MotoGP

ダニ・ペドロサの陰に潜む:アルベルト・プーチ

さて、今季のオートバイ世界選手権も遂にこの日曜日が最終戦となりました!
最高峰クラスの総合優勝は決まっているとは言え、まだまだドラマが楽しめそうですね…って、信じられないことに管理人は今回はヤボ用で観戦かなわず…
まぁ、それは置いといて、今回は表舞台で活躍するライダー、ダニ・ペドロサ選手の陰に潜む辣腕マネージャー氏のインタビュー記事です。
なかなかの強者だそうですぞ。

モトGP 『アルベルト・プーチ、ペドロサ選手の陰に潜む』

パドック内の友人は僅かしかいない。
いや、実を言うなら、彼には我慢できない人間がごまんといるのだ。
しかし彼は…アルベルト・プーチは気にもせず、お気に入りの…ダニ・ペドロサ選手のために最良と思われることをすべく、我道をまっしぐら。
本音を言えば、私はプーチのことが好きだ。
何年も前からの知り合いで、彼との関係は常に穏やかなものだった。
時々、気難しく見えることはある。やり過ぎなように見えることもあるが、私から見れば、それは正しく実直なものである。言わねばならないことは、面と向かって言ってくるのだ。
ラグーナセーカで私は、プーチと長い長いおしゃべりをした。
その時にくらべ変わってしまった状況もいくつかあるが、本質的な点は変わってはいない。

− アルベルトさん、現在、オートバイ世界選手権に出場している選手で、あなたの学校出身のライダーは何名いますか?
「けっこういますよ。ダニ(ペドロサ選手)を筆頭に、オリヴェ、エリアス、それからストナー、シモン、スミス、バウティスタ…。」

− 彼ら全員が貴方のことを高く評価し、“世界選手権に出られたのは、プーチ氏のお陰です。” と言ってますね。
「あの当時は何かしら彼らにしてあげられる時期でしたね。彼らに手を貸す機会を得て、一生懸命それをやっていた。かつては私も若きライダーでしたからね。走り始めるってことが容易じゃないことは知っているんで、喜んで手助けしていました。」

− その後、ペドロサ選手だけに付くことにしましたよね。貴方にとってペドロサ選手は特別なんでしょうね。何がそれほど特別なんですか?
「ダニに付き始めたのは1999年のモービーエスタール杯からで、彼と一緒に世界選手権に出ることにした時(編集部注:2001年)、彼をサポートするのに最善を尽くし、常に一緒に歩んできました。ダニは常に私のことを高く評価してくれた。仕事上だけでなく、人としてもね。私達は互いに敬意を抱き、多くのことを一緒にしてきた。そして、何度も勝利に輝き、あらゆる面において強い絆を築いてきたのです。」

− 現在、ペドロサ選手とはどのような関係にありますか?父と息子的なものなのか、兄弟のようなものとか?
「一般的にはそう思われてますね。でも、我々の関係は時と共に変化しています。最初の頃はダニは少年で、私は保護者みたいなものでしたね。マシンについてテクニックを何でも教えてやって。彼が大人になって、世界選手権を制覇してからは、私の役割はマネージャーに変わってきました。今は、様々な方面を担当してますが。理解していただきたい肝心な点は、常に成長していると言うことです。私が常にダニのそばに居ると思われているようだが、実際はそうじゃない。ダニは自分で決断し、自分の道を進み、私とは違う個性を持っています。大変に穏やかな青年で、私の方が少し落ち着きのないタイプですね。でも、互いのことは良く分かっているし、互いに敬意を払っているので、最終的には意見の一致に至ってますよ。世間が言っていることは真実ではないし、私は彼の父親のような存在ではありません。」

− ただ、ペドロサ選手は貴方の意見を良く聞きますよね。
「ええ。ただね、世界チャンピオンに三度もなって、日曜日ごとに1位の座を競ってる選手相手に、私が何を言えるって言うんですか?現在、私はボックス内にいて、ホンダと共に働いているんです。すべて上手く運ぶよう取り計らい、ややマネージャー的な仕事をしてね。でも、もう教えられるような事は何もないですね。やろうとも思いませんよ!私の仕事は、ダニの周囲の関係がすべて上手く行き、トラブルがあれば解決できるような形で動いてゆくことですから。もちろん、ライディングのアドバイスなんてできませんよ。」

核心に触れましたね。その周囲の関係についてですが、ホンダ内部ではどんな風になっているのですか?モトGP5季目の参戦となりますが、マシンの競合性はどうでしょう?(今季中盤でのインタビューではRC212V機はまだ開発途上にあり、現在のような競争力はなかった。)
「今年の開幕時、我々は大変に苦戦していました。2009年にくらべマシンが非常に変わり、状況も変わっていましたから。しかしホンダと言うのは、常に作業の手を休めない企業でね。着実に改良されていったんですよ。現在は、より確実なマシンセットを目指しています。うちのマシンは、調子の良い時は非常に競争力が高いが、その次のレースになるとそれほどでもないなんてことがある。例えば、ヤマハはどの部門においても傑出したところはないようですが、確実性は高いでしょう。我々にとっての目標は、そこなんですよ。(編集部注:今季後半では目標達成したと言ってもいいかもしれない。)」

− ペドロサ選手がモトGPクラスでチャンピオンになれないのはなぜでしょう?
「私が思うに、これまで全体的にバランスの取れたマシンセットがなかったからじゃないでしょうか。ただ、今季の総合順位からすれば、ホンダに乗って安定して勝ってきたのはダニだけですよね。もっと優秀な選手がいるなら、ダニが悪く言われもするでしょうけど、そう言うことはなかったわけで。800ccの時は、ホンダには弱冠の問題があったが、990cc時代は完璧だった。ただ、ダニにとってはモトGPクラスの初陣だったし(編集部注:2006年)、それでもなかなかの成績だったしね。800ccの時は苦戦しましたがね。」

