ヤルノ・ザッフェッリ氏(studio Dromo)は今回初めてモトGPが行われる、アルゼンチンのテルマス・デ・リオ・オンド・サーキットを計画した、イタリア人のサーキットデザイナーです。インタビューは昨年の6月AutoMoto.itが行ったのものです。レースを見るのとは異なる、デザイナーからの視点でサーキットを見てみましょう。
【理想のサーキットをササッと設計して欲しいと言われたら、大体においてデザイナーにとっては恐ろしい事になるのでしょう…冷や汗をかきながら何時間も白い紙を睨みつけ、スケッチを何枚かクシャクシャにし、結局はアイデアを諦めてしまうような。どのように対処してるのですか?】
「実際、単純な事ではありません。その証拠に、本当に美しいサーキットと言うのは過半数もありませんから。まず始めに敷地の評価から始め、開催されるレースや活動内容がどんなものかをベースにして、交通計画や必要な施設を考慮します。当然、世界選手権用のサーキットとして考えるなら、二次的に思われていたような事柄が最重要事項と変わってしまいます。どのくらいの観衆を収容するのか、パドック内にはどんなマシンがどのぐらい入ってくるのか…ボックス施設には何人入り、どういう設備を収納しなければならないのか。
条件が揃ったところで、どこにサーキットを配置するかが分かってきて、走行するマシンのパフォーマンスをベースにコースを考えられるようになってきます。当然、ツーリングカーや国内選手権などではなくモトGPやF1を開催するとなると、直線距離の長さやセーフティーゾーンの広さ、コースの長さ・幅が劇的に変わってきます。我々は唯一、プロジェクトはコンピューターを使ってのセッティングシステムでもって、最初からコースの正確な寸法を確定して始められるんです。
技術的なサポートを別にすると、コースのデザインと言うのは大部分において感覚的な問題であり、個人的な好みです。僕は高速で骨の折れるコースが好みなんです…ライダーがコーナーを楽しめるだろうなぁとか、また此処で走りたくなるだろうなぁとか思いながらね…そう言う事柄のお陰で、仕事がはかどりますよね。何故かと言うと、あるコーナーをデザインしていても、どのくらいキツくなるのか、どんなタイプのコーナーか、どのくらいの頻度で転倒するのかが分かりますから。データベースを用意し、それには車両タイプやコース・コンディションによって分類された多種多様な転倒(2輪)とコースアウト(4輪)が入ってるんです。これらのモデルを決めるのに使っているパラメーターは見せられませんが、実に正確な結果が出ている事は保証しますよ…既存サーキットも同様ですから。」
【アルゼンチンのプロジェクトはどの様に生まれたのですか?】
「ほぼ偶然です。アルゼンチンGPの事が話題にされ始めた時、施設を見て、ここで走るのは不可能なだと思いました…その特質上ね。青写真は面白かったですよ…このプロジェクトに地元のセレブのプライベートレーサーも加わっていたと言うのは偶然ではなかったんですよ。ただ、大幅に改良の余地があり…インフラ整備もほとんど無いも同然だったし。アルゼンチンにはサーキットが10ヶ所ほどあるんですが、実際のところ何も無いところにアスファルトを敷いただけって代物なんですからね。現実としては、最高の施設でも、今日において期待されるようなレベルには達していません。」
と言う訳で、プロモーターにはただ自薦してみたんですよ…自分の紹介書を少々送ってみて…興味を持ってもらえるかどうかね。最初のコンタクトで現地を訪れ、互いに気に入ったので、仕事をする事になったんです。僕はプロジェクトとコンサルタントだけと言うことで…いわゆる、仕事の『指揮官』と言ったところですね。何故かと言うと、プロモーターは当然のことながら、可能な限り地元の企業を使いたかったのでね。まあ、実際に見たら良い意味でビックリすると思いますが。」
【どの様に設計を?】
「自然を生かしたコースを創るようにしました。サーキットコースはとてもシンプルで独特だったが、何カ所か手を加えればすごく良くなると思いました。2輪と4輪のダイナミクスをベースにして、全てプロジェクトされたコースはこれが本当に初めてで…コース周辺の安全性に関し細心の注意を払う事が目標でした。アスファルトが敷き終わったところで、アルゼンチンツーリング選手権のレースが開催され…我々の仕事は皆から高く評価されました。皆さんも絶対、面白いレースを見れますよ。」
※続きは、こちら >>『鈴鹿が一番好き!』アルゼンチン・サーキット設計秘話:ヤルノ・ザッフェッリ【その2】
(Source:2013年06月05日 AutoMoto.it記事より抜粋)
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