MotoGP

ホルヘ・ロレンソ激白、ロッシに何も学ばなかった

イタリアの一般紙『La Stampa』が、9月30日付で紹介していたヴァレンティーノ・ロッシ選手の赤裸々発言
実は、遡ること1ヶ月前の9月3日付同紙に、ホルヘ・ロレンソ選手のインタビュー記事が載ってまして。
これがまた、なかなかの本音っぷりだったんですよ。
先日の茂木サーキットでの熱戦バトルは、この辺から端を発していたのでしょうか…。

ミザノ 『ヴァレンティーノからは何も学ばなかった』

未来のモトGPチャンピオンが語る。
「お手本?ビアッジ選手ですよ。」

一切のミスを犯さない。だが、1年前までは転倒ばかりしていたのだ。
マシンは速くなったが、2011年に向けての改良は未だ為されていない(スポンサーサイドからの情報による)。
特筆すべきは、2010年度のモトGPチャンピオンとなることだ。
ヴァレンティーノ・ロッシに関し、常にはっきりとした考えを持っている唯一の人間。
つまり、必要とあらば敵対もする。
ホルヘ・ロレンソ、23才。
言葉を選びながら、はっきりとこう言う。
「ヴァレンティーノは何も教えてくれなかった。」

レースを始めた頃は熱狂型ライダーでしたが、今や、巧みな計算型になりましたね。どうやって変わったのですか?
「テニスのロジャー・フェデラー選手のストーリーに似てますね。最初は、いつもラケットを折っていて、その後、落着いた。人間は色々な性質を持っていて、それを変えたくないものです。自分自身を変えると言うのは、ある種の暴力だ。それを探求するのは、ずっと継続しなければならない大変なことですよ。人間って言うのは、僕の背番号『99』みたいなものでね。つまり、天使と悪魔。長所だけでもないし、短所だけでもないってことです。」

現在は、ちょっとロボット化したりしてませんか?
「皆から好かれるわけにはいきませんよ。僕のことを『最高に良い奴だ』って言う人間もいれば、大嫌いな人間もいる。肝心なのは、自分で自分の人生が気に入っているかってことですよ。」

今年2月に手首の骨折をした時は、どう思われましたか?
「危険な真似をし過ぎたんです。ケガは自己責任の結果ですから。冷静に理解しました。そして間違いから学びました。ほとんど皆、同じ間違いを犯してしまうでしょう。僕は、そうしないよう心がけるつもりです。」

2年前に「死ぬのが恐い」と言っていましたね。今はどうですか?
「死ぬことを考えていたら速くは走られませんよ。各コーナー毎に何らかのフィードバックがある。カタローニャでの事故の後、僕はそう言ったんです。頭を打って、その後の三日間、何も覚えていませんでした。考える時間はたっぷりあったわけで、それで、バイクのことが恐くなってきて。それから、ゆっくりと、こう思うようになった。“OK、危険なものなんだ。でも、人が思っているほどじゃない。”」

ピーター・レンツ選手には、とても危険なものとなってしまいました。1週間前にインディアナポリスで亡くなられましたが、13才でしたね。
「良くあることですが、悲劇的な事故が起きるとレギュレーションが変わるものですよね。レンツ少年が犠牲になったことで、125ccの年齢制限が15〜18才までに引上げられた。それには賛成です。でも、僕の場合は良い例にはなりませんね。11才の時には似たようなバイクに乗ってましたから。」

ロッシ選手が、自分のおかげでロレンソ選手は多くを学んだと言っていますが。
「どうしてそんな事を言うのか分かりませんね。ヴァレンティーノは何も学ばせてなんてくれなかった。最初からボックス内に壁を作って、タイヤも自分だけ違うのを使っていたし…。ただ、マシンは同じものだったし、彼と戦いながら上達することはできましたよ。僕の方が速くなるまではね。ヴァレンティーノは一度だって“ホルヘ、こう言う風にやるものなんだよ。”なんて言ってくれたことはなかった。何も教えてくれなかったどころじゃない。僕が何も学べないように、あらゆる事をしてましたよ。」