− 実際に見てもペドロサ選手は優秀なライダーですが、マシンの開発能力の方はどうですか?
「それができる唯一の選手ですよ!100%の確信を持って言いますね!」

− それで、ホンダ側はペドロサ選手の話に耳を傾けているのですか?
「それは彼らに聞いてください!ダニの方針は正しいですよ。少なくとも彼のライディング・スタイルからするとね。ただ結局は、毎年、ほとんど皆がダニが開発した通りにしますけどね。(編集部注:実際のところ、ドヴィツィオーゾ選手は今季、少し別の方針を進めている。)」

− 今季、ペドロサ選手の総合優勝はありえると思いますか?(同インタビューが行なわれたのは9戦目後。)
「ロレンソ選手が優勢ですが、何事にも可能性はありますからね。そう言うことでいけば、まだ有りですね。ここまでの結果では、差を生み出したのはヤマハであって、選手じゃないと思うんで。ロレンソ選手がペドロサ選手より多くを持っているわけじゃない。」

− その点…持つ持たないに関してですが、ローリス・レッジャーニ氏(元ライダー、現在はTV解説者)がペドロサ選手はロレンソ選手より強いと言ってましたが。
「二人共、偉大なライダーです。だが、もしホンダが準備万端整っているのならば、ロレンソ選手を恐れることは全くありませんね。当然ですが、これはホルヘが強くないと言う意味ではありませんよ。彼は速いし、確実性がある。総合順位では両選手には大きな差があるが、それは本当の差じゃない。もしホンダにもっと競争力があったなら、ロレンソ選手はもっと苦戦していたはずですよ。」

− 来年はストナー選手が加わりますが。どう思われますか?それから、他のライダーとの契約がこんなに早く交わされるのは適切なことだと思われますか?
「高水準にいる会社ならば、優秀な選手を探してくるのが義務でしょう。ストナー選手のことは良く知ってますが、偉大な才能を有した偉大なライダーですよ。ですから、ホンダが彼のような選手を取ったのは適切ですね。契約の仕方について言うのなら全く別の話ですが、この手の話題には関与したくないので。それは彼らの仕事ですし、早く発表したのが良いかどうかは彼らだけが分かってることでしょ。」

− 2011年のペドロサ選手の状況はいかがですか?
(ペドロサ選手はHRCとの契約を2年更新している。)
「ダニは常にホンダで走ってきましたし、ホンダとの関係は最高です。もっと早い時期に契約を交わした方が良いのではと、懸念したことは一度もありませんしね。第2〜3戦の段階で来年の話を始める気にはならないし、物事は良い方向に進んでいる。現段階でホンダは良い仕事をしてくれています。ダニにとって2011年もHRCに乗り続けるのは道理にかなっていると思いますしね。」

− 貴方は面と向かって物を言うタイプですよね。そのためパドック内でトラブルになったことは?
「そのことを分かっていない者は、私に向かってきますね。スペイン人ジャーナリストでそう言う人達がいるかな。それからイタリア人でも一人。でも私にとって、どうでも良いことだってのは確かです。私はこう言う人間ですからね。腹が立ったら、そう言う。だけど冗談じゃないし、偽善者でもない。心穏やかにやっていきますよ。パドックを出れば、私には私の生活がある。友達もいないんじゃないかって思われてますけど、幸い私を評価してくれる人は大勢いるし、ジャーナリストに好かれたいからって方針を変えるつもりはさらさらないですね。それは向こうの問題であって、私の問題じゃない!」

− それでは、ドヴィツィオーゾ選手との関係はどうですか?外部から見てると、それほど良いようには…。
「彼とトラブったことは一度もないし、正直な話、話したことさえありません。ただ、HRCチームに加わった時、少し変な態度だったんでね。ドヴィツィオーゾ選手が私について、ペドロサ選手のキャリアに悪い影響を与えていると言ったと何かで読みましたが。自分が何の話をしているのか分かってないんでしょうね!馬鹿げたことだし、場違いな話ですよ。その時は、彼と話をするような事でもないって思ってね。ドヴィツィオーゾ選手は状況が分かってないのですから。ただ、実際には彼と何のトラブルはありません。」

− 来季はヴァレンティーノ・ロッシ選手がドゥカティで走りますが。どう思われますか?
「もの凄く競争力の高いマシンを作ってくるでしょうね。ロッシ選手と言うのは世界中に、どう働くべきか正確に知っている事を示した人物だから。ヤマハに移った時はM1機はひどい状態だったのに、今じゃ勝てるマシンだ。同じことをドゥカティでもするだろうし、ドゥカティも全面的にそれに応じるでしょう。優勝を争ってきますよ。ヴァレンティーノにはまだまだ内面的なモチベーションがたっぷりあるし、彼とドゥカティの情熱を持ってすれば偉業を果せるでしょうね。」

− では、最後の質問です。レース中に後続車とのタイム差をペドロサ選手に提示する際、実際の数字より低いものを出してますよね。これはイタリア国内で非常に批判されているのですが、なぜ、こう言うことをするのですか?
「実際のところ、いつもやってるわけじゃありませんし、世間の人々が良く分かってもいないことを話してるのは明らかでしょ。サーキットによっては…例えば距離の長い所なんかでは、この手のストラテジーを使っています。レースや終盤の流れによるところも少しありますね。提示しているタイム差は、我々の頭の中では正確な数字なんです。もし、+0.2とか+0.5、+0.8なら、タイム差はゼロってことですよ!」

(日本語翻訳:La Chirico / 伊語記事: Moto.it 2010年11月05日

いや〜最終戦…
見れなくて本当に残念無念です。
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