モト2『マルケス&エスパルガロ、互いに尊重し合わねば』
ドルナのイベント・マネージング・ディレクターで、レース・ディレクションの一員でもあるハビエル・アロンソ氏が、マルク・マルケス処罰について語る。
マルク・マルケス選手への処罰をFIM(国際モーターサイクリズム連盟)が撤回したことについて、レース・ディレクションとしてはどう思われますか?
「別に、良いとも悪いとも。いくつかのやり方があり、見込みと言うものが存在するわけで。我々の方では特殊なレベルで配慮することもあり…ただ、決定された事は尊重され、施行されるべきですね。」
今回の決定にあたり、(ポール・バトラー氏の後任レース・ディレクターである)マイク・ウエッブ氏による影響はありましたか?
「いいえ、ないと思います。」
…と言うのは、バトラー氏は良く “オートバイレースとは接触競技だ” と言っていたものですから…。
「そこから多少は背景を引き出せるでしょうね。変わった点と言うのは、昨年の件以来、熟考されたことで。唯一、達成できたことは、レース・ディレクションにカピロッシ元選手を迎え入れたことで…安全面でのアドバイザーとしてね…つい最近まで現役だったわけで、決定の際には非常に役立ってくれてますよ。」
昨年の件と言うのは…シモンチェッリ選手の転倒事故を中心とした一連の話ですか?
「ええ。あんなことは誰も好みませんからね。これは危険競技であり、コース上に何らの危険も…特に若い選手らにとっては…あってはならないのです。彼らが危険を負うかもしれない…自分の周囲で危険が起きるかもしれない等と意識せずとも良いようにせねば。例えば、バルセロナ戦でのペドロサ選手のスタートなどは、ジグザグ走行で5位からトップに躍り出たわけだが、あれは彼のような選手がきちんと考えてやってることで、誰も危険は被りませんよね。あれで、もし他の選手と接触したなら危険操縦と言うことになる。他の選手との接触が起きれば、そう言うことになってしまうんです。それがなければ転倒だって起きないのだから、危険操縦にはならないわけで。」
つまり、そう言ったことに基づいてレース・ディレクションはマルケス選手に1分間ペナルティを課したと?
「まずは、責任があるかどうかを決めることでね。故意かどうかではなく、責任の問題ですよ。我々としては避けられたと思うんです…今回の危険はマルクの方で回避できただろうと理解してます。そうとなれば、我々の方ではどんな処罰を科すかを決めることとなるわけで、1分間云々と言うのはマルクの過失によりポルが無得点で終わり…故に、我々はマルクも無得点にしたのです。そうじゃなければ不公平でしょ。もしポルが転倒しなければ、何も起きなかったでしょうね。」
カタール戦でマルケス選手がルーティ選手をコースアウトさせた件ですが、ヘレスではマルケス選手に警告を与えることが検討されてましたね?
「ええ。以前より、限度を超えるような行いをしたと思われる選手には…処罰するまでもない場合は警告を与えているんです。サッカーで言うなら『イエローカード』ですが、マルクにはそれが出されていたわけでね。だから、2回目に限度を超した際には次のカードとなるわけです。」
ポンス・チーム(エスパルガロ所属)がFIMによる処罰撤回を再撤回しようとCDI(国際規律法廷)に異議申立てを提出し、審議が始められ異常な雰囲気となってますが、これによりマルケスvsエスパルガロで対立が生じていく懸念はありませんか?
「損得を巡って対立に発展することがないよう願ってます。2人共とても若く、とても良い選手ですから。両選手が学ばねばならないのは、互いに尊重し合うと言うことですね。ここでは、我々は1つの家族のようなものなのだから。仕事仲間であり、皆で事を成し遂げていかなければ…ひと度、気持ちが落着いたら、現在のロレンソ/ペドロサ両選手のような関係になれるかもしれない…たとえ今はこうでもね。先日、ダニはホルヘの前を塞ぐことだってできたんですよ…大きく膨らんでしまった時にね…でも、そうはしなかった。大人にならなければ。ペドロサ/ロレンソの2人は本当にそうなったわけで…ポルとマルクも大人になってくれると良いんですが。」
FIM委員らが登場し撤回しているうちは、これ以上、カッカとしないのでは?
「その質問は…なんて答えればいいんでしょうかね?」
どんな行為にどんな処罰を下すか規定を作った方が良いのでは?その場その場の処罰ではなく、一定のものを下すような…。
「線引きするにはあまりにデリケートで、複雑ですね…。日曜日、我々は1時間半もビデオを見続け、どうすべきかを話し合った。簡単なことではありません。マルクが処罰すされるようなことをしていないと言う意見も分かってますが、その反対意見だって20は言えますよ。ロッシ選手がそんなことを言ってたのも知ってますが、あの映像を一緒に検討してみなければね。選手らが何を望んでいるかについて、我々としてはかなり気になりますよ…ヴァレンティーノなどは、こう言うことを出来るだけ確固とさせたいと一番に思ってる選手だし。彼なり他の選手なり、我々が見たのと同じ映像を見に来て、それを見ても意見は変わらないのかどうか。あの映像を見たら“あぁぁ〜”って言うでしょうけどね…。」
皆さんがご覧になった映像を、ロッシ選手は見れないのですか?
「関係者だけなので。マルクがそれを見たかどうかも分からないし…あり得ないもんですからね…ただ、ポルがあそこに居たってことは知ってたはずなんですよ。膨らんで失速し…そこで試みたのが、あのポジションを失わないよう行く手を塞ぐことで…さもなければタイムが落ちていったでしょうからね。」
FIM(国際モーターサイクリズム連盟)のCDI(国際規律法廷)が判決を下すまでどれぐらいかかるでしょうか?
「それは、うち次第の話ではないんで…ただ、手間取ることでしょうね。」
(日本語翻訳:La Chirico / 西語記事:Diario AS 2012年06月06日 写真 )
シーズン末まで決定持ち越し…なんてこともあり得るんでしょうかね…
そして、エスパルガロ選手の足の具合が気になるぞ…クリックPrego