと共に成長してきたからこそ、今のライディングを学んでこれたわけなんだし…ああ言う特殊な操縦をしなかったら、自分が滅茶苦茶になるわけだしね。」
レベルは、ヤマハとホンダによってのみ上げられたわけではありませんよね。
「もちろん。ロレンソ、ストーナー両選手は本当に強い走りをするけれど、別に、“僕がヤマハに乗ったら、彼らなんかすぐに負かしてやるのに!”とは言いませんよ。ただ僕としては、まだまだ自分は勝負に出られるって言ってるだけで…わずか1年で全てが変わったなんて思ってませんから。2010年から現在まで、変わったことと言えばストーナー選手がドゥカティからホンダに移り、全実力を発揮できたってことですよ。」
ロッシ選手は2010年11月からドゥカティ機に乗ってるわけですが、いまだ困難な状況にあると言うのは一体どう言うわけですか?
「ドゥカティでは一苦労なんですよ…問題を解決するってことがね。まったくもって残念なことです。」
もしかしたらロッシ選手がもっとリーダーシップをとって、エンジニア陣を思い通りに動かすようにした方が良いのでは?
「僕はライダーであって、それで充分なんじゃないでしょうかね。僕がどれだけの作業をすれば良いと?」
[…中略…]
どのようにやってゆくこととなりますか?
「細かい部分をきちんとしていく必要がありますね…最重要事項から始めてね。それから徐々に進めていかなければ…毎回一歩ずつ進ませて核心に迫っていくようにね。」
ロッシ&バージェス法ですね。
「彼らに(編集部注:ドゥカティを指す)足りないのは経験と、特に冷静さですね。パニックに陥る必要なんかないんですから。何かを決める前には、すべてを良く熟考すべきであって…ただの熱狂的ファンみたいな行動を取るんじゃなくね。」
ドゥカティに経験と冷静さが欠いていたから、間違った方向へ進んでしまったのですか?
「ちょっとはそれもあるけど、別の理由もあります。多くの場合、ドゥカティって言うのは正当路線とは異なる方向へ進んで行くし、セッティングが非常に難しいマシンでもありますね。昔ながらの作業法って言うのは、ここでは往々にして上手く行かないんです。」
通常はライダーがエンジニアに問題点を指摘したら、エンジニアが作業し解決していくものですが。
「あぁ〜そこですよ…それが問題なんであって…。結局、どう言う話だと思います?別のところみたいに…特にホンダやヤマハみたいに問題点を解決できるようになるには、このレベルでの50年のレース経験が必要だってことですよ。」
[…中略…]
アンチ・ロッシらが良く“マシン開発の天才だって言われてた割には、1年半経ってもいまだドゥカティ機はまともなマシンになっていない”と言っているようですが。
「僕はマシンのプロジェクトはしませんから。僕はマシンの挙動を伝えているんです。実際、一緒に働いたことのある人達から、僕はマシンがどうなっているかを伝えるのが上手いって常に思われてきました。ボックス内に留まって、“どこそこのコーナーではアンダーステアだから、ハンドルの角度を下げなければ”とか“2.5度ヴァリエーションをつけなければ”なんてことは言えないけれど、コースを走っている時のマシンがどうなってるのかを理解し、それを説明することはできる…その点に関して僕はいつだって優れていたし…そこは僕の管轄だから。その後の作業に関しては彼らがやるべきなんであって…理解して、対処するのがエンジニアでしょ。」
この結論がメッセージを含んでいるようですが。
「僕は、あそこで、うちの問題点について明確に順序立てて説明しました。今は、それが解決できるのかどうかですね。」
できないかも…と言う恐れも?
