モトGP『中本修平インタビュー』
HRC(ホンダ・レーシング)の中本副社長が地震、そしてモトGPについて語る
日本を襲った大惨事…。私達はみな、日本が以前の平穏な生活に一刻も早く戻れるよう祈っている。
現在、HRCではどのような状況となっているのか。そしてまた、この惨事が今シーズンに影響を及ぼすことはあるのだろうか?
「確実に見本の状況は非常に難しいものだと言えますし、私達としては、今回、直接の被害に遭われた方々に思いを向けております。
HRCについて言うならば、幸いなことに大きな被害もなく、ただ今のところ、本部の方の操業は困難な状態です。
電気供給が制限されているため、オフィスの方は一日5時間のみ営業させています。また、オフィスまでの通勤にも支障が出ております。本部最寄りの朝霞台駅までの電車が走っておらず、また、50%しか電車が運行していないため移動が非常に困難になっています。そのため自動車での移動が増え、道路は渋滞となり、通常、オフィスまで1時間で来られるものが3時間かかっている状態です。また、ガソリンスタンドの多くが営業していないため、燃料の補給も難しくなってきています。
当社の供給状況も問題のひとつとなっており、現段階では震災被害のため操業できない部門もあります。もし、これが数週間経っても復旧されない場合は、手元にあるスペアを最大限に運用していかなければなりません。
現段階ではカタールよびヘレスGPに向け、必要な物は全て揃ってますんで、心配するにはまだ早いだろうと。
とにかく日本の方では状況打開に向け、一丸となって最善を尽くしてくれてますので、できるだけ早急に解決してくれることを信じております。」
茂木GPは10月に延期されましたが。サーキットの現況でご存知のことはありますか?
「(延期は)正しい判断だったと思ってます。茂木のコースのアスファルト、観客席に多少被害が出てます。ただ、必ずや最良の状態に復旧させてくれることでしょう。」
このような状況下でも、レース関連の問題と言うのはまた別物でしょう。
とにかく、ホンダは冬期テストにおいては最高の結果を叩き出しましたね。2011年のプレシーズン・テスト8日間は常にトップを独走していた。
好成績の秘訣が何かあるのですか?
「秘訣は何もないですよ。去年のマシンをベースにして、あらゆる箇所を改善したんです。改悪はしないようにね。
今のところは、ベストライダー各種が良いマシンに乗ってるからって言えるでしょうかね。あの新トランスミッションも改良点のひとつですけど、RC212V機が全体として成長したんでしょうね。新トランスミッションを使っていない青山選手が好成績を出してるんですからね。」
ホンダで苦労している選手と言えば、トニ・エリアス選手だけですね。HRCとしては、どのように支援してゆくつもりですか?
「トニが速いライダーだってことは承知してますから。2006年のモトGPクラスで一度優勝し、そのことを証明しているし、去年はモト2クラスのチャンピオンだ。だから、才能に関しては疑う余地はありません。トニのライディングスタイルは特殊でね。彼のチームと一緒に、良いトラクションを見つけられるよう手を貸しています。それから、リアタイヤの適温もね。
カタールのテストでは改良シャーシを使ってましたね。それで、モトGPマシンとのグッド・フィーリングがつかめると良いんですがね。」
ライバル陣のことはどう見てますか?
「ヤマハのワークスライダー2名は速いし、安定してますね。ホルヘはセパンもカタールも最高のロングランだったしね。スピースの方は去年から見て、ぐっと成長したようですね。二人には、常に良い競争相手でいて欲しいもんです。
セパンでドゥカティは、特に速いって言う状態になってませんね。ただ、改善はされてきているし、早々に競争力がついてくるのは確かでしょ。
スズキはね、ライダーが1名だけじゃ開発も楽じゃないでしょう。大体、それゆえに、うちはこれまで良い仕事がしてこられたんだしね。」
ここ最近のシーズンでは、安定して優勝争いに加われる選手は4名しかいませんね。
今年は表彰台1位に上がれる選手は、どっさり増えると思いますか?
「まずはレースの行方を見ないことにはね。ただ、冬期テストを終えた段階ではドヴィ、シモンチェッリ、スピースらが非常に速いし、優勝争いに入り込める可能性はあるんじゃないですか。もちろん、簡単なことじゃないですけどね。トップのレベルは非常に高いしね。でも、ここ数年に比べたら、色々な選手が優勝する可能性が増えると思いますね。」
(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:MotoSprint 2011年03月15日)
|
さりげなくチラッと言ってますが
青山選手、本当に素晴らしいようですね。