モトGP『サン・カルロ・ホンダ・グレジーニ:ピッロ、シッチのための勝利』
説明のしようのない出来事と言うものがある。ヴァレンシア戦で果されたミケーレ・ピッロの勝利が、それだ。
『シッチ』に捧げられた勝利であり、『シッチ』と共に獲得した勝利だ。なぜなら、レースの間ずっとピッロ選手はマルコに向かって、手を貸してくれるよう…この素晴らしき勝利を獲得できるよう祈り、唱え続けていたのだから。
この2週間、嘆き苦しみ続けたファウスト・グレジーニを報いる運命の証か。賢明さでレースを乗り切り、迷いのなさで勝ち得たのだ。
高橋裕紀選手がトップを仕切っていた際、転倒してしまったのは残念なことだった。もしかしたら1、2位のダブル勝利も…と思い始めていたグレジーニ・モト2チームを愕然とさせるような、早い幕引きとなってしまった。
ミケーレ・ピッロ(1位)
「昨日、PPを獲得してから、今日は何としてでも良いレースをしたいと思ってました。レース・コンディションは悪かったですが、集中し続けるよう頑張りました。後は空の上からマルコがやってくれました。レースの間、ずっとそばにいれてくれて、時々、僕の方からも“行ってしまわないで。1人にしないで”って頼んでたんです。レースは27ラップで、いつも1人ぼっちでは容易じゃないです。この勝利はマルコと彼のご家族に捧げたいです。今、この瞬間、誰よりも辛い思いをされてるご家族に。それからマルコの彼女と、チームの皆さんにも。僕らにとって容易な1年じゃなかった。この特別な1週間を過ごした後のこの勝利は、皆の気持ちを楽にしてくれるものです。セパン戦後、すべてが厳しい中、僕らはヴァレンシアに参戦するようファウストマネージャーを説得し、それは絶対に一番良い決断でした。だって、マルコはこれを望んだだろうし、レースは彼の人生だった。彼を想い、弔うにはこれが最良の方法なんですから。」
高橋裕紀(リタイヤ)
「本当に良いレースをしたいって心から思ってたのに、必要もない転倒のせいで全てが水の泡となってしまいました。あの瞬間まで、気持ちは落着いていたし、絶対に良い結果を出せるって思ってたんです。それが滑りやすくなっていた路面に裏切られてしまった。残念です。チーム全体で良い結果を出せるはずだったんですから。」
ファウスト・グレジーニ
「信じられないような感覚でした。これが2度目だと言うのは残念なことですが、加藤選手が亡くなった後も、すぐ次のレースでセテ・ジベルナウ選手が優勝し、今回はミケーレ・ピッロ選手によって勝利がもたらされました。こう言う特別な日、コメントするのは難しいものです。心臓がドキドキドキドキしていて、多分、こう言う感覚を味わった後はコントロールする必要があるのでしょうね。本当に厳しい2週間でしたが、底の底までの痛みを受け、ある意味、それに関わる形で特別な喜びに繋がると言うのは、気持ちを激しく揺さぶられるものです。」
(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:GresiniRacing 2011年11月06日)
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ピッロ選手と言うのはイタリア南部サン・ジョヴァンニ・ロトンド出身なんですが、
実はここ、イタリアでは『奇跡の聖人』として有名な『ピオ神父』で有名な町なんです…もしや今回の勝利にも何か奇跡を起こしていたのでは…
シッチ、やすらかに…そして、ピッロ選手におめでとうクリックPrego