モトGP『『2012年エストリルGPこぼれ話』』
ブラドル『息もできない』
昨年のモト2チャンピオンことステファン・ブラドルが、今シーズン初参戦のモトGPクラスについて語っている。
「予想していた通りです。一番大きな違いはモトGP機で走っていると、サーキットが完璧に『変わって』しまうことですね…モト2で走ってた時と同じゃないんですよ。どこのコースもいつも極小に見えてしまって…1ラップ中、まったく落ち着ける瞬間なんてないです…直線コースでもね…もう、ほとんど息もできないぐらい。」
ペトルッチ『モトGPとは夢』
ダニーロ・ペトルッチが駆るマシンは車体はまぁまぁながら、エンジンは超遅。にもかかわらず良い操縦をこなし、世間に実力を披露しつつある。5月3日(木)のプレスカンファレンスからもお呼びがかかり、なぜWSBからのオファーを断り、モトGP参戦を決めたのかを説明していた。
「ここにいることは僕にとっては夢であり、スタートグリッドに並んでいる時なんか感動してしまうほどなんです。確かに、僕のマシンと他のマシンのエンジンとでは大きな差があって、直線コースで抜かれた時なんか2〜3秒経ってからじゃないと何が起きたのかが分からないんですけど。追突されたらどうしようって…いつも恐怖を感じてます…。」
パジーニ新燃料タンク
CRT機へは絶え間なく作業の手が加えられており、一見すると後回しにしても良さそうな細かな点が実は基本だったりする。今回のエストリル戦でマッティア・パジーニのもとに新燃料タンクが供給されたのだが、その目的はライディングポジションをわずかに改良し、走行中に最大限、カウルの陰に居れるようにするため。
ポルト・ロマーノ・フェナーティ
ロマーノ・フェナーティと言えばなかなか落着いた若者で、特にマニアックなところもなく、例えば、ヘルメットも真っ白なまま使っているほどで…同年代の選手らが各種カラーリングやデザインで派手に飾り立てていると言うのにだ。しかし、ちょいと凝らせているところもある。毎回レースの度、カウル前面のステッカーを変えているのだが、カタール戦では『latte caldo e miele(ホットミルク&はちみつ)』、ヘレス戦では『beltemposispera(天気にな〜れ)』、そしてエストリル戦では『Porto Romano』と…当地で有名なポルト酒にかけているとのころ。
シモンチェッリ協会
やっと役所関係の手続きもクリアし、シッチ父パオロさんが熱望していた『ファンデーション58・マルコ・シモンチェッリ』の活動が開始した。まず最初のプロジェクトははドメニカ共和国にマルコの名を冠した病院を設立することだ。寄付などをお考えの方は『5×1000』協会へまでご連絡を。イタリア商業税番号(P.IVA)は03980340404。
プレスリリースその1
ヴァレンティーノ・ロッシがフリー走行で9位(トップと0.9秒差)に着けた翌日、5月5日(土)の各紙見出し。
『Gazzetta dello Sport』:《ヴァレ、道を見出す》
『Corriere dello Sport』:《へイデンがロッシの橋渡し》
『Libero』:《ヴァレンティーノ真似しきれず、まだヘイデンの後ろ》
『il Mattino』:《ヴァレンティーノ斜陽、照り輝くベイビー・フェナーティ》
『la Nazione』:《ヴァレ来た。何人(なんびと)にも夢見させず》
プレスリリースその2
ヴァレンティーノ・ロッシが予選で9位(トップと0.871秒差)に着けた翌日、5月6日(日)の各紙見出し。
『Gazzetta dello Sport』:《跳んで喜びはせず、しかし進展》
『Corriere dello Sport』:《ロッシ/ドゥカティ一歩前進》
『Tuttosport』:《乱闘、準備OK》
『la Repubblica』:《エストリル、ストーナーPP制覇、ロッシ9位ながらドゥカティ改善》
『Corriere della Sera』:《ストーナー脱兎のごとし、ヴァレ9位安堵》
『il Giornale』:《ヴァレ&ドゥカティ、またお楽しみか》
『il Messaggero』:《ストーナーがエストリル初PP、ロッシ希望》
『Libero』:《ロッシ改善ながらドゥカティ届かず、9位に終わる》
ペドロサ『品定めされてない』
ダニ・ペドロサのHRCでのポストが危ういと多くが考えているのだが、当の本人はなんのその。
「品定めされてるような感じは全くありません。世界選手権で走り始めて以来ずっと、契約更新の時期になるといつも僕のポストが危ういって言われてるんですが、2013年に向けてその件に関しあまり問題を感じてません。」
では、ドゥカティ移籍などはどう思うかと聞かれれば、現在のロッシ選手の苦難ゆえか、ペドロサ選手はこう答えている。
「わかりませんね。ただ、現在までストーナー選手しか乗りこなせてないのも事実だし…どこかに困難さがあるのは確かなんでしょう…ホンダとヤマハは哲学的な意味でもっと似通ってるのも確かだし。」
マルケス・レギュレーション
ダニ・ペドロサの後任と言えばマルク・マルケスではないかと見られているのだが、今シーズンの結果がどうであれ、来年、モトGPへ昇格にはなるだろう。
レギュレーションからすれば、マルケス選手はワークスチームからの参戦は不可能だが、HRCが既に動き始めており、規則変更を求めドルナに圧力をかけている(同レギュレーションは2009年より、プライベートチーム支援の目的で導入されたもの)。
ホンダ(とレプソル!)が同選手にどれだけ意義を見出しているかと言えば、ヴァレンティーノ・ロッシがこう言うほどにだ。
「良い規則なんだけど、まぁ、問題は、現在その矛先がマルケス選手に向けられてるってことでしょうね…。」
とりあえず今のところ、ドルナは2013年に向けて規則の変更はなしとしているのだが。
クラッチローうんざり
イギリスでは、カル・クラッチロー(Tech3)のスタイルが、いまだWSB時代のそれに酷似していると言う者もいる。ご本人はうんざり。
「ヤマハのライダーの中で、M1機の乗り方が一番ホルヘ・ロレンソに似ているのは自分なんですけどね。」
[ 後編に続く ]
(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:Moto.it 2012年05月08日)
ペドロサ選手の落ち着きは…やはり、ストーナー引退だから…とか?