モトGP『シモンチェッリ自己弁護:今後、もっと慎重になる』
パリのシャルル・ド・コール空港で、ボローニャ行きの飛行機の搭乗を待ちながらマルコ・シモンチェッリ選手がうろうろしている。いつものニコニコとした明るい大柄な姿はそこにない。寝起きでぼんやりしているだけなのかもしれないが、おそらくル・マン戦でペナルティーを受け意気消沈しているのだろう。
常にガラスのように脆いダニ・ペドロサ選手に接触し、右鎖骨骨折を負わせてしまったのだ。
胸に手を当て考えてみた
シモンチェッリ選手は今回のことをきちんと振り返ってみている。ただし、その行為自体についてではないのだが。
「何回も事故の瞬間の映像を見直して良く考えてみたんだけど、多分、もうちょっとスペースを空けた方が良かったんでしょうね。でも、彼だってブレーキを緩めてますよね。僕がストラテジーを間違えたのは確かでしょう。だって、僕の方がかなり速かったんだから、もう少し後に、もっと危険のない場所で抜くことができたでしょうしね。」
起きてしまった被害に対し、心を痛めてもいる。
「ダニについては今も本当に残念に思ってるんです。でも、ああ言う状況において、もっとアグレッシブな選手はいるし、僕が彼ら以上だったとは思えません。皆、僕とは反対の意見のようだけど、僕は納得してません。自分の胸に手を当てて良く考えてみたけど、ミスは犯していないと思ってます。他の人達の考えが違っても、僕は自分の考えは変えられない。」
ホンダからの勧告
ホンダではリヴィオ・スッポマネージャーが口頭でシモンチェッリ選手に、考え方を改め、他の選手らの言い分にそれなりに対応するよう勧告したものの、やはり徒労に終わった。
「世界中のみんなが言ってるからって、何が何でもそれが正しいとは思いません。とにかく、今回のことで学びはしました。今後はもっと慎重に、オーバーテイクのタイミングをきちんと選んでゆくつもりです。多分、もう少しスペースも空けるようにしてね。」
シモンチェッリ擁護
昨日、シモンチェッリ選手を擁護する声が届いたのだが、当然のごとく、それは所属チームであるグレシーニのファウスト・グレシーニマネージャーのものである。
「疑いが生じないよう、まず最初に2つ言っておきたいんですが、ペドロサ選手が負傷してしまった件は本当に残念に思っています。チャンピオン争いに加わっている選手であり、ヘレスでの1000ccテストが控えてたのですからね(編集部注:5月18日の予定だった。今日はケーシー・ストーナー選手がテストをしている)。そして、マルコがミスをしてしまったことも確かでしょうし。そのためにペナルティを受けたのですから。
ただ、まるで彼が悪の根源でもあるかのように晒し者にされるのは許せません。まるで人でも殺したみたいじゃないですか。今回も他にパンチ1回5千ユーロ(約60万円)の罰金とか、他の選手を転倒させておいてペナルティーなしなんて選手もいましたけどね。きちんと見たなら、ロレンソ選手がドヴィツィオーゾ選手をオーバーテイクしたのなんか、マルコのより質(たち)が悪いじゃないですか。」
シモンチェッリ選手が公式に『危険人物No.1』となってしまったのは仕方がないことで、ペドロサ選手のマネージャーであるアルベルト・プーチ氏からも「シモンチェッリを閉じ込めなければ」なる発言が上がっている。
ファウスト・グレシーニマネージャーは次のようにも言っている。
「議論が非常に高まっているのを抑えたい気持ちはありますが、ただ、中には受け入れがたい意見がありますね。もちろん被害にあった側からの発言だと言うことは理解してますが。
ただ、覚えていない方もいるようですが、2006年のエストリル戦の方が悲惨だったんじゃないでしょうかね(編集部注:総合優勝を狙っていたヘイデン選手を、チームメイトのペドロサ選手が転倒させてしまった)。」
しかし、今はもっと先のことを考えねばならない時だ。6月5日にはバルセロナでの次戦が控えているのだから。
「まさにそのことを思うからこそ、マルコにかけられた大きなプレッシャーを取り除いてやりたいんです。もしかしたら、去年は誰の支障にもならなかったけど、マルコが強くなってきた現在、まさに皆さんがそう言う効果を狙ってやってるのかもしれないですけどね。
正確な規則と言うものを皆さんに求めているだけで、我々のことを気に入らない連中だ…なんて思うようになって欲しくないです。我々は弱小チームだし、もう少し我々のことをカリメロ氏(ドルナ社長)のように扱ってもらいたいだけで…。」
(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事 La Gazzetta dello Sport 2011年05月17日)
|
う〜ん、確かに接触前、ペドロサ選手がマシンを立て直すのが
早過ぎた…なんて意見もチラホラ聞こえ始めてますが。