モトGP『カタルーニャGPこぼれ話』
見ごたえがないのは、なぜ?
何年か前から『モトGPはあまり見ごたえがない』と良く言われているが、その理由をヴァレンティーノ・ロッシが説明している。
「何年前かにくらべオーバーテイクが難しくなったんです。ブリジストンタイヤと電子制御システムのせいなんですけどね。現在、ブレーキングからコーナー進入までにあまり時間がないんで、その結果、オーバーテイクをする余裕がないんです。タイヤの方は第1〜最終ラップまで摩耗が一定なので、コーナーには非常に強く突っ込んで行けるんですが、以前よりはあらゆる点でギリギリの所まで行ってしまいますね。このため、追い越しの際の接触も増えたんです。昔は後ろを走っていればオーバーテイクのチャンスがもっとあったけど、今はひとつのコースで2ヶ所ぐらいですね。」
立派なシャーシに馬力はちょっと
250ccクラスに代わり新たに設けられたモト2クラス。同クラスへ今年初めて参戦しているミケーレ・ピッロが、短いコメントで全てを言い尽くしている。
「シャーシ、ブレーキ、タイヤ…すべて最高レベルなんだけど、たった130馬力しかない割には立派すぎるぐらい。そこがモト2クラスの一番大きな限界点ですね。」
カピロッシ:オートバイ世界選手権に320回参戦
ローリス・カピロッシにとって今回のカタルーニャ戦が320回目の世界選手権参戦となった。ここまでの戦績は以下のとおり。
総合優勝:3回(125ccクラス2回、250ccクラス1回)
優勝回数:29回(500cc/モトGPクラス9回、250ccクラス12回、125ccクラス8回)
表彰台回数:99回(42回、37回、20回)
PP回数:41回(13回、23回、5回)
FL回数:32回(10回、18回、4回)
また、初優勝は1990年のイギリスGP125ccクラスで、一番最近では2007年の日本GPモトGPクラスであり、なんと、その間17年も経っていたのである!
モト2クラス、2013年には改変
まだ公式には発表されていないが、2013年よりモト2クラスはワンメイクエンジンを取りやめ、排気量のみ限界を設け(600cc)自由化すると言う話がほぼ確定的なのだと。
ロッシがロレンソのモーターホームへ
6月3日(金)午後、ヴァレンティーノ・ロッシのもとへホルヘ・ロレンソから電話がかかって来た。日本GPについて話し合いたいのでモーターホームへ来てくれないかと言うのだ。そして後にも先にも初めて、この宿敵同士が意気投合したのだ。つまり、両選手とも茂木へは行きたくなく、世界選手権に参戦する選手一同も同意見なのでは…と。
ロレンソ選手の方は強迫観念に捕われていると言ってもいいほどで、翌4日(土)にはチェルノブイリ原発事故から25年が過ぎた現在のドキュメンタリーフィルムを観てゾッとしたと言う話まで明かしている。
一方、ドゥカティもドルナ社に対し、安全を正確に確認して欲しい旨、一筆したためている。
病み上がりストーナー
6月2日(木)、ケーシー・ストーナーは真っ青な顔でサーキットに到着し、「エアコンのせい」だと説明した。
ル・マンGP後、ヘレスで2012年用のホンダ1000ccをテスト試乗し、その後はオーストラリアへと一時帰国していたのだが、
「飛行機に19時間も乗っていたらヘロヘロになってしまった。」と。
ロッシ「1000ccって良い!」
ル・マンGP後、2012年用のドゥカティGP12をテスト試乗したヴァレンティーノ・ロッシが、次のように語っている。
「とにかく、あの右足骨折の事故から1年が経って、また、こうしてムジェッロで走るって言うのは興奮しますねぇ。コースは完全に再舗装されているし、本当に良い仕事してますよ。以前よりもずっと良い。」
そして、GP12機については、
「GP11とは随分違いますね。特にリア部分がね。一歩前進したって感じですよ。その他に関しては甲乙つけがたいかな。1000ccの方は、エンジンの特性ゆえに
全体的に操縦しやすいですからね。フロント部分はより安定したけど、特徴としては大体800ccの時のままですね。まぁ、まだまだやるべきことがあるってわけですよ。」
デ・アンジェリスに新兵器
ジャンルーカ・モンティロン率いるチーム・モトビからモト2クラスに参戦しているアレックス・デ・アンジェリス。
そのデ・アンジェリス選手がバルセロナGPにてチームより、TSR機をより強力にすべく新兵器を授けられた。特に、3パターンの排気管をテストし、加速および中速時でのパフォーマンス改善が図られたのだ。
また、エアーボックスにも改良が加えられ、また、マシンの総重量も軽減され142kgとなった。レギュレーションでは重量の下限は135kgと定められているが、ここまで落としているマシン等ない。
ホンダNSF250R
予告通り、ホンダがモントメロ・サーキットでNSF250Rを発表した。来季より125ccクラスに取って代わるモト3クラスで走ることとなる。どの点を取ってもモト3参戦のために製作されたマシンであり、ヨーロッパでは2万ユーロ(税抜き価格)で販売される予定。また別に、『Geo Technique』社製のキット製品の購入も可能。後藤治氏が運営する同社では、現在、モト2クラス用のCBR600エンジンの製作を手がけている。