それでは、ロレンソ選手のせいでヤマハから移籍するのでしょうか?
「ロッシ選手の胸の内はわかりません。僕が成長したことで、ロッシ選手が残留しない流れになったのは確実でしょうね。」

ロッシ選手は精神面においてもライバル達を打ち負かしてきました。ビアッジ選手、ジベルナウ選手、ストナー選手など。でも、ロレンソ選手は違う。どうしてでしょう?
「僕は他人の影響は受けないんで。ヴァレンティーノが何をしても興味ありませんから。僕が執着するのは自分自身だけ。打ち負かす相手はロッシ選手じゃなくて、自分ですから。」

ムジェッロでロッシ選手が骨折した時、被害を受けたのはロッシ選手じゃなく、むしろ自分の方だとは思いませんでしたか?ロッシ選手には負けても仕方がない言い訳ができたわけでしょう。
「(笑)それは考えました。みんなから“ついてるね”って繰り返し言われるし。僕は“もちろん”って答えてますよ。“僕のために、わざとケガしてくれたんだよ”って。ロッシ選手がムジェッロのコースで転倒したのは、無茶をしたからですよ。なぜ無茶をしたかと言えば、ヘレスとルマンで僕に負けたばかりだったから。僕の方が速かった。それで、ロッシ選手はあんなミスを犯すことになってしまったんです。2008年、2009年にロッシ選手の方が速かった時、僕がそうだったようにね。バイクの世界では、そんなもんですよ。」

2011年はお二人の戦いになるのでしょうか?
「ストナー選手もペドロサ選手もいますよ。」

カピロッシ選手によれば、ロレンソ選手の才能と言うのは培われたものであって、ロッシ選手のように天性のものではないと。
「そうは思いませんね。身体の中から才能を取り出して、秤にかけることなんてできないでしょ。生まれながらの才能って言うなら、僕らの中ではストナー選手でしょ。僕もヴァレンティーノも、ものすごく努力しているし、彼が僕より天性の才能があるとは思いませんね。」

あこがれのヒーローはいないのですか?
「いませんけど、ビアッジ選手が好きでしたね。イタリア人の皆さんにとっては変なことなんでしょ。ビアッジ選手はすごく面白いタイプと言うわけじゃないけど、1995年に原田選手と競ってるのを観て、きれいなライディングスタイルだなぁって思ったんですよ。」

スペインではペドロサ選手の方が人気があるようですが。がっかりですか?
「どこの国でも勝つ選手に人が寄っていくんです。ペドロサ選手は各クラスとも先を行ってましたから。今では、勝っているのは僕で、流れは変わっていますよ。」

ロレンソ選手は《優勝杯だけでは幸福にはなれない》と良く言ってますね。
「心底から幸福になんてならないものでしょ。幸せな気分でいられるのは10分間で、それ以上は無理。幸せの価値を知るためには、複雑な瞬間を何度もくぐり抜けないと。ジェットコースターですよね。頂上と栄光が同じものだとは言わないでしょ。」

(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事: La Stampa 2010年9月4日


優勝戦線からロッシもペドロサも離脱した今、
やっぱり優勝杯だけでは
幸せにはなれない…かな。

ロレンソに前祝いクリックPrego
人気ブログランキングへ

イタたわニュース関連記事
ロレンソ!ストナー!本音を言えよ!!:バレンティーノ・ロッシ
ペドロサからの手紙:ダニ・ペドロサ
スペイン人ライダーの憂鬱:ロレンソ&ぺドロサ
マックス・ビアッジ、勝利の理由十ヶ条

POSTED COMMENT

  1. Emi より:

    ヴァレンティーノがホルへの年だった頃は、ビアッジのことをそれはもうボロカスに言ってましたよね。
    彼があのキャラなのでみんな笑ってたんですが(もちろんビアッジは激怒してましたけど)、ホルへのコメントはなんとなーく陰湿な気がして、こっちまで「はっきり言えば!」なんて思ってしまいます。
    もしかしたらはっきり言わせようとして、ヴァレティーノはわざとあんなレースを仕掛けたのかもしれないですねー。
    いや~、ほんと久しぶりに楽しかった茂木戦でした!

