先日、前編をご紹介したホルヘ・ロレンソ選手のインタビュー後半であります。
オートバイ世界選手権ことモトGPでは、王者ヴァレンティーノ・ロッシ選手が骨折欠場をしていたのですが、なんと今週末のドイツ戦では奇跡の復帰となるそうでして。
スペイン人若手ライダーのホルヘ・ロレンソ選手も、うかうかしていられないところでしょうか。
バルセロナ 『バター・ハンマー、別バイクのロッシを負かしてやる』
ムジェッロ・サーキットでロッシ選手があんな風に転倒して、どう思われましたか?
「以前はテクニックやストラテジーに関し、自分はロッシ選手を手本にしてたんです。今はストナー選手とホンダが手本ですが。
あの転倒事故については、自分の中でリセットした方が良いってことにしてます。大変でしたよ。ムジェッロ戦ではちょっと苦労しました。結果は良かったですけどね。」
ここ最近、ホルヘ選手に起きた大きな変化のひとつに、お父上のチコ氏と和解されたことがあげられますね。それについて伺いたいのですが。
「父の元からは2005年に離れたんです。父かマネジャーのダニ・アマトリアイン氏か、どちらか一人を選ばなければならなかったんですよ。この二人の意見が合わなかったんで、自分はプロとしての選択をしたんですが。実際、世界タイトルを2回取ったんだから、価値はあったわけでね。
でもレース以外ではマネージャーとは上手くいかなくて、だんだん父が正しかったんだって思うようになったんです。
2008年にアマトリアイン氏(編集部注:最終的には借金とドラッグで身を崩している)とは手を切って、父と仲直りしたんです。」
今はいかがですか?
「上手くいってますよ。誰かから無条件に思ってもらえるって言うのは良いもんですよ、何をやるかはさておいてね。」
プロとしてはいかがですか?
「それも上手くいってますね。父と一緒だと、バイクに乗ってのトレーニング / 作業が多いですね。
もともと、3才だった僕をバイクにまたがらせたのは父ですからね。
今は、マジョルカ島にある父のミニバイク学校に良く行って、トレーニングしてますよ。テクニック面で、けっこう役に立つ学校でね。」
お父上の生徒さん達にも会われるんですよね。どんな風に接しているのですか?
「面白いですよ。2才のちびっ子までバイクに乗ってね。ちょっと昔の自分を見てるようですよ。」
将来は教える立場にも?
「良いんじゃないですか?子供は大好きだし。」
ロレンソ選手はバイク免許をお持ちじゃないんですよね。珍しいのでは?
「仕方ないんですよ。僕はバイクをゆっくり走らせるってことができないんです。2日ぐらいなら、できるかもしれないけど、その後は我慢できないでしょうね。バイクに乗ってる他の人達が自分のせいで転倒してしまうかも…って考えもしないでね。
4輪車で良いですよ。ゆっくり走らせて、音楽も聴いて、エアコンもあるし。リラックスできますね。」
その『ゆっくり走る』についてなんですが、正式ライダーの代役にテストライダーを使うと言う、馬鹿げた風潮についてどう思われますか?
信頼性と言うものが失われないものなんでしょうか?
「実際のところ、変な決定ですよね。僕らライダーにとっても、ちょっと危険なわけだし。道路と違って、サーキットって言うのはあんまりゆっくり走らせられないもんですから。」
最近、勝ち続きのスペインのスポーツ界において、ロレンソ選手はニュー・シンボルの中に入っているのでは?
「それはどうでしょうね。バイクレースって言うのは、陸上競技や水泳なんかのように人種やDNA、筋肉のつき方の問題じゃなくて、単純に育成システムと言うか、選手のマーケティング活動なんかに注意払っているかって問題であって。色々な企画や養成学校、アイデアなんかがあるじゃないですか。要は、仕事ですよ。
他のスポーツに関して言うなら、単なる歴史の巡りあわせにすぎないんじゃないんですか。10年前にはNBAにスペイン選手なんていなかったわけだし…。」
南アW杯についてですが、ここバルセロナでは多くの市民がスペイン・チームを応援していませんね。イタリアでも『分離政策』が試されているんですが、どう思われますか?