NSF250R機のスペックは以下のとおり。
重量:88kg
最高出力:1万3千回転(レギュレーションでは1万4千まで可)で48PS(35.5kw)。イタリア仕様車は1万500回転で28Nm。
モト2およびモト3はダンロップ
モト2に関しては2014年までダンロップのワンメイクタイヤでゆく予定。また、来年より同じく2014年までモト3も同様となる。
ドヴィツィオーゾがABSを満喫
6月2日(木)にアンドレア・ドヴィツィオーゾ、ケーシー・ストーナー、そしてトライアル選手のトニ・ボウがホンダのセキュリティー研究所を訪れ、子供達と共に安全集会に参加した。その際、ドヴィツィオーゾ選手はホンダ・ファイヤーブレードのABS(アンチロック・ブレーキ・システム)を試し、ぬれた路面でのブレーキングをおおいに満喫した。
聞き入られなかったアドバイス
ヴァレンティーノ・ロッシが面白可笑しく暴露話をしていた。ル・マンGPの最中、6月4日にこんなことがあったのだと。
「マルコ・シモンチェッリ選手に “ 落着いて行けよ、あまりやり過ぎるなよ”ってアドバイスしておいたんですよ。ちゃんと聞き入れてた風で、“うん、うん”って頷いてたんですがね。ところがどっこい、聞いちゃいなかったわけで…。」
ポンチャラルマネージャー「クラッチローはシモンチェッリみたい」
チーム・テック3のエルベー・ポンチャラルマネージャーがカル・クラッチローについて『最高のライダー』と評している。
「どのコースも初めてだって言うのに、アッと言う間にスイスイ走ってるよ。非常にアグレッシブで、マシンのセッティングの方に集中できるようにならなければね。来年には、シモンチェッリ選手がモトGPクラス2年目で見せたような急成長をすると思いますよ。」
デ・ローザ降板
残念ながら、ニエト兄弟チームがラッファエレ・デ・ローザの代わりにカルメロ・モラーレス(スペイン大会チャンピオン、スッター・モト1のテストライダー)を起用することにした。
チームのコメントは次のとおり。
「結果を出せなかったからです。また、スポンサーを募るためスペイン人ライダーが必要だったんです。」
残念ながらこれまでにも同じようなことが起きており、低排気量クラスでは今後もあるだろう。
パリス・ヒルトンがグリッド登場
125ccクラスのスタート・グリッドに、あれほど大勢が駆けつけたのを見たことがない。セレブのパリス・ヒルトンが自身が所有するチーム(マーヴェリック・ヴィニャーレス、セルヒオ・ガデア)の応援に現れたためで、おかげで普段はガラガラのグリッドが大騒ぎとなったのだ。
その後、ヒルトン嬢は大勢のお供を従えながらモトGPクラスのグリッドにも登場。ヴァレンティーノ・ロッシへの挨拶も忘れなかったわけである。
ブラドル記録達成
ステファン・ブラドルがPPを5回連続獲得。トニ・エリアスが2003年250ccクラスで樹立した偉業に並ぶこととなった。
チーム・グレジーニが6年振りのPP
マルコ・シモンチェッリがカタルーニャGP予選で速さを見せつけていたが、なんとこれ、チーム・グレジーニにとっては6年振りにモトGPクラスで獲得したPPなのだ。ちなみに最後のPPは2005年にセテ・ジベルナウが取っている。
チーム・プラマックが2012年はホンダで走る?
当然のことながら2012年に向けての交渉と言うのはすでに始まっているのだが、もう随分前からドゥカティと組んでいるチーム・プラマックにホンダ移籍の話が出てきている。もともとはホンダに乗ってデビューしたチームであり、チームとしては1台体制を考えている。
チーム・アスパーが2台体制で挑む
かなり進んでいる交渉としては、アスパー・マルティネスのチームが2012年にドゥカティ機2台体制で参戦すると言う話がほぼ確定している。
また、カレル・アブラハムのチーム・カルディオンも来季は2台体制を考えている。
見えない未来
公式声明によればIrta(国際レースチーム協会)が、いわゆるCRT(クレイミング・ルール・チーム、市販1000ccエンジンのマシン使用)に属するチーム名をもう発表しなければならないなのだが…実際のところ発表はされておらず、理由は簡単で、現時点で希望しているのがわずか3チームしかないからだ。その中には、アンドレア・イアンノーネのチーム・スピードマスターの名前などが上がっているのだが、とりあえずモトGPの今後はいまだ霧の中…と言うところか。
こんなこと言ってた
予選後、アンドレア・ドヴィツィオーゾがこんなことを言っていた。
「スピース選手は表彰台に上がれるような走りじゃない。」
しかし、カタルーニャGPの結果は、1位ストーナー、2位ロレンソ、3位スピース。
(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事 Moto.it 2011年06月06日)
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カタルーニャ戦を振り返ってる間もなく
すぐにシルバーストーンなんですね…