WSB『ミラーGP成績表』
マルコ・メランドリ(10点)
非常に好調。S1000RR機の全威力を発揮できる状態で(4年の歳月を経て遂に…)、競合いに盛り上がり、かつてモトGPクラスでセカンドポジションを獲得した格の高さを披露している。予選では3列目スタートを確保するにも苦労していたのが、決勝レースで大化けした。スピードあり、迫力あり。楽しめるようになりたいと言ってスーパーバイクを選んだわけだが、華麗にそれを成し遂げている。BMWに初勝利をもたらし、今やタイトルも狙ってトップであろうとしている。
カルロス・チェカ(8点)
チェカ選手が駆る1198R機は、もはや若い者に…ぴちぴちとしたRSV4、ZX-10R、S1000RR機らに太刀打ちできないでいる老婦人と言ったところ。チェカ選手もトップの座を護りたければ、何らのミスも許されないことは承知している。
レース1では絶叫オーバーテイクを決め、危険このうえなかったが、直線コースでの失速を挽回するには他に術がなかったのだ(チェカ選手のマシンはBMW機より時速20km遅いのだ)。そしてトップに躍り出るや否やイカレたようにプッシュしまくり、メランドリ選手をみごと食い止めた。
レース2では同じ戦略に出たものの、危ない橋を渡り転倒…オーストラリア・ドニントン戦と同様の結果となった。30ポイント差を縮めるのは不可能ではないが、前を走るは機関車のような連中だ。手負い獅子チェカ。
マックス・ビアッジ(8点)
フィリップアイランド戦レース1以降、勝利は皆無だが、総合ランキング首位の座は保ち続けている。ビアッジ選手が駆るアプリリア機はスピードはあるのだが、他の4機に比べこれと言って優ってる点はなく、故に、攻撃的に出ていくしかない。表彰台に上がるため、レース1ではレア選手の…レース2ではディヴィス選手の抵抗を迫力の一徹さでもってねじ伏せねばならなかった。ミスは皆無…2度目のWSB世界タイトルを獲得するにはそれで充分なのか?ハンマーの槌音のような安定感あり。
ジョナサン・レア(8.5点)
この才能ときたら…走っている姿を見ていると、つい思ってしまうのだ…もし競争力の高いマシンに乗ったなら一体なにをしでかすだろうか…と。現在のCBR機も非常に改良されており、特に、電系システムのおかげで…これ抜きではモバイル・クリニック定期検診券が必要だったことだろう。電子制御スロットル(Ride-by-Wire)と豊かな経験でもって、今年のレア選手はまさに見ごたえだけでなく、安定感も供えている。見ごたえと度胸と言うのは、このスーパーバイクのシンボルなのだ。彼がいなかったら、ホンダはどうするつもりだろう?
チャズ・ディヴィス(7.5点)
ミスター・世界一周ことディヴィス選手は大方の世界選手権に参戦しており、ミラー・サーキットはスーパーバイクAMA時代に良く走っていた(ただしトラックは違うのだが)。
ParkinGoチームオーナー、ジュリアーノ・ロヴェッリ氏はディヴィス選手を偏愛しているのだが、その理由がわかった。マシンの競争力を高めるべく黙々と作業を進め、昨日などは少なくとも表彰台に上がって良いぐらいだった。本人もチームも素晴らしい。このまま頑張ってくれ。
ヤクブ・シュムルツ(7点、スーパーポールのみ)
レースを廃止しようと署名を集め、予選リザルトのポイントを充てるつもりだったのか。ドゥカティ機が助けにならなかったとは言うものの…予選を制覇し、スーパーポールを獲得した後、レースで6位・9位と言うのはあまりにお粗末だろう。
トム・サイクス(7点)
サイクス駆るカワサキ機は開幕時には今年の新兵器と評されていたが、今やライバル陣もその差を埋めてきている一方、『ニンジャ』の方は常に同じトラブルを訴えている。サイクス選手はドライでは最強の走りを見せ、決勝レースではミサイルのようにスタートしている。しかし、1位でゴールできないのだ。ただし、本人は諦めておらず、常にポイントを稼ぎ続けている。マシンよりも劣ると言う者もいたが、まったくその反対ではないだろうか。
ダヴィデ・ジュリアーノ(7点)
希望と言うよりは、もはや現実…才能の証が際立ってきている。ただ、ジェネージオ・ベヴィラクアにチャンスを与えてもらったことは感謝せねばならないが。
レース毎に成長してきており、今や、いつ武器を出し、いつ収めるかも心得ている。スーパーポールでは1列目を獲得し、レース2ではドゥカティ勢トップだった。このまま地に足をつけて、進み続けるべし。
レオン・ハスラム(5点)
厳しい時を過ごしている。ドニントン戦が苦いレースとなってしまい、いまだ立ち直れずにいる。BMWに初勝利をもたらすのは自分でありたかっただろう…この2年間の作業を思えば、相応しかったはずではある。トップを切ったメランドリ選手を目にして意気消沈し、戦闘態勢に入れぬままアメリカに上陸してしまった。
頑張れ、レオン!
カネパ&ザネッティ(5.5点)
イタリアの若きライダー2名を1つにくくることにした…両選手とも予選なり決勝なりで転倒し、今回は欲求不満のままレースを終えているからだ。両選手ともスーパーポールに残れたことは評価すべきで、ザネッティ選手は のだが、結局、レースでは両者とも転倒リタイヤとなってしまった。ホームであるミザノ戦では2人とも、のびのびやれることだろう。
ユージーヌ・ラヴァティ(5点)
フィリップアイランド戦を転倒で開幕させ、腕を負傷させてしまった。プレシーズンテストでは早々にRSV4機を自由に乗りこなしていたように見えたのだが、現在まで、アッセン戦での表彰台以外はその他大勢に状態。昨年、ヤマハ機に乗っていた時の方が遥かに好調だったが、まぁ、今年のタイトル争いの方が厳しいわけだし、現在のアプリリア機を調整するのに苦労していると言わねばならないだろう。
(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:Moto.it 2012年05月29日)
ジョナサン・レア選手への褒めっぷりを読めば読むほど…あの人のことが心配になってくるんですが…