「僕はマジョルカ島出身でバルセロナ在住なんで、完全に溶け込んでるんですよ。自分としてはスペイン人だって感じるけど、バルセロナに対しても敵対意識なんかは全然ないし。まぁ、政治に関しては、首を突っ込む気はありませんね。」
以前、お手本としている人物の中に、ロッコ・シフレディ(訳者注:イタリアのポルノ男優)もいるとおしゃっていたことがありましたが、今でもそうなんですか?
「いやぁ、手本にしてると言うのは言い過ぎで。ただ、数日間でもロッコ・シフレディの人生を体験してみたら、楽しいだろうなぁって言っただけで。」
数日間だけですか?
「はい。なんでもそうですけど、やり過ぎたら飽きるものだと思うんですよ。食べ物やワインなんかと同じでね。ほどほどが良いんであって。」
ロレンソ『バター・ハンマー』の逸話をお聞かせ願えますか?
「ライダーとしての、僕の二つの魂について語る時に使う例え話なんですよ。
ハンマーの話は、父に関係してるんです。ある日、ハンマーを手にバイクの修理をしている父を眺めていたら、自分もこんな風に一定した揺るぎない、まさにハンマーみたいになりたいなぁって思ったんですよ。」
それでは、バターの方は?
「母が朝食のパンにバターを塗っていたのに由来してます。バランスのとれた、無駄のない動きでね。
現在の自分のドライビングって、ちょっとこんな感じなんですよ。コース上をね、ハンマーのように一定に揺るぎなく、そして無駄なく走る。」
今年度のロッシ選手との決戦は、もう開始してますが。2011年は、同じバイクで、それとも違うバイクで戦いたいですか?
「僕の考えでは、もはやロッシ選手の将来は赤…。僕の所にはオファーはまったく来ていませんよ。同じバイクで戦いたいなって思いますけど、もう、そう言うことはないんじゃないですか。」
[ 完 ]
(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:Corriere della Sera 2010年7月3日)
さて、今週末から復帰すると言うヴァレンティーノ・ロッシ選手なんですが、治癒するのに3〜4ヶ月かかると言われていたわけですから、イタリアでも、わずか1ヶ月半の奇跡の復帰と言われております。
ロッシ本人のコメントは、こんな感じでした。
「狂喜乱舞してます。今週末にレースに出られるだろうって、医師達から言われてるんですよ。15日に主治医に会って、最終判断をすることになります。
R1は乗り心地良かったんですけど、愛機M1がコースに出たら別物ですからね。
もうバイクもチームも恋しくって。とにかく試してみたいんです。
みんなに会えるのが、パドックに戻るのが待ち遠しいです。もう、家に居るのは飽きちゃったんですよ。」
さてさて、今週末のモトGPは
楽しみ半分、心配半分…ってところでしょうか。
それでは皆様、安全祈願クリックPrego
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凄いもう復帰ですか~うれしいです☆
いつもありがとうございます☆
凄いもう復帰ですか~うれしいです☆
いつもありがとうございます☆
rossiさんて・・・根っからの「レース小僧」なんですねぇ。笑。
rossiさんて・・・根っからの「レース小僧」なんですねぇ。笑。
苺のフレーズさん、今週末は一緒に見守りましょう。
苺のフレーズさん、今週末は一緒に見守りましょう。
おっ、TALさんも。
記事はホルヘのインタビューなのに、ロッシ復帰の方に反応があって…やっぱり、根強い人気ですねぇ(笑)。
おっ、TALさんも。
記事はホルヘのインタビューなのに、ロッシ復帰の方に反応があって…やっぱり、根強い人気ですねぇ(笑)。