MotoGP

レプソルの本音『オートバイレース界の珠玉を確保し3クラス制覇?』インタビュー後編

モトGP『アルトゥーロ・スス:マルケスのモトGP昇格には関心なかった』




[ 前編はこちら ]

タイトル獲得後はテンションが下がるものですよね。例えば、リアル・マドリッドが長年の雪辱を晴らした後のように…。
「本当にね。我々はレースに勝つために世界選手権に参戦し、そして、それは世界選手権に勝つためでね。うちはブランド名だけを人目に触れさせれば良いと言う企業ではありません。うちが支援しているのは技術ですから。支援する陰で伝えたいのは、当社の製品がそれらのライダー諸氏の勝利に一役買っていると言うこと。それで、それらのライダー諸氏がタイトルを取れなかった時は、望むもの全てが与えられなかったと言うわけでね。レースには人的要素があるのも確かだし、当社の製品の品質は…選手が勝っても負けても…高いことに変わりはありません。選手は何としてでも勝負を決めなければね。もちろん、うちでは感謝しているし、満足しています。それに、勝てば最大の重荷がなくなるのは確かです。特に、我々は勝つことに非常に慣れてしまってますから。世界のどこの企業でも、当社のような受賞歴は持ってないと思います。世界タイトル獲得すると言うのは一企業にとって非常に重要なことなんです…多分、思っているよりまだ重要ですかね。道へ引戻してくれますから。あまりにも大きなタイトルへの道へ…と言っても良いぐらいでしょう。と言うもの、うちのはもう普通じゃありませんから。うちには非常に悪い癖がついてしまっていてね…それが問題かもしれません。要求が非常に大きくなてしまってるんですよ。」

技術支援と仰られましたが、ホンダとの共同体制でも同様に効果を出し続けているのですか?
「ええ。実は、コラボレーションは以前よりも拡大しました。以前、そうじゃなかったと言うのではなく、関係がより緊密になったものですから。」

その他のプロジェクト…例えば、バイオ燃料についてですが、HRCと共同で進めてゆくのは可能でしょうか?
「ホンダとは、純粋なレース以外のレベルでも仲間なんです。別の開発分野もあって、別のタイプの製品を研究しているんです。」

今、私がこんな事を言うのは、そう言った技術連携が未来を…まさにモトGPにCRTを導入させようとしている未来を脅かす可能性があるからです。レプソルとしてはその点を、どう言う風にご覧になってますか?
「実を申せば、それら全てがどういう風に開発されてゆくものか我々としては楽しみにしているんです。今、言った通り、我々は勝つために参加しています。しかし、製品を開発するためでもあるんです。いつか、これ以上は製品が開発できなくなる日が来たら、どうなるんでしょうね。現在、当社では満足していますし、世界選手権に参加し続けるつもりでいます。当社の試みにとって有効だからです。今後、どのように発展してゆくのかは分かりませんが、いつか、それが分かった時、どうなるかですよね。ただ、我々が関心を抱いているのは、開発に関連した競争が存在するかどうかなんですけどね。」

2012年にレプソルではマシン6台を支援するわけですが、まずモトGPワークス機が2台にマルケス選手のが1台、モンラウ・チームのモト3機2台と、それからマーヴェリック・ヴィニャーレス選手の1台。この最後が…なかなか奇妙な感じがするんですが、オートバイレース界の珠玉を確保しておこうと言うことですか?
「我々の使命は世界選手権における『種の繁栄』であり、実際のところマーヴェリックには常に気にかけておいた方が良さそうな価値がありますね。今後、どう言う風に育ってゆくかを見るのに、手元に置いておいた方が良いだろうと言う方針です。」

ライバル同士なのに同じレプソル・カラーで走るわけですか…。
「現実的に見て、今年、タイトルを取るべき選手はマーヴェリックであって、新顔ライダーではないでしょ。また、モト3と言うのは製品開発に向けてのクラスではありません。供給会社も1社だけですしね(編集部注:イタリアの石油・ガス会社『Eni』)。つまり、我々としては若手ライダーの支援と、それから、当社に関心を寄せてくださる方々のために(モト3に)加るわけです。だから、別々の2つのチームが同じレプソルカラーで走っても問題ありません。一般的ではありませんが、ただ、当社では125ccにストラクチャーを持っていなかったし、モト3にもないわけですから、状況に適応しなければね。ストラクチャーが違うからと言って優秀選手を逃すことだけは避けなければ。うちのストラクチャーに入ってもらえば一番だろうと?ええ、しかし、実際に作られなかったわけですから、うちは別の道を行くことにしたんです。」

