モトGP『アルトゥーロ・スス:マルケスのモトGP昇格には関心なかった』
800cc時代最後の年、最高峰クラスではストーナー選手がもたらした大勝利の美酒に酔いしれたレプソル。また、モト2クラスで総合2位を獲得したマルク・マルケスブームも、レプソルにとってシーズンを完璧なものにしてくれた。一時は、モトGPクラスへの昇格をめぐる圧力もかかってきたほどだ。
そのレプソルでスポーツ・スポンサー部門副ディレクターを務めるアルトゥーロ・スス氏が、同社の声を伝えてくれた。
タイトル獲得から約2ヶ月が過ぎ、じっくりと分析するには良い時期かと思われますが、レプソルとしては2011年について…モトGP、モト2について総体的にどうご覧になっていますか?
「これ以上の結果はあり得ないだろう…と思っています。モトGPクラスではライダーズタイトルにチーム、コンストラクターズタイトルも獲得し、直接、当社に関係ないとは言え、重要なことですから。この快挙のお陰で、今後、もう少し上にいけるかなと思えるようになってますね。モト2クラスではマルクがチャンピオンの呼び声も高かったわけで…ただ、全体的な事情から本人とは関係のないところで、結局、叶いませんでしたが。」
マルケス選手の活躍には驚かれているようですが、モト2デビュー年でのパフォーマンスの素晴らしさだけでなく、インパクトの大きさもあるのでは?スペインの二大ライダー、ホルヘ・ロレンソ、ダニ・ペドロサ両選手に追いつきそうな印象ですよね。
「正直に言うなら、少しそう言うところもあるでしょうね。まぁ、モト2クラスと言うのは技術的に250ccとは異なるもので、慣れるにはそう複雑でもないですし。我々が予想していた唯一の問題点は、選手とマシンの重量についてでしたね。小柄だと言うことではないんですが…それほどでもないですからね…でも、それが唯一の障害でした。125ccからモト2昇格にあたり、マシンの重量に関しては以前の125ccから250ccへの移行に比べ変化が大きいんですが、技術面では現在のモト2機の方が250cc機よりも簡単ですから。
(マルクが)優秀なライダーだと言うことは分かっていました。乗り馴れてゆくのを単純に見ていてもね。シーズン終盤では勝ち星を積んでゆくだろう…と本当に予想してましたし。マスコミへの受け答えに関しても、それほど驚いてません。マルクの周囲で起きていることと言うのは、最初からあまり変わってませんから。当社がスポンサーについた時から、信じられないような少年でしたよ。サラゴサで行なったプレゼンのことは今でも覚えてます。シアターステージで女性司会者が次々と質問を浴びせかけていたんですよ。15才の…ほんの子供のわりには、まぁ、スラスラと答えてね。我々の方が皆、固まってしまうほどでした。世界選手権で勝とうと、どれだけ実力を発揮しようと変わらないのが良い所ですね。」
では、モトGPクラスについてですが…全てのエネルギーをかけて投資されながら、長い間、実りのない年が続いてましたね。投資先が間違っているのではないかと言う疑念が生じたこともあるのでしょうか?
「いいえ。ストラテジーを変えようと思ったことは一度たりともありません。当社が最高峰クラスに賭けてみようと決めて以来ずっと、ホンダと組んでゆきたいと言う気持ちは明確でしたから。彼らのやり方に疑問を抱いたこともありません。これまでの結果と言うのは諸事情によるもので、つまり、我々が目をかけた選手が具体的な結果を出せなかったと。ただ、これはフラストレーションの話であって、疑念云々ではありませんよ。」
今回は800cc時代最後のタイトルを獲得したと言う以上に、2006年にニッキー・ヘイデン選手が総合優勝して以来の初タイトルと言う意味でも重要性が高いのではありませんか。ダニ・ペドロサ選手では果せなかったわけですが、海外ではストーナー選手が成功要因だったと見られてますね。
「ケーシーには感謝しています。チャンピオンになったんですからね。当社のような多国籍企業としては、スペイン人選手が勝とうとオーストラリア選手が勝とうと変わりありませんね。希望はチャンピオンを出すことですから。オーストラリア人だから何だと?アジア区域にとっては最高なことでしょ。ダニでは果せなかった…これまでのところはね。2012年には1000ccが復活し、彼がモトGPにデビューした年と同じになる。あの年はポルトガル戦までタイトル争いに加わってましたからね。」
本当はペドロサ選手にタイトルを取ってもらいたかったのですよね?
「我々が望んでいるのはレプソル機が勝つことです。それによって自社製品の宣伝になるわけだし、その製品が勝つのに一役買ったとなるわけですから。実のところマスコミ報道の点から見ると、スペイン国内ではケーシーが勝つのとダニが勝つのでは意味が違うと言った風潮ですね。」
これまでペドロサ選手に投資を続けながらも望む結果は得られなかったわけですが、今後も期待をかけ続けるのですか?期限もあるのでしょうか?
「微塵の疑いもなく、レプソルではダニ・ペドロサ選手に期待し続けますよ。無期限でね。モトGPクラスでタイトル獲得が可能な選手であると今でも思ってます。現在の同選手の能力は1年前のものと遜色ありません。そうである限り、我々は信じ続けますよ。周知のことですが、今シーズンは一連のケガに悩まされ、パフォーマンスにも影響が出ていた。ケガなしにシーズンを全うしないうちは、モトGPチャンピオンになれる実力があるかどうかは分からないじゃないですか。もちろん、我々の見解としては『なれる』ですがね。」
[ 後編に続く ]
(日本語翻訳:La Chirico / 西語記事: Solomoto 2012年01月10日)
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相変わらずスペインのインタビューは聞きにくいことをズバズバと聞きますね…