『ヤマハエンジン2基、ムジェッロ故障の原因は回転数が上がりすぎたため』
★5月22日(日)、ムジェッロGP開催中、ヤマハファクトリーチームのエンジンが2基たて続けに故障した。
同日午前のウォームアップでホルヘ・ロレンソが、午後の決勝戦でヴァレンティーン・ロッシが故障に遭った。なお、ロッシ選手はこれによりリタイヤした。
★両選手ともに3基目のエンジンだった。
★コウジ・ツヤ氏(ヤマハ・モトGPのプロジェクトリーダー)の説明。
(※同プレスリリースはバルセロナGP直前に公表されたものです)
「ムジェッロで問題が発生したエンジンは、すぐに検査のためヤマハに送られ、当該エンジンおよびテレメータデータ、相関関係にあるシステムを詳しく検査した結果、故障が生じた原因を突き止めました。
故障はリミッターに関連した電制システムの問題によるもので、これによりピストンとバルブが損傷を受けていました。両エンジンとも原因は同じものです。
誤解のないよう言うならば、この故障は構造上の特質でもなければ、エンジンのコンポーネントに起因しているわけでもなく、もっぱら電制システム・コントロールの問題により生じたものです。
ヴァレンティーノ(ロッシ)のエンジン故障は、直線コース終盤にある隆起箇所を加速しながら越える際に、思いがけず回転数が上がりすぎたことに起因しています。
なお、(事故が起きた)前の周回の『サン・ドナート』コーナーでヴァレンティーノが犯したミスは、一切関係ありません。また、ムジェッロでは特別なマッピングではなく、従来のものを使用してました。
両エンジンは、今シーズン残りのアロケーション(※エンジンの使用割当)からは外されました。
エンジン自体には問題はなく、従来からの我が社の信頼性は確認されました。問題は、スタンダードCPU用のワンメイクソフトウェアが若干異なる機能をすることを、我々が把握していなかったと言うことです。リミッターが昨年とは異なる形で機能されていたのです。ソフトウェアが異なる挙動をするとは知らず、2015年と同様の調整を行ってしまいました。
ヴァレンティーノが使用したエンジンは、今季のアロケーション(※エンジンの使用割当)から認証を受けたものの中で最も新しいものであり、このため、ウォームアップ時にホルヘ(ロレンソ)のエンジンが故障した際、ヴァレンティーノのエンジンを交換すると言う発想にはなりえず、また、ホルヘのエンジン故障の原因を限られた時間の中で突き止めるには至らなかったと言う理由からもエンジンは変えられませんでした。
ムジェッロは、その隆起箇所を越える際にジャンプしてしまうことから難しいコースとされており、その際にほんの一瞬、エンジンが然るべき回転数を超えてしまうのです。我々は今回のことを貴重な経験とし、バルセロナGPで同様の問題が起きないよう既にリミッターの設定も改善してあります。
また念のため、ムジェッロで使用した両選手のエンジンは、その寿命が尽きるまでフリープラクティスでのみ使用される予定です。」
★なお、ツヤ氏によれば今シーズン残りのグランプリに使用するエンジン数は充分であり、同様のトラブルを回避すべく既に適切な方策が取られているとのこと。
★同事故を受け、ヤマハのエンジニア陣はスプロケットにトルクセンサーを搭載したことがバルセロナテスト(6/6)で確認されている。
★6月2日(木)、バルセロナGP会見でヴァレンティーノ・ロッシが次のようにコメントした。
「モータースポーツでは何かが故障すれば、常に電気系統か、はした金で済むような部品のせいなんですよね。まぁ、それは多少冗談なんですが…もう二度と起こらないと思うし、そう願ってます。ムジェッロの問題点は、直線コース終盤の隆起箇所なんですよ。今年はエンジンの回転数が少し上がってると言うのもありますね。荷重がかなり上になってるんですよ…6速でアクセル全開にしていてリアタイヤがジャンプすると、回転数が少し上がってしまうんでね。理屈ではリミッターが介入してくれるはずだが、2016年版CPUのリミッターは去年のみたいに正確じゃないんですよね。それが前もって分かっていればよかったんですけどねぇ。あいにく、フリープラクティスでは起きてくれなくて。多分、レース本番はコンディションが違っていたうえに、連続して何周回もするから。」
【もう心配はしていない?】
「正直なところ僕としては、あの2基のエンジン自体の問題であってくれればと思っていたんですよ(※ロッシおよびロレンソ選手のエンジンを指している)。組み立ての段階で何かを間違えてたとか、欠陥マテリアルが使われていたとか。でも、どうやらそうではないようで…こう言う状況だと、100%安心とは言えませんよね。今、マシンに搭載している2基のエンジンの走行距離はかなりのものだが、ヤマハのデータによれば実によく機能しているってことも事実なんで。とにかく、あの2基のエンジンの故障は奇妙なものだし、おそらく、コースで実際にどう言う状態だったかが重要なわけだしね。僕のもホルヘのも同じ地点で故障してるんですよ。ちょっと偶然とは信じがたい話でしょう。」