それで結局、カタールではモトGPのストーナー選手、モト2マルケス選手、モト3ヴィニャーレス選手で3クラス制覇を画策してゆくと言うことですね。要求は最大限まで高まり、上手くゆくかどうかはけっこうボーダーラインなのでは?
「ええ、ただ、毎年そんなもんですよ。今年はいつもより顕著でしょうけど、毎年、世界選手権が開幕する際の当社のプレッシャーと言うのは勝利に向けての…うちが優勝候補なのかどうかについてのものであって。実際のところ、今は世界中が周知のこと…もしくは、世界中が望んでいることでしょ。我々のプレッシャーの方はいつもと変わりませんね。」

スポンサーとしては、モトGPのTV中継が『TVE』から『Telecinco』に変わる件についてはどう思われますか?CMなしの国営放送から民放に変わるのはポジティブだと?
「ええ、私はそう思います。変化と言うのは良くなるために行なわれるものだろうし、そう思って見るなら、ポジティブであるべきでしょうね。『TVE』が放送していたのは、おそらく、この国ではこのモータースポーツが疎外されていて、誰も放映しようとしなかったからじゃないんですか(笑)…。ただ、世界タイトルを取るぐらいの力があるわけで、民放TVの限界も覆せるほどなわけだ。おそらく以前は、現在の『Telecinco』にあるような環境がなかったから、やってたんじゃないですか。『Telecinco』がこれから得ようとしている柔軟性でもって、ファンの基盤も広がってくれると思いますよ。」

ところで、これをお聞きしないわけにはいかないんですが…マルク・マルケス選手のモトGP昇格についての真相はどのようなもので?
「実を言えば、マルクのモトGP昇格に我々が関心を抱いたことは一度もないんです。スポーツ界と言うよりは、むしろマスコミの方がそう言う話に持って行きたかったんであって、我々は質問されるから何とか答えてたんであって。
これまで一つ例外を抜かせば、ビッグチャンピオンは全員、最高峰1つ下のクラスに最低でも1年はいたわけでしょ。思いつきでそうしてるんじゃなく、モトGPに上がるってことはモト2やモト3ではもはや学ぶことがないからであって。一度そこに上がったなら、自分のキャリアにおける頂点にいるわけですからね。急いでモトGPクラスに上がろうとすれば、学べるはずのものも学べなくなるわけです。だからこそ、我々はそう言ったストラテジーを取ったことはありません。確かにマルクは一度タイトルを取っているが、我々としてはモト2に残留すべきだと思っています。」

スポーツ面だけの話でしょうか…それとも、商業的な意味合いも含めて?
「商業的な側面は非常に重要ですが、当社では何よりもスポーツ的な意味合いの方に価値を置いています。我々は昨日、今日見つけてきた誰かのことを開発してるわけじゃありません。うちの選手達を露出させまくるようなことはしませんよ。良いことじゃないって分かってますから。かつてフェルナンド・アロンソ選手の写真がチューイングガムのパッケージにまで付けられていたことがありますが…当社ではそう言う風なことはしたくはない。ほんの少しずつの方が良いですね。マルクがモトGPに昇格したら、商業的に見てどんなメリットが出るんでしょうね?私は、ないと思いますが。すでにモトGPクラスにはスペイン人ライダーがいて、レプソル・ホンダチームにもスペイン人選手が1名いる。実際のところ商業的に見れば、我々にとってメリットより問題点の方が出てくると言っていいんじゃないでしょうか。モト2クラスの視聴率はかなり高く、対等で見ごたえあるから上がってきてもいる。そのクラスで活躍している選手を、商業的な面から見て手放すはずがないでしょう。ただ、しつこく言いますが、当社では常にスポーツ面を第一義にしてますけどね。」

[ 完 ]

(日本語翻訳:La Chirico / 西語記事: Solomoto 2012年01月10日

今年はヤマハもオレンジ系になりそうですが…ますます区別がつかなくなるんでしょうかねぇ…

オレンジも良いけど…赤も頑張ってね…クリックPrego
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