モトGP『ストーナー:背後のロッシにざわっとした』
ケーシー・ストーナーとヴァレンティーノ・ロッシが肩を並べ、濡れたアスファルトの上、表彰台の位置を賭けて勝負をしている。
記憶が駆けめぐる…そう、あれは1年前のヘレス戦、ロッシ選手がストーナー選手を追い抜こうとしてスリップし転倒してしまったのだ。ホンダのボックスへ謝罪に赴いた際、ストーナー選手の口から飛び出た言葉は、
《ヴァレ、野心が才能を越えてしまったようだね。》
そんな情景が脳裏をよぎったのはTVを観ていた視聴者だけではない…当事者らも思い出していたのだ。
「背後からドゥカティの爆音が聞こえてきた時、思い出してましたね。」と、ストーナー選手が笑顔で言う。
「でも、その後、すぐに僕を追い越そうとしないのを見て、ああ、むこうも思い出してるんだなぁって。」
競り合いはフェアーなもので、最後まで行方が分からなかった。
「互いに何度も抜き合って、良いものでしたね。むこうのペースの方が良いってことは分かってました…抜かれまいとしてハードブレーキングではかなり無理したんですが。やられた時、僕の方から仕返すことはできなかった。」
しかし、たった1レース楽しんだからと言って、引退宣言を覆したりはしない。
「残念ですが。」と、皮肉混じりに言うストーナー選手。
雨の中、ホンダ勢は輝きを見せず…理由はタイヤにある。
「ウオームアップの時から気づいてたんですが、温度を上げるのに時間がかかり過ぎるんですよ。最初の何ラップかは僕もダニも同じ問題を抱えてました。だから、僕としては自分のペースを保ちたかったんですが、ロッシやドヴィツィオーゾ、クラッチロー選手らが背後からもの凄いプレッシャーでね。」
それでも雨が強くなってきたあたりから状況は好転したのだと。
「ロレンソ選手を捕らえようとさえ試みたんですが、その後、雨が止んでしまって。それほど路面が濡れていない状態だとタイヤの温度が上がり過ぎるんで、ここでも何度かざわっとしました。」
だからと言って表彰台を逃したわけではない…段は低くなってしまったが。しかし、総合ランキングではロレンソ選手にトップの座を譲ることとなってしまった。現在、8ポイント差。
「できる限りのことは全てしました。最終的には良いリザルトでした。」
甘んずる者は満足する。
(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:Gpone 2012年05月20日)
おっ、そう言えば、こんな写真を見つけたんで載せときますネ!