MotoGP

ロッシ語り尽す(後半)『2015年セパン事件の一部始終…』

『ロッシ:2015年セパン事件の一部始終…』

★9月初めにヴァレンティーノ・ロッシ(45才、二輪レース最高峰7回タイトル獲得)が、愛弟子アンドレア・ミーニョ(28才)のポッドキャスト『MIG babol』で約1時間のインタビューを受けた。

★9月11日に公開されたインタビュー後半は以下のとおり。なお、前半はこちらからどうぞ。

[ 第3章はこちら ]

【そして、2015年シーズン後半の…あのセパン戦については?】
「まず、アッセンの後、スペイン人の友人らに教えられたことがあって…マルケスとエミリオ・アルサモーラ(※当時のマネージャー)がパドック内をあちこち歩き回っては、『うちは今年のタイトルは無理だけど、(ロッシも)無理だから』って言って歩いてるって話だったんだよ。スペインの友人らが、警戒するよう教えてくれてね。
そうしたらフィリップアイランド戦で、あんな(八百長)レースを仕掛けてきたんだ…これは『だったかもしれない』って話じゃなく、事実だからね。
あのレースの全周回を、辛抱強く見てみれば分かることで…タイムとか、各周回で何が起きてたかをね。
それで、次のセパンの木曜会見では諸々を吐き出してみたんだ…もしかしたら、マルケスが『もうしないよ』って言うかもしれないと思って。
とにかく、あの年のタイトルは僕とロレンソとで争ってたんだから、それってかなりの大問題だろ…タイトル争いに加わってない選手は配慮すべきであって…邪魔しちゃいけないんだから。自分自身のレースをしつつ、優勝を目指す以上のことはすべきではないんだから。どちらのチームメイトでもない…兄弟でも友達でもない第三者が、普通、あんなことしないだろ。自分の心配しろよって話だからね。
ところが、日曜決勝では、こっちのレースを散々なものにしてくれちゃって…3〜4回、転倒させられそうになったんだから。やらなかったことと言えば、こっちのハンドルを掴むことぐらいだろ。
それで、最後の右折で(マルケスに)詰め寄って行って…ちょうど、一般道で煽るような感じでね。『いいかげんにしろよ!お前、どう言うつもりだよ?』って感じで、ヘルメット越しに睨みつけてやったんだよ。
あの接触は本当に奇妙で…絶対に転ばない選手なんだからねぇ(※『絶対に』を強調)。多分、あの時はブレーキレバーがこっちの膝に引っかかってしまったのかもねぇ。
こっちは、転倒させるつもりなんかなかったんだから…でも、転倒してしまったんだよねぇ。」

【レース後、2人ともレースディレクションに呼ばれてたけど…】
「レースディレクションに行ってみたら、既にマイク・ウェッブ(レースディレクション担当)やカルメロ・エスペレータ(※ドルナ代表)、そして、マルケスとアルサモーラが来ていてね。
こっちはマイオ・メレガッリ(ヤマハ・チームマネージャー)と2人だったんだけど、まず、アルサモーラが罵りだして…まぁ、こっちが先に『なんで、あんたがここに居るんだよ?ホンダの人間でもあるまいし…マルケスのマネージャーだろ。こっちはヤマハのメレガッリだけなんだから…じゃあ、こっちもウッチョ(※ロッシ心の友、VR46チームの現スポーツディレクター)を呼んでいいよな。』って言ったからなんだけどね。
(アルサモーラは)とにかく怒りまくっていて…こっちは孤立無援でねぇ。メレガッリは穏健派だから、援護してくれる人間が必要だったんだよ。
とにかく、それぞれが自分の言い分をまくしたて…最後はマイク・ウェッブが、『ロッシはヴァレンシア最終戦でグリッド最後尾スタートとする』って決めたんだ。
そんなの前例のないことで…もしマルケス転倒の責任がこっちにあると判断したのなら、普通ならセパン決勝中にライドスルー処罰を出すべきであって…それで、こっちは3位じゃなくて5位になってたってことでね。
ところが、あの時だけは、あんな処罰を創り出して…こっちが手も足も出なくなってしまうようにね。ウェッブに『ヴァレンシアで君は最後尾スタートだ』って言われた瞬間、身も心も固まってしまったよ。」

【その瞬間、なんて思ったの?】
「『負けたな…』って思ったよ。そう思った瞬間、今度はマルケスの方を見たんだ…そうしたら、アルサモーラの方を見て、『OK』って感じで頷いたんだよ(※満足気に頷く様子をロッシが真似る)。
ちょっと前まで、マルケスはずっとうつ向いてたのにね…それまで、ずっと口論してて、僕が『お前、こんなことしたら、引退するまで背負い続けることになるんだぞ』って言ってやったもんだから。
まぁ、そう言うわけだよ…マルケスは最強の破格ライダーで、常にボーダーラインすれすれの攻撃をしてくるってことさ。ただ、2015年はラインを超えてしまったんだな。
ぎりぎり汚い手を使ってくるアグレッシブな選手ってのは大勢いるし、いくらでも名前を挙げることはできるけど…モータースポーツの超トップ選手の中で、特定の誰かを勝たせないために戦った選手なんて他にいないんだから。
どれだけ汚いことをしたとしても、あくまでも自分のためにやるわけであって…皆、とにかく勝ちたいんだからね。」

[ 第5章に続く ]

(参照サイト:『Mowmag.com』)
(Photo:Twitter

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POSTED COMMENT

  1. マックス より:

    フィリップアイランドのレース後に握手しておいて、セパンでの木曜にあんなこと言い出すまでの心境の変化を語ってくれ。

  2. SH より:

    今はあらゆる意味で情報量が多すぎる時代。一昔前のこういうバチバチな関係は興味深いけれど、いまどきこういうのを見たいとは思わない。かえって興が削がれると感じるから。