「さぁ…ここに至るまではできなかった。ただ、このマシンはわずか3ヶ月でずい分と変わったし、すべては開発によるものでね。だから、勝負に出られるカードはあるわけで。ただ、適切なカードじゃなければね。」
ただ、ロッシ選手自身も以前のような迷いのない感じに見えないと言うのも否定しがたいことですが。
「コースに出てもろくに操縦もできないでいる自分を見るのも、出来損ないみたいな気分になるのも、通常なら自分より速くもない者らに負かされるのも心痛ですよ。」
[…中略…]
それ故に、もうマシンを走らせるのも楽しくないとか…。
「皆で一丸となって、可能な限りベストを尽くさなければ…もの凄く改善されたマシンでもってシーズン末に辿り着けるようにね。それが最良でしょう…それで問題もどっさり解決できるわけだろうから。」
このプロジェクトは、勝てるようなものになるまで固執し続ける価値があるのですか?
「(長い沈黙)その質問に答えるのは時期尚早ですね…。このチャレンジに打ち勝つと言うこと…つまり、ドゥカティ機で勝てるようになると言うことは、最高なことでしょうね。それは世間の熱狂振りを見ても、うちを応援してくれてるファンの方々の熱意を見ていても分かることでね。当初から僕のことが気に入らなかった人達なんかは別だけど、皆、信じられないぐらい応援してくれてるんですよ。それにドゥカティにはもの凄く多くの優秀なスタッフがいて、精魂込め、もの凄い情熱を傾けて働いているんです。」
しかし…。
「すべて素晴らしい…ただ、このマシンのせいで台無しになってるだけで。ストーナー選手は2009年に3レース棄権してたわけだけど、もうどうにもできなかったからですよ!」
[ 完 ]
(日本語翻訳:La Chirico / 西語記事:Motocuatro.com 2012年04月21日)
今週末のヘレス戦…どうなるんでしょうかねぇ…
ロッシ溜まってるね・・ でも正直この手の発言はワークスライダーとしてどうなのかと思う。 エースがチームの不満をぶちまけて上手く訳がないのに。
残りのライダー人生考えて少し焦り始めてるのかな? このインタビューにはちょっとガッカリ。
いつも翻訳アップありがとうございます。
嗚呼、それにつけても、ロッシさん・・・・・・・・・・・・(TT)
このインタビュー読みたかったんで、翻訳凄く嬉しいです!有難うございます。
いまさらロッシの功績や能力を疑う人なんていないと思うので愚痴る事ないと思いますけどね。
800マシン以降、ドカ乗りこなしたのはストーナーだけ。
バイクはあらゆる乗り物の中でも最も感覚的な乗り物だから、相性ってあるんじゃないでしょうか?
ベイリスみたいにドカに乗ってる時だけ速い人もいるわけだし。
古沢さんが復帰してプライベートチームを起こしてワークスM1を借りてくるとか、なんとかなりませんかね。
ロッシマニアってわけじゃないけど、このままメランドリの時みたいに萎んでいくのは寂しい。
ロッシ相当苦労してるね。
あまり不満をぶちまけるのは良くないけど、やはりロッシの指示に対してエンジニアサイドが上手くフィードバック出来てない現状に相当フラストレーションがあるみたいね…だからこう言ったコメントをしちゃうんだろうね!
あとテストライダーのバッタイーニってどうなんだろ?個人的には微妙な気がする!
ドカももう少し危機感をもってセンシティブな仕事をして欲しいね。
とは言うものの、この問題を解決するにはやはりロッシ自身がモチベーションを上げて根気よく取り組むしかないでしょ!motogpが盛り上がるにはまだまだロッシの力が必要不可欠…頑張ってほしいね。
「ストーナー選手は2009年に3レース棄権してたわけだけど、もうどうにもできなかったからですよ!」
これはストーナーの乳糖不耐症が嘘だって意味なのかな?
ロッシ本人のマインドが変わらなければ例えM1に乗っても良い結果は出ないのでは?
かつての勝ててた頃をイメージすると、不死鳥の如く復活する様子も想像しちゃうんですけどね。
いっそのこと、プライベーターとしてyamahaかsuzukiあたりにエンジンおねだりしてKR211Vみたいなマシンで走るってのでも良いんですけど!
たまにトップに顔出す程度でも盛り上がるようなw
現状ドカに、KC 乗ったら速いんでしょうねぇ・・・・・・