別記事を翻訳していた時にダライ・ラマが出てきて…あれ?私は何かを忘れている…と思ったら、この記事のことでした。
(ダライ・ラマ⇒トニ・エリアスをご存知ない方は、こちらの記事をどうぞ!)
昨年の暮れに、エリアス選手が来年(もう今年)の抱負から、各クラスの優勝予想、富沢選手の事故について語っていたんですよ。
遅ればせながら、どうぞ!
モトGP 『トニ・エリアス選手からハッピー・クリスマス&新年おめでとう』
モト2クラスで総合優勝を果たしたトニ・エリアス選手が、チャンピオン・タイトルを持って当出版社を訪ねてくれた。
読者の皆さんに『ハッピー・クリスマス』を送り、『2011年の皆さんの健康』を願いたいと言ってくれたのだ。
そう、健康…エリアス選手の来年の言葉は『ケガのない一年』なのだから。
ホンダのサテライトLCRチームで、モトGPクラスへの復帰に向け『懸命に働ける』ようにと。
「来年は良い年になりそうです。上位に食い込むのが難しいのは覚悟してますけどね。サテライト・チームって、もっと複雑なものですからね。」と、早々に諦めモード。
「ドヴィツィオーゾ選手が使っていたフレームを使うことになるらしいんですが、どのマシンのか知らされてないんですよ。自分で選べるならオフィシャルのマシンが欲しいって言うだろうなぁ。
モトGPって言うのは僕が知っている限り、自分のマシンに慣れることが肝心なんですよ。メーカーに期待するんじゃなくて、自分達で何かしらのパーツを作っていかなければならない。それでホンダが何かを提供してくれるなら、大歓迎…ってところでね。」
そう言う話からすると、モト2クラスに残ってタイトル防衛に励んだ方が良かったのでは…と思うのだが、その点についてエリアス選手の考えは明快である。
「是が非でも上に昇らなければならなかったんです。モト2ではタイトル獲得と言うモチベーションが持てた。でも、モトGPに上がれるチャンスが巡ってきたのだから、それに乗らなければね。2011年は僕のチームは5〜10位どまりでしょう。でも何としてでも、このクラスにいなければね。2012年には1000ccになるわけだし、色々と変わる可能性があるでしょう。だったら、こんなチャンスは逃すわけにはいきませんよ。
マレーシア戦で得たものは、自分の部屋に飾ってあります。その栄光がなくなる心配なんてしてません。いつかモトGPでだって、その栄光をつかむ力を身につけられるって思ってます。技術的な環境を整えなければなりませんけどね。
僕はかなり頑固な方なんで、このまま頑張り続けるつもりですよ。いつの日かモトGPで栄光をつかめるようにね。
モト2に留まったりしないで上に昇るのはね、将来に向けての計画が他の選手のせいで台無しになるかもしれないって分かってるんでね。タイトル防衛か、もう二度とモトGPクラスに上がれなくなるか。そんなに簡単じゃないですよ。」
エリアス選手はモト2のスタート直後に見られる、ゲリラ的なカオス状態に対し批判的であった。たとえミザノ戦での富沢祥也選手のような大事故が起きなかったとは言えだ。
富沢選手の事故死には、エリアス選手はひどく心を痛めた。
「僕達はオートバイレースと言うスポーツに、危険があるのを見たくないんです。ただ、起きた時には目に入る。2003年には加藤選手の死亡事故も目の当たりにしました。加藤選手のことは憧れていたけど、友達ではなかった。でも、富沢選手は友達でありライバルだったんです。こう言う関係の時は、もっと辛い。でも、走り続けなければならない。加藤選手の事故の時はレースを辞めるか続けるかについて考えましたが、今回の事故では、あの時ほどではありませんでした。2003年の事故の時、僕も今より若くて、2〜3日の間、悩み続けました。最後には、この事を、そして、これが自分の仕事だと言うことを忘れられはしないんだって自分に言い聞かせたんです。今回は、ひどく辛かったけど、こう言うことが起きることもあるのだと…そして、もしかしたら自分にだってあることなのだと理解したんです。魔除けのお祈りをしながら、そして、自分の目標のことを考えながら、こう言う風に言ってるんですよ。」
目標が、エリアス選手にモトGPクラスに立ち向かわせたのだ。そのモトGPについては、こう予想する。
「もしペドロサ選手が、ケガの前の状態に戻ってシーズンを始めたら危険でしょうね。ロレンソ選手は優勝したことで大きな自信を身につけている。もう1人、非常に危険なのはストーナー選手ですね。ここ3年間、優勝なしで来て、そして、優勝を熱望しているホンダに移ったわけでしょ。そして、ロッシ選手。ヤマハでやってきたようにドゥカティでもやるでしょう、絶対にね。ヴァレンシアのテストでは、気に入らない…暴れ馬みたいなマシンに当たったけどね。でも、マシンは全面的に変えられるだろうし、体調も戻ったら、ロッシ選手の問題は初戦までにマシンが好みの状態になるかどうか…。でも、間に合うんじゃないんですか。上手くゆくよう、あらゆる手を尽くしたらね。ヴァレンティーノと、彼を支える全ドゥカティってね。」
判断に苦しむのは、誰が最も優勝に近いか…と言うこと。
「誰がチャンピオンになるかを当てるのは難しいですね。優勝はストーナー、ロレンソ、ペドロサ…それから、ロッシの中の誰か。ロッシ選手が優勝する確率はちょっと低いですけどね。ドゥカティに移って初めての年ですから。ストーナー、ロレンソ、ペドロサは3人とも同じ確率かな。モト2と125ccクラスに関しては、もっと単刀直入に言えるけど、まぁ、サプライズもあるでしょうね(モト2で僕の後を継ぐのはジュリト(ジュリアン・シモン)で、125ccはテロールですね)。
マルケスに関しては、どこまで辿り着けるか見ものですね。でも、絶好調の年に天からタイトルを賜ったのは、丁度良かったでしょ。」
エリアスの名にかけての評価は、自身のタイトルにも下された。
「125ccと250ccクラスの時は速かったんですけど、優勝するには安定性に欠けてたし、出だしが悪いか、変なトラブルに見舞われるかでね。そのうえ、選手全員に年間を通じて、何かしら『クソッタレ』なことがあったんですよ。僕の場合は125ccの日本戦と250ccのブラジル戦で、この代償は高くつきましたね。だからこそ、今回のタイトルを天から賜ったのは公平なことでしたね。」
それは疑いなしですよ、チャンピオン。
(日本語翻訳:La Chirico / 西語記事:Diario AS 2010年12月26日)
エリアス選手、また、奇妙なタイミングで勝って、
ロッシ選手の怒りを買わなければ良いですけどね…