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ホアン・ラスコルツ『よく病院の窓から外を眺めて1人で泣いた…』

昨日、クラウディオ・コルティ選手がこんなツイートを出してましてね。

《たった今、ラスコルツ選手のインタビューのプレビューを読んだ…背筋にぶるっと来てね…知らないうちに涙が出てたよ。がんばれ、ホアン!》

おそらく、下の記事のことを言っているのではないかと思うんですが…

モトGP『ラスコルツ:事故のことは全て覚えている』

motoblog-lascorz.jpg ★ホアン・ラスコルツ(昨年4月、イモラで行なわれていたSBKレース後テスト中に事故に遭い、下半身不随となる)のインタビューが、今週発売のスペイン誌『SOLOMOTO』に掲載された。

★『SOLOMOTO』および『AS』サイトより同インタビューを一部抜粋。
「全部覚えてます。マシンが勝手に前に走っていって『直進』してしまったんです。壁に頭を打ちつけ、すぐに背中に強い痛みを覚えて…でも、地面を転がってる最中はもう身体の感覚は何もなかった。止まった時、すぐに両足に目をやったんだけど、凄い痛みで身体中ほとんど感覚がありませんでした。それで、“こんなはずない…これは現実なんかじゃない”って思い始めてね。アッと言う間の出来事でした…あの時の衝撃は100%覚えてます。壁に衝突し背骨が折れた瞬間の衝撃…自分がどんな風に感じていたか。

腕以外は、どこも動かすことができなかった。その後、コミッションの方々がやって来て…サーキットの診療所に人が大勢いたのを覚えてます。その人達に、僕は“首が折れた。両腕がヒリヒリする。呼吸が苦しい。”って言いました。コスタ医師がいたのを覚えてます…本物を見るのは初めてでした。それからヘリコプターでボローニャの病院に搬送され、そこで鎮痛剤を与えられた後のことはもう何も覚えてません。

チームの方々やサーキットの医師、コスタ医師らには、すぐに重症だってことが分かってたみたいです。ボローニャの病院で手術するよう、デ・ユーレ医師(フェデリコ・デ・ユーレ。整形外科および外傷学の専門医)に連絡していました。炎症が広がらないよう脊髄を『開放する』ための手術と言うことでした。脊椎のC5、C6が負傷してたんで、C5やC4に広がっていかないようC6の高さで抑えようと…両腕と両手が動けるように考えてくれていたんです。

事故が起きたのが12時で、手術開始が16時。5時間の大手術で、両腕と手首の動きを確保してもらいました。バルセロナに戻ってから、ミール医師とカセレス医師に手術は適切なもので、成功していると言われました。しばらくの間は、C6レベルの四肢麻痺に苦しむこととなりました。

約3週間、集中治療室にいました。肺の合併症が起きてしまい、自力で呼吸ができなかったんです。一番危険なのは感染症でしたね。咳をするための筋肉がなかったもんだから、痰を吐き出せないんですよ。気管切開して呼吸させる機械があって、少しずつ痰を溶かしてくれるんです。もう命に別状はないと判断され、『脊髄損傷病棟』に移されました。そこで初めて面会許可が出て、友人や親戚と会ったんです。祖母がほとんと毎日来てくれて、両親は極力ずっと付き添ってくれたんですが、1日たった2回しか面会できなかったんですけどね。

その後は…実を言えば、かなりキツかったです。現実がはっきり分かってきて、どれだけ酷いことになってしまったのかって…。また動けるようになるって言う希望は消えてなくなり、皆から励ましてもらったけど…もう自分ではどんなことになるか分かっていて。自分としては、はっきりしてましたね。

よく病院の窓から外を眺めているとね…1人で泣けてきてしまって。人生が0.001秒で変わってしまったんです…本当に瞬きした瞬間ですよ…灯りを点けたり消したりするより短い時間でね。僕の人生の灯りはイモラで永遠に消えてしまいましたけどね。

Vall d’Hebron病院で1ヶ月半を過ごし、その後、グットマンセンターに移りました。そこで自分の限界を、そして、どうやって乗り越えて行くかを自覚するようになったんです。僕と似たような状況の患者がたくさんいて、僕よりも重症の方も何人かいました。実際、このセンターのおかげで新たな人生に踏み出し、自分の苦しみと折り合って行けるようになったんです。あそこにいた時、イシドレ・エステヴェ選手(ラリー)やアルベルト・ジョヴェーラ選手(現在、ラリー選手。かつてプロスキー選手で、事故により下半身不随となる)、フィリッポ・プレツィオージ氏(元ドゥカティのゼネラルマネージャー)等、多くの方に見舞ってもらいました。9月中旬、サン・クーガのベアさんの家に移りました。友人であり、以前、1年ほど交際した女性で、当初、本当に助けになってくれました。2ヶ月ほど前からサン・クーガのアパートで1人暮らしをしてるんですが、少しずつ新しい状況に慣れるようにしています。

