『アプリリアがモトGPにニューマチックバルブエンジンを供給か?』
★アプリリアがニューマチックバルブエンジンを出してきたとしても驚く事では無い。モトGPクラスで同エンジンを初めて起用したのはアプリリアであり、2002年の4気筒990cc時代に『RS Cube』と称するマシンを使っている。同マシンのエンジンを開発したのはF1のコスワースであり、他のモトGP機に比べF1技術が際立っていた(ニューマチックバルブ、トラクションコントロール、ライドバイワイヤー、ミニ・カーボンクラッチ等々)。『RS Cube』は2002年のムジェッロGPで320km/hに達した高速マシンであったが、あまりにじゃじゃ馬過ぎた。また、2004年にはアプリリアがモトGP撤退を決定。
現在のアプリリアRSV4にニューマチックバルブを採用した場合、回転数を1000rpmプラスする事が出来ると思われる。ちなみに、ホンダ/ヤマハがニューマチックバルブエンジンを搭載したのは、モトGPが800ccとなった2007年からである。
★『メーカー比較』
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【ホンダプロダクションRC213V(完成マシン)】
100万ユーロ、金属製バルブ、HRCによるエンジンオーバーホール込み、2014年の最初のテストには参加出来る予定。(ル・マンGP中に中本副社長がモトGP機に24リットルタンクは大きすぎるため、おそらく24リットル未満になるだろうと発言)
【ヤマハM1エンジン(リースエンジン)】
現在のチームテック3と同スペックになる予定で、つまり、フレームメーカーの腕次第で上位陣に接近していける事となる。価格は1シーズンのリース料80万ユーロで、交換用の2シャーシに少なくとも30万ユーロの追加料金も必要となり、トータルで110万ユーロ。また、シーズン終了時にエンジンは返却しなければならない。なお、CRTレギュレーションに準じ、24リットル燃料タンクとドルナのCPU&ソフトウエアを採用する予定。
【アプリリアRSV4 CRTパッケージ】
マシン2台とエンジンオーバーホール込みの価格は約115万ユーロで、ホンダの100万ユーロ(金属製バルブ、HRCによるエンジンオーバーホール込み)より高い。双方ともヤマハM1エンジンに比べパワーが劣るが、全て込みのパッケージでメーカーのレース部門が直接開発したものを入手出来るし、シーズン終了時には何も返却する必要はない。今年の9月には準備が整うだろうとの噂で、こちらもCRTレギュレーションに準じ、24リットル燃料タンクとドルナのCPU&ソフトウエアを採用する予定。
【おまけ:よりエコノミーな解決法】
Honda Fireblade/Kawasaki ZX-10/BMW S1000RRの市販車エンジンを、FTR/Kalex/Suterのフレームと組み合わせると言うもの。
チーム Avintia Blusensのリカルド・ホヴェ氏によれば、同チームのFTRフレームにカワサキZX-10のモトGP仕様は、マシン2台にシーズンを通してのエンジン供給を含めて価格70万ユーロ。ホヴェ氏曰く「もっと良い物を手に入れられる余裕はないよ……」
★現在2014年に向けて積極的にヤマハM1リースエンジン採用で話を進めているチームはNGM Mobile Forwardで、また、シト・ポンスのチームも興味を示している様である。
(Source:2013年05月22日 Motorsportmagazine記事より抜粋)
多くのプライベートチームが参加しながらも、残念ながらオフシャルチームに比べ、パフォーマンス面での見劣りを否定出来ないのがCRTマシンの現状です。昨年、ホンダが公表した低価格版RC213Vプロダクションマシンのプロジェクトや、ヤマハのリースエンジン等で、2014年のCRTマシン再編成に向け、どこのメーカーがどこのチームに…等と言う噂が飛び交う中、アプリリアがニューマチックバルブエンジンで参入するとなるとレースの見どころも増えるだろうし、歓迎したいところです。
ホンダRC213Vプロダクションマシンに関しても、最近、ニュースがありました。HRCの中本修平氏によると開発が約1ヶ月遅れると言われていますが、完成度は高いと思われます。今年のセパンテストで(高橋巧選手により)既にテスト済みなんじゃないか…と言う噂も出ていましたが……。
各メーカー、それぞれ特徴のある内容と料金設定で販売戦略を立ている様子です。しかも、どれも新商品な訳ですから採用するチーム側としては悩む所でしょう。手堅くホンダを採用するか、戦闘力のヤマハか、ジョーカーのアプリリアか。
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