MotoGP

無法者シモンチェッリ吊るし上げの刑[セーフティ委員会]

モトGP『全選手vsシモンチェッリ』




全選手vsマルコ・シモンチェッリの対決になってしまった。
なぜかと言えば、ポルトガルGPでホルヘ・ロレンソ選手が口火を切った『シモンチェッリ乱暴運転』容疑が、いまだ鎮まっていないからだ。いや、鎮まるどころか金曜日に開かれたセーフティ会議にはロレンソ選手はもちろんのこと、ストーナー、ドヴィツィオーゾ、バルベラ、エリアス選手らまでが参加し、新たに火に油を注ぐこととなってしまった。
このセーフティ委員会とは、加藤大治郎選手の死亡事故をきっかけに2003年より結成されたもので、GP開催ウィークの金曜日に毎回開催されている。ただ実際のところ会合は、常時参加しているヴァレンティーノ・ロッシ、ローリス・カピロッシ、ニッキー・ヘイデン選手らに任された形になっており、ロレンソ選手は今まで一度も参加したことはない。
ところが昨日、そのロレンソ選手が『安全』について討議すべく同会合に参加し、再びシモンチェッリ選手のことを『無法者ライダー』として槍玉に挙げたのだ。

同件に距離をおくロッシ
セーフティ委員会が始まる前にロッシ選手から次のような発言があった。
「実のところ何も問題がないのに、話し合っているのではないでしょうか。シモンチェッリ選手が非難されている乱暴なライディングと言うのは、どれのことで、どの追い越しについて言われているんですか?
安全な追い越しなんてものを定義するのは不可能でしょ。接触も転倒もしなければ安全な追い越しだ…と言うあたりが適当な規則ってことになるんでしょうか。もし仮にカピロッシ、バロス、ビアッジ、ジベルナウ選手らにそう言うことを言ったなら、僕と同じく愕然とするでしょうね。競り合ってる時って言うのは、攻撃的になることもあるものです。
とにかく、この件についてはロレンソ選手とシモンチェッリ選手が二人で話し合って結論を出すべきことだと思いますが。」
おそらく、このような考えのためもあってか、会議が始まり同件が討議され始めるとロッシ選手はドゥカティ関連の所用があるとして退席してしまった。

根本的な真実
さて、もはやシモンチェッリ選手がアグレッシブなライダーであることに疑いの余地はないわけだが、それでも全ライダーがそう言うのならば、やはり根本的な真実と言うことなのか。
以前より、ドヴィツィオーゾ選手がよく言っていたのが、
「あれが彼のライディング・スタイルなんであって、乱暴だとは言えないでしょう。ただ、彼の近くを走るのは喜ばしくはないですね。」
素人には理解しにくいが、ローリス・レッジャーニ元選手が「規則としてきちんと記されてるわけではないが、選手らは100%分かってる」と言うように、選手間での暗黙の了解と言うものはあるのだ。
確かに、過去に一度だけシモンチェッリ選手が危険行為をした事実はある。
2008年のムジェッロ戦250ccクラスで直線コースを走っている際、ヘクター・バルベラ選手に接触している。それ以外では、これと言った乱暴行為は犯してはいないのだが、しかし、仲間の選手らは今なお、彼らしか知らないと言うその暗黙の了解ゆえにシモンチェッリ選手を責め続けているのだ。
シモンチェッリ選手は次のように自己弁護している。
「皆からコーナーの終わり頃に入り込んで来るのは受け入れがたいって言われたけど、直線コースでパスするなんて僕にはできませんし。
去年は誰からも何も言われなかったのに、今年になって、こっちが速くなってきたらロレンソ選手が半年も前のヴァレンシア戦での追い越しのことを持ち出してきてね。まるで偏向裁判でもやってるみたいじゃないですか。」

釈然としない態度
なんだか釈然としない空気にしているのはロレンソ選手の態度である。ロレンソ選手がチャンピオン争いに加わり、そのため接触を恐れるのはもっともなことだ。それはシモンチェッリ選手に限らず、全選手との接触であり、そのせいでレースを危ういものにし、つまりはチャンピオンへの道を危うくするわけだ。
シモンチェッリ選手は非常に強い走りを見せるようになった現在、ロレンソ選手があらかじめ手を打ち、レース態度に公正さや的確さを求めていることには同意しよう。
ロレンソ選手の言い分は次のとおりだ。
「これはボクシングでもフルコンタクトでもないのだから。接触するようなスポーツではないし、特に時速300kmでそんなことをしたらケガをするでしょ。もし相手より強いハードブレーキングをかけたのなら、その追い越しは有効だけど、相手がすでにバンクしている時に内側に入り込んでいくなんてことはすべきじゃない。接触の危険があるわけで、つまりは両方が転倒するかもしれないのだから。」
これは共感できる言い分でもあるのだ。ただ実際、何か起きたわけでもないのに、エスペレータ『パパ』に泣きつくのはどうかとは思うが。
何年もの間、ロレンソ選手はセーフティ委員会など鼻も引っかけなかったのだが、昨日の発言はロッシ選手やその仲間達に向けての『警告』と言ってもいいほどだった。つまり『お友達会議で、もうこれ以上は好き放題にはできないぞ』とでも言いたいかのような。
ストーナー選手やドヴィツィオーゾ選手(ミニモト時代から唯一、この主張を唱え続けている)の支援を得て、ロレンソ選手はシモンチェッリ選手に心理的なプレッシャーを与えたかったのではないだろうか。たとえロレンソ選手が、
「負かされるのが恐くて言ってるんじゃありません。たとえばストーナー選手はシモンチェッリ選手より前を走っているけど、乱暴すぎるぞなんて言ったこともないし、競り合っても恐怖を感じたりしません。」と言っていてもだ。
そう言えば、会合の最後に交わされたストーナー選手とシモンチェッリ選手の会話も興味深いものだった。
ストーナー選手が、
「こんなことになって残念だよ。僕は君のことをライダーとして高く評価しているんだよ。」と言うと、
シモンチェッリ選手が、
「じゃ、なんでこんなこと言うんだよ?」と言い返した。
するとストーナー選手はこう言い切ったのだ。
「だって今まで、やり過ぎな感じの接触が何回かあったから。」
シモンチェッリ選手にとっては簡単に乗り切れる状況ではなさそうだ。


(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:Moto.it 2011年05月14日





文中にあった2008年のバルベラ選手への危険な接触ってちょっと覚えてます。
罰則が出されるまでシッチが廊下で待たされていて、その姿がまるで悪さをして校長室の前で待たされてる
高校生みたいだったんですよ。確か、罰金5000ユーロ(約60万円)払わされてたはず…


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