モトGP『家で他の選手が走っているのを見るのは苦痛』
肝が据わっていて、腰低く、並々ならぬプロ根性。
それを思えば、ローリス・カピロッシのことを足蹴になどはできないのだ。確かに、これまでの選択では批判されるようなところもあるし、キャリアに汚点を残さないよう早々に引退することもできただろう。ただ、物の考え方が尊敬に値することは確かなのだ。
パッとしないリザルトにもかかわらず…3週間ほど前に肋骨3本骨折に肩を脱臼したにもかかわらず、今なお戦い続けるその姿は、もはや感動的でさえある。
カピロッシ選手は次のように話している。
「家に居て、他の連中が走っているのを見るのは苦痛だったし、そのうえ自分のマシンに他の選手(編集部注:フランス人ライダーのギュントーリ選手)が乗ってるのを見るなんてね。だからこそ、今、ここに居るんですよ。ドイツGPに参戦できるかどうか分からないんですが。肩のせいでブレーキングにかなり支障が出るかもしれない。ただ、少なくとも試してはみたいんでね。」
並外れている。ただ、なぜそこまでの努力でできるのか?世界チャンピオン3制覇の偉業に見合わないようなリザルトを取るために…だ。これに対しカピロッシ選手の回答は早かった。
「結局のところ、自分はプロだってことなんでしょうね。ポジションとは無関係に出来ることは、やる…と。じゃなかったら、負け組になってしまうでしょ!」
こんなライダーは、もはや他にはいないんじゃないだろうか。それとも、ライダーとは皆こう言うものなのか。ただ、22年のキャリアを経て、栄光と辛酸、多数のケガをくぐり抜けながら、こうしていられるものなのか。そして今なお、ローリス・カピロッシは抗う。彼のような闘士でさえ、ふらつき始めてはいるのだが。
しかし、意外なことに、カピロッシ選手自らがこう言う。
「来年、どうするでしょうね。ブルノ戦の後で決めますよ。」
2ヶ月ほど前までカピロッシ選手の辞書に『引退』と言う文字は見られなかったと言うのに、今や可能性の一つになってきているのだ。
「でも、自分の中の熱意に変わりはないんですよ。いつだってやる気満々だし、若い連中を引っ掻き回してやることだってできる。実はね、1レースだけでもコンペティティブなマシンに乗れるなら10万ユーロ(約1,100万円)払ったって良いぐらいですよ。どっちに転んでも降参はしないし、将来に関してはアッと言わせてやりますよ。」
ライダーと言う前に一人の男として、ローリス・カピロッシに拍手。
(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事 Moto.it 2011年07月14日)
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肋骨の骨折って言うのは本当に辛いものだそうで
コーリン・エドワーズ選手によれば、
「食べることも飲むことも、便所に行くことさえできない」のだと。
古くからのモトGPファンの日本人には不評ではありますが
最近ではすっかり『組合委員長』のような趣きのカピロッシ選手に拍手クリックPrego
chiricoさん
いつも楽しく拝見させていただいております。
確かに日本のモトGPファンには不評というか
私もあのシーンを思い出しちゃいます。
しかし、94年のオーストリアGP(ザルツブルク)決勝の朝、まだ若かりし日のカピロッシ選手とトイレで遭遇!!
出てくるのを待って、写真を撮ってもらった事があり、色々ありますが夫婦で応援しています。
当時の選手が一人一人いなくなって寂しいですが、これも時の流れ
カピロッシ選手には最後まで頑張ってほしいです。
ちなみに、94年のオーストリアGPは新婚旅行でした(笑)