  3. まるく より:

    賛否あれど泥臭い人間ドラマが最高でした。
    画面にかじりつくほど、ワクワクさせてくれた週末が懐かしい。

    ロッシが大好きでマルケスが大嫌いでしたが、いまじゃ何故かマルケスが順位を上げるたびに喜んでいる自分がいます

  4. 田中 より:

    まぁ前近代的な心理戦、バトル、意地の張り合い。

    ペッコ世代のバトルほうがクリーンで悪童は居ない、スポーツマンシップが高い。

    悪童対悪童のバトルとして歴史に残ってるけど、さ。

  5. マルケスファン より:

    ナイスキック事件ね。このあたりからロッシは口撃を主軸にしだして、おかしくなっていったなぁ。
    それでも当時はまだ走りで復活するのを期待してた。

  6. めめ より:

    セパンから2戦はロレンソの真後ろでゴールできればロッシはチャンピオンが取れたんですよね。だから間に入らないようにクギをさすつもりでロレンソに対してではなくマルケスに対してあんな事を言ったんだと思う。
    ただマルケスには効果はなかったのと、ペドロサが前に言ってしまった事でロッシはパニックに違い感じになってあんな悪質な走路妨害をしてしまったんじゃないのかなあ。ペドロサがロレンソとの間に入ると困りますからね。まあ想像だけど。
    ただ理由はどうにしろあの転倒を誘発した走路妨害は悪質だよ。ロッシだからあの程度のペナルティになったけど、普通ならすぐに失格になったと思うよ。

  7. ダイどん より:

    マルケスはタイトル争いや順位など関係なく常に全力で走り、強引なオーバーテイクや後追いなど出来ることは全てやる性格なのは今や知られたことですが、当時はまだそこまでじゃなかったですからね
    この時もいつもの調子で走ってるとロッシが「オメー邪魔なんだよ」と言い、それに対しマルケスがムカついた
    これまではジベルナウなど皇帝ロッシの圧力で怖気づいたりプレッシャーを感じ引く選手が多かったから、いつもの調子でやったのが2015年は裏目に出た
    ロッシは俺がハメられた~と言い続けてるけど、コレに関してはストーナーなどからもあれはロッシのミスと言う意見が出てる
    私も黙って自分の走りでマルケスを追い抜き、邪魔できないくらい引き離せばよかっただけだと思います
    それが出来る自信がロレンソと比べると少し無かったのと、心理戦をやり過ぎていたが故のミスだったのかなと

  8. McCOY より:

    速ければ心理戦なんか必要無い。
    プロレスのようなショーにはリップサービスも必要かもしれないけど。
    あの年はロレンソの方が余裕があったし、マルケスが居なければ勝てたというのは本当に恥ずかしいタラレバ論だし、次の年に実力で取り返せば良かった話。

  9. bolillo より:

    1から10まで同感です。

  10. アレックス頑張れ より:

    そう、あの年ロレンソはロッシより強かったし、ロッシにはマルクを打ち負かすスピードは無かった。

  11. maxtu より:

    当時ここでも散々意見があって対立構図にまで発展しましたからねぇ
    今さらヴァレ、マルケスの行動について第三者が勝手に想像してコメントする意味もないかと

    引退して9年経ってもヴァレの言ってることは変わらないし、次はマルケスが引退後にどう返すか?でいいんじゃないですかね

    現役のマルケスにとっては過ぎた事を振り返るよりも今は目の前のペッコ、マルティンらとどう戦う方が重要だしね
    過ぎた人の思い出話より未来に目を向けてるはず

  12. うに より:

    そうですね。あくまでロッシの(インタビュー向けの)当時の記憶なんで、外野が今さらああだこうだ言うのは野暮ってもんです。

    懐かしくなって04年ウェルコム、08年ラグナセカと15年アルゼンチンをオフィシャルのアーカイブで見直しちゃいましたよ。

    管理人様。インタビューの長文文字起こし、ありがとうございます!

  13. Mahal より:

    2015最終戦は台湾のホテルで観てたの憶えてるけど、チェッカー後にほとんどのライダーがヴァレ労ってたのが印象的だったなぁ
    なんかそっちのほうに映像の尺多く使われてた憶えが

  14. 801a より:

    まだやるの?この話。
    本人が語ろうが、当時の関係者が語ろうが、ファンやアンチがそれぞれ喚こうが、いつまでもしつこいなーとうんざりするばかり。

  15. バリー#7 より:

    読みたくないなら読まなきゃいいってだけ。
    強制的に読まされてるんじゃないのだから

    良くも悪くも、こういうのは現在のMotoGP界隈じゃ出てこない類いの話だからオレは読みたい

  16. きゃめる より:

    懐いな〜。ロッシもこんな事もあったけど、更に6年も夢を追いかけられたんだから、ライダー人生に悔いはないでしょ。最後のほうは力不足は見えたけど、42歳まで360kmも出るマシンでバトルしたんだから大した人だよ。アレだけ絡んで五体満足で引退なんていない。

  17. 桑田裸郎 より:

    面白く読ませていただたきました。
    四輪でも活躍してほしい!

  18. としあき より:

    イタリアでマルケスへのブーイングが減ったというのがロッシのGPでの影響力の低下を示してるのかもね
    おまけに弟子がその減ったブーイングすら辞めろと母国ファンにジェスチャーできる人だから
    もう時代は変わったんですよ

    そういう意味で何度でもこの話題を出すのはロッシなりのPRなんだと思います
    ロレンソすら最近自分の活躍を知らない人が増えたと嘆いてたんで

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