モトGP『ロッシのストーナー後追い事件』
もはや、延々と対立し続けることになるのだろう。
確かにヴァレンティーノ・ロッシとケーシー・ストーナーが親しく付き合ったことなど一度もない。しかし、ストーナーに代わって赤いロッシが登場して以来、二人の関係は(そんなものがあるのならば)、どんどんと悪化してきているのだ。
ヘレス戦でのロッシ選手の転倒ミスにストーナー選手が怒り心頭に発しただけでは事足りず…なのだ。ただ、ヘレスでの一件ではストーナー選手の怒りは理解できるもので、とにかく正当な主張だった。だが、今回エストリルで起きた一件に関しては、もはやウンザリ、意味なく挑発しているようなもの。レアル・マドリードのモウリーニョ監督風とでも言えば分かりやすいだろうか。
と言うわけで、つい先日は、ロッシ選手に対し「ちょっと口を慎んだ方が良い」とか「僕のことを悪く言った」等と批判し、ロッシ選手のドゥカティ移籍について「タイトルを獲得できないんだからヤマハにはいられない。だから、もっとたくさん支払ってくれる所に移った」と皮肉ったストーナー選手が、今日はロッシ選手を『犬っころ』呼ばわりしたわけだ。いつも微笑みを浮かべながら(これがストーナー・スタイルなので)、つい昨日はヘレスでの一件など忘れたかのようだったのに。
しかし、そう言うわけでもなく、フリー走行の第2セッション終盤でロッシ選手が後ろに付いて1周走ったと言うだけで怒り狂ってしまったのである。
ボックスへと戻るために周回している際には、ロッシ選手に向かってあからさまなジェスチャーを送っている。この件についてストーナー選手は次のように言う。
「まるで犬っころみたいに僕の後ろを追いかけて来たんで、だから、もっとこっちにおいでって意味でやったんです。」
いくらなんでもちょっとこれはやり過ぎだろう。
そして、ロッシ選手の反論は以下の通り。
「偶然だったんですけどね。一息つくのに減速して、ラストラップで飛ばしてやろうと思っていたんです。そうしたらストーナー選手に越されたんで、またスピードを上げたんですよ。いつもこう言う時は、そうしてるんでね。
ちょっと前から、彼が僕のことについてコメントしている記事を読んでいるんですけど、正直な話、彼が知り得ないようなことについて話してますよね。例えば、僕が受け取った金額とか、ヤマハが提示してきた金額とか。僕のケガについてなんて、まるで医者みたいなことを言ってね。多分、彼にしてみたら僕ってよほど嫌な奴なんでしょうね…。今日みたいなことは、テストでは毎回あるようなことですよ。後ろにつかれたくないんだったら、1人で走れば良いじゃないですか。
だいたい、僕が苦労してるって分かった途端、攻撃を仕掛けてきてね。もうちょっと控えてるべきだったんじゃないですか。ヘレスの一件…完全に僕の方が悪かったあの一件の前に、僕のことを乱暴なライダーで近くで走るのは恐いて言ってましたよね。単純な話、これって、2008年のラグーナセーカ戦で負けたのを認めてないってことでしょ。あの追い越し以来、泣き言やら言い訳やらを言うようになったじゃないですか。」
とりあえず今のところは、もう充分だろう。ただ、この問題はこれで終わらないだろうし、ロッシ対ストーナーのライバル関係がモトGPの新たな悩みの種となるのは確かなこと。ドゥカティのスタッフもまったくもって複雑な心境なわけだ。ついこの間までは秘蔵っ子だったケーシーに、今はすっかりガッカリしているのだから。
(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事 Moto.it 2011年04月29日)
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予選を終え、インタビューを受けていたロッシが
ストーナーについて聞かれ、
「幸いなことに今日はまだ会ってません」と。