お金の話になると、どの分野でも明らかにされない…一般には分からない部分と言うのがある物ですが、当然2輪レースの世界も例外ではありません。この記事を読むとコスト削減の裏に潜む利害関係が少し分かった様な気がします。
『疫病は遠くで起こるが、確実に感染する』
★モト3に掛かる費用を思えば、125ccからの移行は失敗したと言っても良い。
最初は良案だと口を揃え、異を唱える事も無く始まった新カテゴリーだったが、ここまで酷かったとは蓋を開けて見るまで誰も思わなかっただろう。
★2008年にピアッジョ・グループがポルトガルのエストリル・サーキットの直線コースで、125&250ccのライダー42選手を集めてポスター撮影をした事があった。当時、選手達が乗っていたのは全て同グループ・レース部門が製造したアプリリア、デルビ、ジレラのマシンだったのだが、これ以降、まずはモト2ができ(2010年)、そして2011年には、事実上、アプリリアのワンメイクだった125ccクラスがモト3(2012年)とされ他メーカーが参入してきた。
★事実、125ccは高額になり、各チームの出費もかさんでいたため、新エントリークラスを誕生させる事になったのだろう。予算に限度を設けるルール作りも加味された。
★エンジンは12,000ユーロ以下で、エンジン回転数制限にエンジン数量制限。全員が賛成したがが、マシン1台が幾らになるかを考えた者は皆無だった。マシンはエンジンだけで構成されている訳では無く、マシンを買っただけでレースが出来る訳でも無い。ホンダは同社のモト3マシンを特別価格20,000ユーロで販売したが、そのままの状態で使う選手などいない。
★モト3は完全に125ccと同様。メインとなるメーカーが変わっただけだ。その中でもKTMは非常に優秀で、ホンダ同様に同プロジェクトに莫大な投資をする事が出来る。ホンダのエンジンの…1基わずか12,000ユーロでは売れないような良質エンジンの方の製造コストは幾らなのだろう。
★FTRから供給されている50,000ユーロのフレームや、サスペンション、ホイール、それから1,500km毎の点検と改良etcはどうなるのか。この他に強化キットもある…ルール通りエンジン一式が12,000ユーロで売られるならば、存在しないはずの強化キットだ。そして『紳士協定』があるが…ここでは話題にしない。
★つまりモト3では、何やら存在しないはずの物もまで売られていて、悪い事にこれが更に下のクラスへと伝染している。
例えば、昨年のフェナーティ/トヌッチ両選手が乗ったチームイタリアのマシンは、最終的にCIV(イタリア国内選手権)へ降ろされる事になったのだが…違いはエンジン回転数14,000が、同選手権では13,500になる事だけで…そんな事は電子制御の調整で片が付く。また、エンジンの使用台数は世界選手権8台に対して3台、レース開催数18戦に大して10戦の違いもある。
★つまりCIVでは、CEV(スペイン国内選手権)同様に高額マシンが参加していると言うことで、結局、ハイレベルなマシンに乗りたいならばライダーには多額の費用が掛かってくると言う事。
★結局、またしても何も変わらなかったと言う事。KTMが提示する『all inclusive』の完全パック380,000ユーロは、かつてアプリリアが提案していた『tutto incluso(伊語でall inclusiveの意)』完全パックと大した違いはない。
(日本語翻訳:moku / 伊語記事:2013年03月29日 Infomotogp記事より抜粋)
なんか、携帯電話のビジネスモデルみたいだなと思ってしまいました。本体を安値で売って、不透明な通話料金で利益を出す様な……
そう言えば、T-Mobile USA(アメリカのモバイルフォン)が最近、本体価格の補助金制度を止めて、はじめて通話料金を透明化させたプランを発表したとか。
モト3もコストの透明化をした上でコスト制限を掛けると、価格競争も起きて、性能の良いものを安く調達出来る様になると思うのですが、無理なんでしょうか。それとも価格が透明化されるとヤバイ事でもあるのでしょうかねー。