★6月2日(木)、バルセロナGP会見でホルヘ・ロレンソが次のようにコメントした。
「今回のケースでは、新しい電制システムがうちのエンジンに対し、好ましくない挙動をしたと言うことです。正確に言うと、ムジェッロのコースには隆起があり、前輪後輪ともに浮いてしまうんですよ。後輪が浮くと速攻で500〜700回転ぐらい上がってしまうし、新しい電制システムは去年のほど正確にリミッターのコントロールができず、特に、後ろにいたロッシの場合、大体うちの限界である17,300回転まで上がっていたでしょう。毎周、500〜600回転は上がってしまってね。
そのせいでエンジンに負担がかかり、最後はギブアップしてしまったと言うわけです。さいわい、僕はウォームアップだったけど、ロッシはレース中だったから。ヤマハではかなりの調査を行ったようだし、これが真実ってところなんじゃないんですか。」
(2016年06月02日『Moto.it』記事参照)
(2016年06月02日『Moto.it』記事参照)
(2016年06月02日『Gpone』記事参照)
(2016年06月02日『AS』記事参照)
(2016年06月14日『Motosprint』記事参照)
ムジェッロ決勝戦後のロッシ選手の悲痛な様子から、バルセロナGPでの喜びコメント等々…下記のメルマガにまとめてあります。
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【2016ムジェッロGPまとめ その1 ヤマハ】[2016年05月25日 Vol. 92]
●ロレンソ:本人も驚きの大勝利、その要因は?
●ロッシ悲嘆『ロレンソを倒すこともできた…』
【2016バルセロナGPまとめ その1 ヤマハ】[2016年06月08日 Vol. 94]
●ロッシ『悲惨な出来事があると、人と寄り添おうと言う気持ちになる』
●ロレンソ激怒『イアンノーネは己の非を決して認めない』
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これ、MotoMatters.comで既に推測されてたとおりですね。
ヤマハも電制システムの詰めが甘かったということで。
無負荷状態でのオーバーレブですか…..
確かにまだ隠れた問題がある可能性には危惧せざるおえないですね。
回転数ってバラしても大丈夫なんですかね?
もう音解析すれば、わかるらしいから秘密じゃないのかな・・・
ロレンソ選手のコメントはスペイン『AS』サイトの記事なんですが、記者さんもちょっと興奮した様子で記事の書き出しに『ロレンソが回転数を暴露した!』って書いてました。
ん〜、よく分からないのは電制の誤作動の条件は同じとして、ヴァレのエンジンが距離的には新しい部類にも関わらず、優勝するほど速いペースで走っていたロレンソのエンジンは耐えれて、ヴァレはレース半分で何故か?壊れたのか。
やっぱりロレンソみたいに新規エンジンを投入しなかったYAMAHAのミスもあるんじゃないの?
でも、これで電制の信頼性は落ちたわけでヴァレの言うように後々のレースでトラブル要因になるのが怖いですね
> 2016年版CPUのリミッターは去年のみたいに正確じゃないんですよね。
共通ECU+ソフトのボロさを言ってますね。
誤差が大きいからそのマージンを考えてリミッターを設定しろってことかな?
> 後輪が浮くと速攻で500〜700回転ぐらい上がってしまうし、
その誤差は500〜700回転くらいってことなのかな?
だとしたら余りに精度が悪すぎ。誤差ってレベルじゃない。
真面目に仕事してんのか? > マニェティ・マレッリ
ライダーによってもギヤ比違うだろうから、最高回転数に達するまでの時間に差が出るのは仕方ないでしょうな。んでもって、たかだか500から700回転で精度悪いてのもどうかなあ?2万回転近くまわってるとこの誤差だから、それこそあっという間でしょ。CPUの処理が他の事もやってて間に合ってなかったてとこじゃないの。割り込み処理で、も少し下の回転数でリミットかけるようにしなきゃレブッちゃうんでしょ。仕様書読み込んでなかったヤマハ陣営のミスだろね。
ホンダはパワー抑えてるし、ドカは2万回転平気だもんねぇ
回転数にギア比なんて関係ないし、達する時間も関係ない。
500〜700回転の差で2次曲線を描くピークパワーの差がどれだけつくかもわかってない。
ほんとに割り込み処理で、間に合わないならそれは設計ミスといいます。例えば、電制制御されている自動車のブレーキを踏んでもCPUが遅くて間に合わなくて事故を起こしたのと同じような話しです。
それと電制のスペシャリストを多く抱えるファクトリが仕様書読み込んでないなんて根拠のないデマを言うのはやめてほしいですね。その技術レベルはマニェティ・マレッリの方が間違いなく下でしょう。
ぴあっじさんは、私の発言に対して荒唐無稽で反論するのも馬鹿らくなることをよく言われますね。今回は付き合いましたが、次回からスルーします。
びあっじさんは、ギヤ比が異なることで常用回転域にちょっとした個人差が出るからって
事を言いたいんでしょう?
