ロッシ＆ヴィニャーレスの友情は期限つき：ランディ・マモラ

『ランディ・マモラ：ロッシ＆ヴィニャーレス、期限つき友情』

★5月21日（土）ムジェッロ予選で、マーヴェリック・ヴィニャーレス（スズキ。来季はヤマハへ移籍）とヴァレンティーノ・ロッシ（ヤマハ）が互いのスリップを利用し合い、ロッシ選手はPPを獲得、ヴィニャーレス選手は2位だった。

★ランディ・マモラ氏（※1980年代に世界選手権で活躍したライダー。ジャックナイフ等、派手なパフォーマンスで人気を博した）が同件について、次のように綴った。

《土曜日に私はムジェッロで、大勢のカメラマンが『一人で走るヴァレンティーノ・ロッシ』の写真が撮れないでいるのに遭遇した。どの写真にも別のライダーが写り込んでしまうのだ。マーヴァリック・ヴィニャーレスである。時には前に、時には後ろに、常に彼の姿があった。

予選で二人が交互に助け合い、できるだけ好ポジションを獲得しようとするのは今回が初めてではない。アルゼンチンもそうだったし、ル・マンもそうだった。ただ今回は、ムジェッロの大観衆の前でロッシがPPを獲得したことにより、それが明るみに出たと言うわけだ。

では、少しづつ紐解いてみよう。異なるチーム、異なる国籍の選手同士がこのように助け合う様は、当然、世間的には奇妙なことだろう。この二人が半年後にはロッシを指標とするヤマハでチームメイトになることを思えば、彼らの行為を批判的に見る者がいても不思議はない。

私個人の意見としては、この手の状況を判断するにあたり、一つはっきりさせておきたいことがある。37才となり、既に己の立場を確立しているロッシのような人物がこの種の作戦を選ぶこと自体、その野心のほどを、勝利への渇望感を表していると言うことだ。これは高く評価されるべきことである。ロッシを唯一無二の存在にした数多の勝利に加え、更に評価されるべきことだ。

『脇が甘い天才』と言ったイメージを広げてしまうとは言え、ロッシはどんなチャンスも逃しはしない。今やライバルは、あのマルケスとロレンソなのだ。ストーナーも含め、ロッシのキャリア最強のライバル達なのだから。

今年のロッシは、予選リザリトを伸ばすことに迷いがないように見えた。ル・マンでは7位スタートで、這い上がっていくにはけっこうなリスクを冒さねばならなかった。スタートの重要性を自覚していたムジェッロでは金曜の午前中ずっと、確実にミスなくスタートできるよう練習していた。少なくとも本人の力の及ぶところではミスがないようにだ。

ここまでは全てにおいて褒められて然るべきだろう。私が気に入らない点があるとすれば、それはヴィニャーレスの態度である。

ヴィニャーレスが今、自分はヤマハに速攻で馴染んでいくつもりだ…と言うことが、敬意ある態度とは思えない。スズキはまだ彼に賭け、戦闘力の高いマシンを作ろうと努力している最中なのだ。この1年間でスズキGSX-RR機は多大な進歩を遂げ、今後、スズキチームは後任ライダーを、このプロジェクトを信じ、ケヴィン・シュワンツのようなリーダー選手になり得るライダーを上手いこと見つけ出すだろう。

いずれにせよ、今後、留意しておかねばならない点が2つある。1つはバルセロナGPでの土曜日に目にすることができるだろう。ロッシとヴィニャーレスが予選でまたこの作戦を行い、今のところ『あれはただの偶然だ』と信じている人々を納得させるかもしれないと言うことだ。2つ目は、今年11月に晴れて二人がチームメイトとなった時、この友情関係がどのように変わっていくかと言うこと。

もしヴィニャーレスが、私が信じているような強いライダーだとしたら、あの二人の友情は半年の期限付きとなるのかもしれない。》

（2016年06月01日『Motorsport.com』記事参照）

ムジェッロ予選でのロッシ＆ヴィニャーレス選手の『後追い』をまとめておきました。
八百長疑惑が生まれた経緯や、各選手のコメント等々…
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【2016ムジェッロGPまとめ その1 ヤマハ】［2016年05月25日 Vol. 92］
●ロッシ＆ヴィニャーレス：予選ビスコット疑惑まとめ

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