MotoGP

ロッシ独占インタビュー:ロレンソに感謝してもらいたい、ベビー誕生説は…

モトGP『ロッシ:来年もドゥカティだけど、このままじゃ意味なし』

「もう1年が経ったんですね…。」
そう、まさに去年の今時分だった。ヴァレンティーノ・ロッシがドゥカティ移籍を公表したのは。
壮大な盛り上がりを見せるはずが、今やすっかり『苦難の道』と化してしまった。痛手を負いながらも、ロッシ選手は協力的だ。ホンダを駆ってチーム・グレジーニへ移籍すると言う噂話を冷やかしつつ(「僕の新マネージャーことマルコ・メランドリ選手に聞いてください。僕の今後については彼だけが熟知してますから。」)、ドゥカティのホスピタリティー・エリアにて(広報担当の目がそれなりに光る中)全てについて − オートバイ、ロンドン暴動、ベルルスコーニ首相、ガボ・マルケス、ヴァスコ・ロッシ…− 語ってくれたのだ。

1年前、ドカティ移籍を発表されたわけですが、あまり熱意は感じられませんでしたよね。自らの選択だったのですか?それとも、そうせざるを得なかった?
「ヤマハに残ることも可能だったし、誰からも無理強いはされてませんよ。あの時のブルノでは心穏やかと言うわけではなかったんです。肩が痛くってね。もっと早くに移籍を発表したかったんですが、ヤマハから公にしないよう押しつけられてたんですよ。あんな周知の事実をね。1ヶ月もの間、プレスカンファレンスでは馬鹿みたいなコメントをしなければならなくって。あれは不快でしたね。」

公表後も笑顔は見られませんでしたが。
「最初のテストが終わってから、またまた心配事が続いたもんですから。こりゃあ本当に厳しいぞ〜と分かったんですよ。新マシンではかなりの問題が解決してくれるだろうって信じてたんですがね。そうは問屋が卸さず、苦しんでたわけですよ。」

後悔してます?
「後悔しても大した役には立ちませんから。厳しいってことは分かってたんです。ただそれが非常に厳しかっただけであって。」

ドゥカティ機が窮地に陥っていると言う噂がありますが。ゼネラル・ディレクターのフィリッポ・プレツィオージ氏がそれを擁護しているのに対し、ドゥカティ・コルセのクラウディオ・ドメニカーリ代表が悔やんでいるとか。2012年に向け、フレームとエンジンが一体型ではないドゥカティ機を想定し、スッターにコンタクトを取ったのでは…とも。プレツィオージディレクターへはいわゆる『皇帝か、無か(シーザーの言葉)』と言うようなことは言ってあるのですか?…つまり、「僕の言う通りのマシンか、僕がドゥカティを辞めるか」と。
「ヴァレンティーノ・ロッシとドゥカティには2つの目標があります。総合優勝することと、もう1つ同じぐらい重要なのはマシンを開発すること。どんな選手でも乗りこなせるようにね。これまでの僕のキャリアでは、僕が手がけた解決策って言うのは全て暴露されてきてるんですよ。僕のスタイルは正確すぎて、ドゥカティ向きじゃないってことは分かってるんですけどね。僕ももう少しライディングスタイルを変えられますけど、でも特に、マシンの挙動がもっと良くならなければね。」

プレツィオージディレクターは了解しているのですか?彼が、あの野性味あふれるドゥカティ機に仕立て上げたわけでしょ。つまりはヤマハ流儀がドゥカティ哲学を打ち消すってことになるのでは。
「まだ分かりません。フィリッポが僕と同意見であることを信じて…いや、願っています。」

最高で4〜5位を獲得するために危険は冒さないようにされてましたよね?
「自分でも気づかなかったけど、その可能性はありますね。人間的な感情の一部ってことでね。それほど上位でもないリザルトを賭けて戦う時には、無意識のうちにあまりプッシュしなくなるもんですよ。ギリギリのリスクには、きちんとしたマシンで挑みたいもんですね。」

本当にホンダとは連絡を取らなかったのですか?周囲の動向に目を向けなかった?ドゥカティ残留は義務感から?それとも、負け戦で終わりたくないから?
「契約を交わしてるんですから、それを繰り上げるとしたら両サイドが了承しなければ。ドゥカティがそうするとは思いませんけどね。」

ロッシ選手だったら、そうされるのですか?
「来年も絶対にここのマシンに乗るし、その後もそうしたいと思ってます。2012年で辞めることはないでしょうね。たとえ何が起きても、ドゥカティでは全面的に僕のことをサポートすべきでね。そして、結果に辿り着くべきであって。このままの状態が続くんだったら、続けることに意味はありませんよ。」

ストーナー選手と良く衝突してるようですが、同選手はドゥカティに乗って勝ってきましたよね。過小評価されていたのではないですか?
「ちょっとそうですね。強いライダーだってことは知ってました。今になってやっとドゥカティ機で転倒していたのは、ストーナー選手のミスじゃなかったんだってことが分かりましたね。あの当時は、あまりに難しすぎるマシンだったんですよ。実際、ホンダに乗ったら最強じゃないですか。」