でも、ギャップを越えた瞬間の無負荷状態での過回転突入は、ギヤ比云々は直接関係
なくて、その瞬間のアクセル開度が支配的でしょうね。
ECUが共通でも、ピックアップセンサーの類は各社独自に用意してると思うので、誤差
と言うより、サンプリング性能と処理速度がハエが止まりそうな代物なのではと思っちゃいます。
もしくは、変にフィルターかけちゃってるとか?
まぁ、これまでオリジナルでECU開発してたメーカーにとっては20世紀にトリップした感じなのかも
しれませんね。
あと、アクセレーションのある環境で2万回転って言うのはとてもシビアな状態なので、平気ってことは無いと思います。
小排気量ならジャーナル径も小さい分、周速が落ちるので軸受の性能次第で意外と平気かもしれませんが
ピックアップセンサーとかフィルターは可能性ありますね!どのぐらいでフィードバックかけるかはメーカーしだいですものね。
今回のはバルブサージングみたいなものなんでしょ?ニューマチックバルブも制御の追従性絡んでくるから、ドカの直押しよりマージンないかなと。
ヤマハもソフトはそーゆー仕様だと後から理解したんでしょうから、マレリが悪いになるのかなぁ?自分仕事でソフト開発絡んでるけど、海外ハードの仕様の理解がなかなか曲者でね。
当事者じゃないからわかりませんけどね。
なんにせよチャンピオンシップ的には面白い状況になってますね。
ちなみにギヤ比の話はギャップ飛び出す時に差があるんじゃないてこと言いたかっただけです。1発で壊れたわけじゃないんでね。
単純にエンジンの回転数が20,000rpm(回毎分)として1回転する時間は、たったの0.003秒です。3ミリ秒レベル(1000分の1秒)。一方、信号処理するCPUのクロッス数は産業用を使っているとしても50MHzくらいはあると思います。数十ナノ秒(10万分の1秒)くらいで信号処理をしています。
500rpmオーダーの回転数を検出できないなんてバグとしか言いようがないでしょう。あるいは、計算誤差を積み上げるひどい数値計算をソフトで行っているなどが考えられます。
電子デバイスの信号処理の速度と機械的なクランクが回転する速度には、圧倒的な差があります。でなければ電制なんてできませんよ。
「問題は、スタンダードCPU用のワンメイクソフトウェアが若干異なる機能をすることを、我々が把握していなかったと言うことです。リミッターが昨年とは異なる形で機能されていたのです。ソフトウェアが異なる挙動をするとは知らず、2015年と同様の調整を行ってしまいました。」
かなり遠回しに言っていますが、より直接的にロッシとロレンソが言っています。
「2016年版CPUのリミッターは去年のみたいに正確じゃないんですよね。それが前もって分かっていればよかったんですけどねぇ。」
「今回のケースでは、新しい電制システムがうちのエンジンに対し、好ましくない挙動をしたと言うことです。略。新しい電制システムは去年ほど正確にリミッターのコントロールができず、。。。」
ECUが回転数を正しく検出できないなら、燃調マップなんて設定できないでしょう。そういう話しを聞かないことを考えるとリミッターだけのバグと言えそうですね。それをどっかのソフトウェアメーカのように「仕様」と呼ぶのでしょうけど。
この件に関するマニェティ・マレッリの見解をぜひ聞いてみたいものです。
エンジンブローでなく、焼きつきなんて起こしてたら酷い転倒につながりかねない重大な問題です。まともなメーカなら即リコールですね。
あらら、使用可能エンジンの台数大丈夫なのかな?って思ってたけど、あんまり心配しなくていいのかな。
まぁ口が裂けても「ヤバい!」なんて言わないと思うけど。
まあ なんていうか
コレさえなければなぁ〜 もっとポイント争い接近してて
楽しかったんだろうなぁ てだけです^^