実際のところは、まだ1人では生活できないんです…今のところはね。一番問題なのは基本的なことができないんですよ…着替えるとか、身体を洗うとか、料理を作るとかね。将来的には、新たな居住空間に慣れるよう練習して、自分のことは自分でできるようになるんでしょうけど、難しいですよね。メルセーさんって女性が朝からお昼まで、それから夜3時間、手伝いに来てくれてるんですよ。

胸の高い位置から下の方すべて動きません。両腕は動かせるけど、力の入れ具合をコントロールできませんね。今後2年間、できるだけ筋肉を取り戻すよう、かなり訓練していかなければ。指を動かせないのが最悪ですね。手首はOKなんだけど指は駄目なんです…これは本当にヒドいですよね。両足を動かせないより悪い。本当にそうですよ。頭の方は100%大丈夫です。まったく問題なかったし、常と変わらずしっかりしてます。ただ、人生の見方が少し変わりましたけどね。

正直に言えば、事故後直後の期間や集中治療室にいた時、(オートバイ業界の人々のことは)あまり気にかけていませんでした。その後、TVや新聞でニュースやコメントを見るようになり…それもオートバイ関連紙だけじゃなく大手紙なんかでね。多くの選手の皆さんが、僕の友人らが作った『パワー・フォー・ラスコルツ』ってステッカーを貼ってくれて…SBKやスーパースポーツは全選手が貼ってくれたんです。ビアッジやメランドリ、サイクス、チェカ、レイ、ハスラム選手らがね。そのうえ、ロッシ、ロレンソ、ペドロサ、ヘイデン、ドヴィツィオーゾ、マルケス、エスパルガロ兄弟などの選手達も…モトGPの選手ほとんど全員なんじゃないかなぁ。それにCEV(スペイン選手権)や各種地方選手権の皆さんも。スペインだけじゃなく、他の国でもそうだったんです。

今現在は、自分の家に慣れたいです…自分のスペースに、できるだけ最良の方法でね。自動車免許も取って、自動車にも慣れたいです。ジローナ近くのマサネットの家には、今、慣れてる最中なんですよ…事故に遭う前に住んでいた家です。最終的には、そこに住もうと思ってます。できるだけ人に頼らない生活にしたい…今はそれが優先事項のトップですね。

最近はずっと、長い目で見ての自分の人生にどう取り組んで行くかを考えてます。こう言う状況で生きて行くのには、いくらかかるのかを理解するためにね。少しの金額じゃないですよ。今分かっている事で言えば、僕の生活の質は僕が生み出せる収入の量に依るわけです。現在まで、僕は恵まれてますね。トップクラスでの選手生活が短かった割りには、多少の貯金はあるし、最初の何年かは安心していられる程度の保険金も出ました。僕の生活費は非常に高いんですよ。介護費用に整形外科の治療費、専用の家の賃貸料、リハビリ費用等々。何年かしたらすぐに経済的に支障が出てくるでしょうね。

アドレナリン消費用にカートにも慣れるよう頑張ってるんです。ただ、僕の事故はジョークなんかじゃないんで、できるかどうかは分かりませんけどね。実のところ、何年間も高速の中で生きてきてるせいか、今は全てがゆっくりに見えますね。

株の知識をもっと蓄えようと思うんですよ。友人や家族、僕の人生すべてを再構築しようと思うんです…経済的な問題をできるだけ早く解決してね。この点に関しては、少し不安な気持ちになるんですよ。全然やってないのはオートバイに乗ることですね…これに関しては、もう絶対にやらないでしょう。指の動きが不自由な状態で、将来的にどうやって乗り切っていくのか…今のところは謎ですね。

【SBKのTV解説について】マルク・マーティン司会者とハビエル・グリマ氏(RTVEチャンネルのモータースポーツ担当ディレクター)が僕を訪ねてくれて、遂に『Teledeporte』がSBKレースを放送するので、テクニカル面で手を貸してくれないかと言ってくれたんです。僕はもともと話の上手い方じゃないんですが…オートバイについての話ですけどね…まぁ、それでやるって決めて、ここに居るわけですよ…。馬鹿なことを言わないで済むと良いんですが(笑)。スペインはオートバイに詳しい人が多いもんですから…マルクとは良い友人なんで、それで事が簡単になってくれれば良いんですが。今回のチャンスを与えてくれて感謝してますよ。」

(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事:2013年03月04日 Motoblog.it記事より抜粋)


『AS』サイトの方に、ラスコルツ元選手の最近の写真が出てたんですが…
本当に筋肉トレーニング、頑張ってるって感じですね!

as-lascorz.jpg

そう言えば、こんな懐かしい写真をツイートしてる方もいました。

《リトル・チャンピオン達。チャス・デイヴィス、レオン・キャミア、ケーシー・ストーナー、ホルディ・トーレス、ダヴィド・サロム、フリアン・シモン、ホアン・ラスコルツ》


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  1. ちぇんじ より:

    すごく長いインタービューを訳してくださり有難うございます。大変励みになりました。自分の周りにも事故による車椅子生活者がいますが前向きな姿勢に自分の生き方を考えさせられます。Joanの今後の生活を応援したいですね。

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