ロレンソ選手も当時は、お試し期間中でしたが。現在は、『ロッシ選手のヤマハ機』を最大限に活用しているのでは?
「ロレンソ選手は凄い才能を持っているし、それに知恵もありますが、この件は一言で語り尽くせるような話じゃないんでね。ただ現在も、僕が手がけた作業を大いに利用してますよね。感謝してもらわなくっちゃ。とにかくロレンソ選手とストーナー選手って言うのは、これまでにないような才能を持ったライバルですね。それに僕はもう22才ってわけじゃないから。」

それにもうヤマハのマシンに乗っていないし。それでだったら総合優勝を目指せるだろうに。
「そうですね。そう思います。」

まるで『百年の孤独』とでも言うか、蜃気楼の村マコンド…つまり、ロッシ選手は愛する小宇宙空間がなければ生きていけないかのような感じですよね。クラン・チェレンターノ(イタリアで圧倒的な人気を誇るシンガーソングライター&映画俳優アドリアーノ・チェレンターノが設立したレコード会社)もそんな感じでしたが。
「あぁ、良いですねぇ。16才の時から僕はそんなに変わってないと思ってるんですが。地元タヴッリャの町の幼なじみらは、僕の血族も同然です。有名になる前から知り合っていた人間とだけ持ち合える部族的な関係ですね。」

ロッシ選手は放埒な天才と言うのがお好きなようですが、ご自身はそう言ったヒドいキャラクターからはかけ離れてますよね。フェデラー選手に似てるかな。デビューしたての頃は無鉄砲な感じで、その後は冷静冷徹な勝者と言うか。シューマッハ選手も大体そんな感じですね。
「スティーブ・マックイーン風の放埒さなんか堪らないですね。幸い、僕はタイプが違いますけど。そう言うのが好きだからって理由だけで、自分までイカレタ振る舞いをすることもないわけでね。それぞれ性格ってものがありますから。フェデル選手に例えられるのは好きですね。非常に偉大な選手の一人ですから。それにスタイルがエレガントだし。彼とは友人なんですよ。」

ロッシ選手と言えば、数少ない『万人から愛されるイタリア人』の一人ですが、『ラメンティーノ・ロッシ(Lamentare/ラメンターレ:嘆き・悔やむの意)』なんて呼ぶ者もいますよね。あの脱税事件について許せないでいる者も多いようですが。
「僕の周囲の人間は、あまり嘆いたり愚痴ったりしないんですが、根拠のない批判ですよね。僕が話題にされている時でも客観的に聞いてますし、言い訳を探すようなことは絶対ないです。あの脱税は酷い話でした。僕は間違いを犯し、それに対する報いを受けました。人がどう言うかに興味はあまりないし、僕にやましい所はありません。」

現在、ロンドンで起きている暴動についてどう思われますか?
「僕は、抗議している若者達の方の味方です。警察は手を貸し、問題を解決すべきだったんです。連行したり、殺したりするんじゃなくてね。どうしてこんな暴動になったかと言えば、それは警察の対応の仕方が原因でしょ。」

ベルルスコーニ首相についてはどう思われますか?
「政治にはあまり触れたくはないんですが。良く知りませんし。ただ、立場を考えたならば、するべきではないことをしてしまったようですね。」

サッカー選手なんかはすぐにストライキをやりたがりますが、福島原発がこれほど問題となっているのにドルナ社では茂木GPを無理矢理開催するようですね。ロッシ選手が反対を表明されたら立派な行いになるのではないですか。
「そうですね。当初は状況を把握したいと思ってたんですが。茂木が本当に危険だって分かったら、行かない選択もできるでしょうね。だいたい僕は優勝戦線に参加してませんしね。かつては何でも僕が決めるって批判されたものですよ。今回、事を起こすのは他の人達でしょ。」

昨日の当紙記事で、ロック歌手のヴァスコ・ロッシさんがロッシ選手に心配してもらったと感謝してましたが。活動を停止したら、やはりロッシ選手でもうつ状態に陥るでしょうか?
「ロッシさん達にとっては良い時期とは言えないですよね。薬の話が心配だったもんですから、本人に電話したら、なかなか元気そうでしたよ。いつも彼に寄り添ってる気持ちでいます。僕らの人生って良い事ばかりに見えてるけど、ヴァスコ・ロッシでいるなんて楽なことじゃないですよ。性格の問題もありますけどね。正直言って、僕はうつ状態にはならないだろうなんて思ってません。」

最後にゴシップ話で申し訳ないんですが、お子さんができたって噂が流れてますが。
「否定させてもらえて嬉しいですよ。マルワは…僕の彼女は妊娠してませんよ。運良く、ここではっきり言わせてもらえましたね。」



(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事 La Stampa 2011年08月12日



ベビー誕生説については地元情報なども含め
まだまだ謎が残っているようですが…


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POSTED COMMENT

  1. tal より:

    いつも詳細なインタビュー記事をアップしてくださってありがとうございますね。

    ちょくちょくチェックさせてもらっています。
    いろんな裏話が読めてうれしいです。

    またお邪魔しますね。

  2. ぎんちゃん より:

    こうなったら、退職した古沢さんと組んでヤマハのマシン、スポンサーはFIATで出るってのはどうでしょう?
    日本のマシンじゃないと応援にも今までのように力が入りません(TT)
    茂木の、ヤマハブースでのトークショーをいつも楽しみにしていたのに・・・

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