モトGP『なぜなぜポルトガルGP』
今回のポルトガルGPで、安定した走りで24ラップもの間トップを守り続けたホルヘ・ロレンソ選手。
常に1’38”3(第1〜2ラップを除く)から1’37”865(第13ラップ、本人最速タイム)を叩き出しながらも、なぜ突如、たった1周の間に0.5秒も失速してしまったのか?
トップを走り続けると言うのは、体力的にも精神的にも非常に負担がかかるもの。特に、ロレンソ選手のようなリズムで走り続けるのは尚更のこと。
それ故に第25ラップの序盤、第1コーナーでの深いブレーキングの際に、一息つきつつ、あまり無理をしなかったと言うことなのだ。この第1コーナーと言えば、ヤマハみずからが100%上手くいかないと明言しているポイントだ。
しかしながらペドロサ選手の方は、追い越しただけでなく、リズムを上げさえしたのだ(ラスト前1周で最速タイム1’37”629を叩き出している)。
この段階でロレンソ選手にはもはや、抜き返す力は残されていなかった。
なぜ、ケーシー・ストーナー選手が1位争いに加わらなかったのか?
第1ラップで早々にストーナー選手は脱落し、シモンチェッリ選手の後ろに付くこととなる。これでタイムを失ったのは確実だろう。
なかなか良いリズムで走った周回もあったのだが、背中の痛みによりそれも続かず。なんとかゴールまで持ちこたえたのは立派。
なぜ、アンドレア・ドヴィツィオーゾ選手はレプソル・ホンダのチームメイトらと肩を並べることができないのか?
4月29日(金)、フリー走行で散々な結果だったため、その後の調子に大きく影響してしまった。
ヘレスでも同様、ドヴィツィオーゾ選手はセッティングに苦労していたのだが、現在のモトGPではテストで苦労していた者がレースで好調なんてことはありえない。
ドヴィツィオーゾ選手は不調の原因のほとんどは自分にあると言っており、作業の進め方や、フリー走行にしろ予選にしろテストでのアプローチ法を変えなければならないとしている。
なぜ、ランディ・ド・プニエ選手があんなに苦労したのか?
ヘレス戦後の4月5日、ドゥカティの仏人ライダーことド・プニエ選手が左足にボルトを入れる手術を受けた。昨年のドイツ戦で負った傷なのだが、この手術のため今回のレースでは苦戦し、月曜日のテストもキャンセルすることにしたのだ。
なぜ、ベン・スピース選手は第13ラップで転倒するまで、ありとあらゆるミスを繰り返してしまったのか?
WSBチャンピオンでもあるベン・スピース選手。
そのスピース選手に信じられないようなことが起きてしまった…。
こともあろうにメカニックがマシン内にペンチを置き忘れてしまい、燃料タンクの通気管が塞がれてしまったと言うのだ。
このためスピース選手はレースに集中しきれず、コーナーで膨らんでしまうこと3回、ヘイデン選手を危険にさらし、ミスを犯し続けた。
スピース選手は次のようにコメントしている。
「今回のことについてはゲンナリしてます。良いレースをできるようなマシンに仕上がってたのに。ペンチがあることに気づいた時、それを避けようとしたんですが、そのうち通気管が塞がれてしまって。大変なことになったらどうしうようと苛々して、ブレーキングがおろそかになってしまったんです。」
なぜ、ドゥカティ機はドライよりウェット・コンディションの方が調子がいいのか?
ローリス・カピロッシ選手がこう言い切っている。
「ウェットの場合、あまりスピードを出せないんで、結果的に限界点が低くなる。それだけの話ですよ。」
しかし、ヴァレンティーノ・ロッシ選手は、それだけではないのでは…と思っているようだ。
「通常、ウェットではマシンの欠点と言うのは誇張されるもんなんですが、ドゥカティの場合、ウェットの方が操縦しやすく、コンペティティブになるんです。どうしてか分からないんですが、オートバイにおける奇妙な法則ゆえなのか…。GP11機の動きがドライ・コンディションでは非常に堅く、ウェットになると良くなるのは本当なんですよ。」
(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:Moto.it 2011年05月02日)
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ロレンソ選手がレース後のコメントで
「ダニの走りは1位に相応しいものだった」と言ってたのは
自分の余力のなさを認めてのことだったのでしょうか。