MotoGP

『プライベートチームなしって、そんなに不利なの?』マッシモ・バルトリーニ

『バルトリーニ:プライベートチームなしって、そんなに不利なの?』

★マッシモ・バルトリーニ氏は、長年、ドゥカティで働き、『ジジ・ダッリーニャの右腕』として高く評価されていたが、2023年末にヤマハに移籍し、テクニカルディレクターに就任した。

★バルトリーニ氏の役職はプロジェクトリーダーであるカズヒロ・マスダ氏(増田和宏)と同格であり、ヤマハの技術部門で欧州出身スタッフが就いた最高位である。

★バルトリーニ氏が伊サイト『Gpone』の5月28日付けインタビューで、次のように話した。

[ 前編はこちら ]

【なぜヤマハは、わずか数年で現在のような状況に陥ってしまったの?】
「私もちょっと考えてみたんですが…まず、マシン自体は悪くはないようなんですよ。
ただ、モトGPマシンのいくつかの点が進化していった際、(ヤマハは)それがどれほどの衝撃になるか見誤っていたと思うんです。
2021年は別ですけどね。あの年は最後のタイトルを獲得し…でも、ファビオ・クアルタラローの力も大きかったじゃないですか。とにかく、そうした諸々のせいで、少し遅れを取ってしまったようなんです。
昨今のモトGPでは0.7〜0.8秒ロスしてしまったら、大きな差になってしまうから。しかも、実際には何かが2〜3つ足りなかったりするわけでね…例えば、エアロダイナミクスや下降デバイスとか。
まさにそれらの点において、(ヤマハは)甘く見ていたんですよ。」

【どうやって挽回していくの?】
「3〜4年も経ってますからね…一朝一夕で何かを作り出すことはできないでしょ。単純に、ドゥカティ機みたいなマシンを作ることはできないんだから。
私ならば、そう言うマシンを作れるだろうと思われるだろうが…そう言うもんじゃないから。とにかく、できないでしょうしね。
今、ある物への理解を深め、改善させていかなければならないんですよ。」

【ヤマハは貴方やマルモリーニ氏(F1エンジニア)、ダラーラ(イタリア自動車メーカー)とコラボし…ヨーロッパに対し、最もオープンな姿勢の日本企業なのでは?】
「レース以外の分野でも、そう言った姿勢のようですよ。企業として、いくつかの点において進歩しなければと考え始めているようで…つまり、他の国々とのつながりを広げていきたいと思っているようです。」

【F1では翌年のマシンを見据えて、今年のマシンを開発すると言うことがあるが…モトGPでも可能なの?】
「無理ですね。うちの場合、正規選手が2名とテストライダー1名だけですから…今年のリザルト向上や、チャンピオンシップを断念すことはできないでしょ。
そもそも、進歩するにはレース本番が重要なんです。今あるものを使って、どれぐらいでトップ陣に迫っていけるかを見極めないとね。」

【正規選手2名のみと言うのは、どれぐらい不利なの?】
「どの方向に進むかを見極めるには、けっこう限界がありますよ。
ドゥカティは8選手参戦させているので、(作業するには)有利でしたね…大まかなラインを辿りたい時は、選手2名では大変でしょ。
例えば、新マテリアルを試した時、8名中6名が『改善されている』と言ったら、こっちも『上手く機能してるんだな』と納得できるじゃないですか。
2名の場合だと2人ともそう言ったなら、それなりに納得はできるが…やはり、イマイチな感じでしょ。もし『改善されている』と言ったのが1名だけならば、けっこう厄介な話になりましね。」

新レギュレーションについて公表されたが、2027年用マシンの開発のせいで現行マシンの開発が遅れる可能性はある?】
「有り得るでしょうね…ただ、ライバル陣もまたゼロから着手しなければならないのだから、(ヤマハにとっては)有利でしょう。
現時点で『勝てるマシン』ならば、確実な部分だけを継承させ、後はディテール作業をしていれば良いが…うちの場合は、リスクを負わなければならないんですよ。
昔、ロス・ブラウン(F1テクニカルディレクター)が良く言ってたんですが…『トップにいるなら、どんどんプッシュしていけば良い…そうすれば、有利な立場を維持できる』とね。
そうした場合、大きなミスを犯さない限り、常にトップにいられるんですよ。だから、2027年はうちやホンダにとって…追う立場のメーカーにとっては、絶好のチャンスになるでしょうね。」

[ 後編に続く ]

(参照サイト:『Gpone』)
(Photo:Instagram

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POSTED COMMENT

  1. きゃめる より:

    トップに返り咲く!…そんな簡単な話じゃないよね。
    もうエアロと下降デバイスをどれだけ上手く機能させていくか!って時代だったのに、エンジン改良とか並列捨てろとか…そうじゃないのよ。井の中の蛙で遅れてたのよ。

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