『ブリッグス:ロッシと初めて組んだ時、たいした才能のライダーじゃないと思ってた』
★アレックス・ブリッグス(オーストラリア出身)は2000年にヴァレンティーノ・ロッシがホンダよりモトGP昇格した際よりメカニックを務め、その後、同選手が他メーカーに移籍する際は常に帯同されていたが、ヤマハ・ペトロナスSRTへの移籍に伴い、2020年末に解雇された。
★ブリッグス氏はロッシ選手に付く前、ミック・ドゥーハン(1994〜98年まで500cc5回連続総合優勝)を担当していた。
★ブリッグス氏がロッシ選手について、最近、次のように話した。
【昔のロードレース世界選手権は、どんな感じだったの?】
「今と違って…なんでも今ほどではないって感じだったけど、それでも、あらゆる分野において最高峰でしたね。
ただ、今よりももっとマシンに集中はしてました…いかに強い走りをさせるかってことにね。異論を唱える者も多いだろうけど、今は生粋のレースそのものよりショー的な要素の方が重視されているように思います。
たとえ勝っても、以前ほど重視されないでしょ。昨今、ライダーにすべてを説明する気にはなれませんよ…頭でっかちになってしまうから。
これまで、私は憧れのライダーと組んだことってないんですよ…ミック(ドゥーハン)はイカれてましたしね。なんでも一番になりたがるんですよ。空港に着くのも、列に並ぶのも常に一番でね。彼のインタビューなんか、ビクビクしてましたよ。なんでも喋ってしまいかねなかったから。
以前、ミックから『ヴァレンティーノと組むのは、どんな感じだい?』と訊かれんで、『君と組んでた時と比べたら、夢のようだよ!』って答えておきました。別に、ミックが悪夢のようだったってわけじゃないんですけどね。悪夢のような状態を経験したことがないから、比べようもないし…。
とにかく、これまで組んできたライダーは、皆、とにかく勝ちたがりはするけれど、ミックの場合はそれをまったく隠さないんですよ。顔を見れば、一目瞭然だから。」
【ロッシ選手がモトGP昇格し、メカニックを担当することになった時は…?】
「(ホンダのプライベートチームに)あの若造が入るからって言われてね。一応、どんな選手かってことは知ってたけど、まぁ、当時、私らは低排気量クラスの選手に対し、ちょっと横柄な態度をとってたから…500ccクラス以外はそれほど重視してなかったと言うかねぇ。当時、私らが『たいした才能のライダーではない』なんて思ってたって聞いたら、ヴァレは面白がるんじゃないんですかね。」
【しかし、その後は…?】
「ヴァレと言うのは、どう言うわけか人を惹き付けるキャラなんですよ。ニコニコしながら、こっちを巻き込んでいって…あれは凄いですね。
ヴァレも覚えてると思うけど、ある日、彼が小さな伊英辞書を持って、ホンダのモーターホームの裏に居たんですよ。それで私が、『大丈夫…僕の方がイタリア語の勉強をするから』と声をかけたんです。まぁ、結局、そんなことにはならなくって…この時の話は、いまだにヴァレにからかわれますね。
勝利すると言うのは、ヴァレにとって重要なことで…ただ、彼の場合は、特に勝利やレースそのものを味わい尽くすことが重要なんでね。
2位〜3位でゴールした直後、自分の走りっぷりには大満足って様子だけど、でも、ピットボックス内にいる私らの方では、『きっと、ムカつきまくって戻って来るんだろうなぁ…』って思ってるんですよ。とにかく、レースが大好きって感じではありましたね。」
[ 中編に続く ]
(参照サイト:『Tuttomotoriweb』)
(参照サイト:『Mowmag.com』)
クアルタラローが「ロッシ後継者と呼ばれ、当初はプレッシャーがあったが…」って言ってた話は、note『2021オランダGPまとめ』でどうぞ!
ブリッグス。なんとなく素朴な存在でいい雰囲気出してるんだろなと思ってたけど、思ってた以上に居心地良さそうなタイプですね!
歯に衣着せず語れる相手がいるのは、良いよね。メカニックも大事なフレンドな訳だ。
出展元もぜひ。懐かしい写真でいっぱい。