  2. Emi より:

    ヴァレンティーノがホルへの年だった頃は、ビアッジのことをそれはもうボロカスに言ってましたよね。
    彼があのキャラなのでみんな笑ってたんですが(もちろんビアッジは激怒してましたけど)、ホルへのコメントはなんとなーく陰湿な気がして、こっちまで「はっきり言えば!」なんて思ってしまいます。
    もしかしたらはっきり言わせようとして、ヴァレティーノはわざとあんなレースを仕掛けたのかもしれないですねー。
    いや~、ほんと久しぶりに楽しかった茂木戦でした!

  3. machcat より:

    これはロレンソがロッシの事を大いに勘違いしてるなぁと実感出来る記事ですね。 ロッシは自分で誰かに「こうすればいい」って教える事は絶対にないです。それは同じ土俵に立つライダーなら全て一緒。

    仲がいい同国のシモンチェリなんかに対してですら、教えないと明言してましたからロッシの中では知りたい事は見て覚えろ的なところがあるんでしょう。 まぁ、教えるってのは誰かを格下に見るって事だから、最高峰のMotoGPのライダーなら逆に失礼とも言える事なんですけどね。

    この辺もジェネレーションギャップなのかもしれないですねぇ~

  4. machcat より:

    これはロレンソがロッシの事を大いに勘違いしてるなぁと実感出来る記事ですね。 ロッシは自分で誰かに「こうすればいい」って教える事は絶対にないです。それは同じ土俵に立つライダーなら全て一緒。

    仲がいい同国のシモンチェリなんかに対してですら、教えないと明言してましたからロッシの中では知りたい事は見て覚えろ的なところがあるんでしょう。 まぁ、教えるってのは誰かを格下に見るって事だから、最高峰のMotoGPのライダーなら逆に失礼とも言える事なんですけどね。

    この辺もジェネレーションギャップなのかもしれないですねぇ~

  5. chirico より:

    Emiさん、そうですねぇ、ロッシはけっこうビアッジにことも、最初からはっきり言ってましたねぇ。

    今回の発言は、ホルヘのが先で、それから1ヶ月後にロッシのインタビューが出て、そして例の茂木バトルだったから…まぁ、くすぶってたものが出ちゃったんでしょうかねぇ。

  6. chirico より:

    Emiさん、そうですねぇ、ロッシはけっこうビアッジにことも、最初からはっきり言ってましたねぇ。

    今回の発言は、ホルヘのが先で、それから1ヶ月後にロッシのインタビューが出て、そして例の茂木バトルだったから…まぁ、くすぶってたものが出ちゃったんでしょうかねぇ。

  7. chirico より:

    あぁ、ジェネレーションギャップ…私もちょっと思いましたよ、machcatさん。

    まぁ、ロレンソにしても『同じ土俵』で懇切丁寧に教えてもらえることを期待するほどアマちゃんではないだろうし、ロッシが「ロレンソは僕から多くを学んだ」なんて言うもんだから、売り言葉に買い言葉で言っちゃただけなのかもしれないですけどねぇ…

    ちなみに昨日、マレーシアGPで総合優勝を決めた時のコメントでは、「ロッシから学んだ」ような事を言っていたようですが。

  8. chirico より:

    あぁ、ジェネレーションギャップ…私もちょっと思いましたよ、machcatさん。

    まぁ、ロレンソにしても『同じ土俵』で懇切丁寧に教えてもらえることを期待するほどアマちゃんではないだろうし、ロッシが「ロレンソは僕から多くを学んだ」なんて言うもんだから、売り言葉に買い言葉で言っちゃただけなのかもしれないですけどねぇ…

    ちなみに昨日、マレーシアGPで総合優勝を決めた時のコメントでは、「ロッシから学んだ」ような事を言っていたようですが。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

 

ITATWAGP | イタたわGP